「魔法の庭」 I・カルヴィーノ
魔法の庭 I・カルヴィ-ノ I・Calvino ちくま文庫 2007.8. |
カルヴィーノの初期短編を集めた短編集です。カルヴィーノ作品は、毎回毎回それぞれに違った味わいがあるのですが、さてさて今回は・・・。
収録されているのは全部で11短編。全体に共通するテーマがあったりするわけではないけれど、強いて言えば、日常の中の違和感とかそんな感じでしょうか。
好きな作家を聞かれたときに、割とカルヴィーノの名前もよくあげるんですけど、実はカルヴィーノ作品には好きなものと苦手なものがあります。好きなものは猛烈に好きなんですが、苦手なものはどうも好きになれません。で、今回の短編集、どうやら後者。少し前に読んだ「くもの巣の小道」も苦手だったんですが、それと似たような空気を感じる作品集でした。
「くもの巣の小道」と同様に初期の頃の短編なので、上記感想もありうる話ではあるのですが、自分、恐らくパルチザン関係のネタが苦手みたいですね。この短編集も割りとそのネタが多かったし。
そんな中、気に入った作品は以下。
「魔法の庭」
表題作ですね。少年達が迷い込んだ不思議な庭。全てが美しいのに、どうも楽しめない。タイトルどおりに不思議な魅力がありました。ちょっと「秘密の花園」を連想させましたが。
「菓子泥棒」
大人たちが必死になって菓子泥棒。
「楽しみはつづかない」
みんな吹っ飛んじゃったもの。
カルヴィーノ氏の短編集という点では「むずかしい愛」(岩波文庫)のほうが断然好きかなぁ。「むずかしい愛」は初カルヴィーノでした。日常に潜む「微妙な瞬間」を非常に上手くきりとった作品集でなかなかのお気に入りです。
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 「足音がやってくる」マーガレット・マーヒー(2013.05.30)
- 「SOSの猿」伊坂幸太郎(2013.05.05)
- 「死美人辻馬車」北原尚彦(2013.05.16)
- 「俺の職歴」ミハイル・ゾーシチェンコ(2013.04.01)
- 「エムズワース卿の受難録」ウッドハウス(2013.03.24)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント