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2007年9月 3日 (月)

映画「ヴィレッジ」

ヴィレッジ

the village

2004年

アメリカ

「シックスセンス」以降、やたらと意外な結末路線を走りまくるシャマラン監督作品。この映画、公開時に結構気になってたものの、どうせまた「意外な結末」だけが売りなんでしょ、と思ってスルーしてたのをついに見てみることに。そしたら、これがなんと、まぁ、割と面白い作品じゃないですか!!もっと早く見れてれば良かった。

舞台は田園地帯が広がるのどかな村。村の奥には森があり、その森を越えなければ、外の町には出られないのだが、森には魔物が棲んでいて、村人が森に入ると、魔物が村にやってくるため、村人たちは外の町に出ることなく、静かに暮らしていた。

村に暮らす目の見えないアイヴィー(ブライス・ダラス・ハワード)は、ルシアス(ホアキン・フェニックス)に恋をし、やがて、ふとした事件をきっかけに彼女は森へ向かうことになるのだが・・・。という物語。

何気にキャストが豪華な作品で、村人として、エイドリアン・ブロディ、シガニー・ウィーバー、ウィリアム・ハートらが確かな演技で物語をみせてくれてる感じがしました。

そして、お約束の「意外な結末」も待ってるんですが、確かにそのインパクトはあるものの、この映画はそれ以上に様々なことを考えさせられる深さが感じられて、映画としてなかなか面白く仕上がってるんじゃないかなぁと思いました。「意外な結末」ばかりに目をとられてたらもったいないと思います。あと、純粋なハッピーエンドじゃないのも良かった。

この作品、最後に明かされる真実自体はまぁ、意外ではあるんだけど、こういう作品を見慣れてたら、「ふーん」って感じのオチですよ。しかし、その裏に秘められている様々な人間の思惑に色々と考えさせられたわけです。痛くて切ない。

てなわけで、以下ネタバレありなので反転してどうぞ。結局ネタバレしないと感想書けないね・・・。

①村の長老方と村のありかたについて

彼らは桃源郷を作ろうとして、結局、閉鎖的な世界の中で互いに監視し合いながら、表面的に仲良くするだけなんだよね。家族の死から立ち直れなくて、築いた桃源郷を維持するために、動物を殺し、果てはノアの死までを利用する。その自己矛盾の塊がとにかく痛い。こんな嘘、いつかばれるときが訪れるのはもう見えていて、きっと彼らもそれに気づいてはいながらも、せめて自分達が生きている間だけはと必死なんだろうね。

で、悪い評判をよく目にする魔物の安っぽい造詣ですが、これもやはりこの映画には欠かせない安っぽさだと思うわけです。あんなチープな魔物を本気で森の魔物だといって子供達を脅すのに使う愚かさ。あの安っぽさは、彼らの桃源郷の安っぽさをそのまま具現化しているように感じました。

あと、そういって育てれば子供達も本気でそれを怖がるようになるっていう教育の恐ろしさも感じられましたね。この辺の文脈、色々な国家に置き換えて考えられそうで、なかなか面白いですよね。

結局、我々は大なり小なり様々な「ヴィッレジ」の一員に過ぎないわけで、こういうできごとって意外と身の回りに満ち溢れているように思います。

②主人公の設定その他

この作品はやっぱり主人公が盲目ってのが全てを成立させるキーワードですよね。長老達は彼女の目が見えないからこそ「町」に行くことを許したわけで。「町」にたどり着いた場面、警察官の人が「車に戻って」と言いながら主人公とは違う方向をキョロキョロしてましたが、恐らく長老の誰かが隠していた車でこっそりと監視してたんだろうね。「はじめてのおつかい」って感じですかね。何か問題が起こりそうになったとき、彼らがどういう行動で秘密を守ろうとしたのかが気になります。

彼女が森で魔物の皮を被ったノアと対峙する場面。この伏線になってるのが、彼女が家に入ったときにクローゼットに隠れてるノアに気づかないという一場面だったのではないかと思います。彼女、ルシアスの存在は感じられてもノアのことは分からないんだよね。

目が見えないってことは、彼女にとってはノアが魔物の気ぐるみを被っていようがいまいが関係わけで、もしや、彼女はそれがノアと分かっててわざと殺した?とも思ったんですが、クローゼットの場面を考えるに、純粋に何かに襲われたとした思ってなかったのかもしれません。ノアもせめて一声あげればよかったのにね。(ちなみにノアの人物設定も面白いよね。純粋な存在が単に天使のような扱いではないところとか。)

ちなみに、「ルシアスの色」が謎のままですが、僕は「赤」だったのではないかと思います。この映画、赤は森の色なんですけど、赤が使われてるのは、花やらベリーやら森の植物なんだよね。そして、血の色。これは「生」を表す色なんだろうなぁと。そんなわけでルシアスの中に「生」を強く感じていたのではないかなぁと思ったわけです。だったら、村の「黄」は何を表してるんだろうね・・・。割と細かいところまでこだわりが感じられるからきっと何らかの裏設定はあるよね。

あと、全然関係ないんだけど、ネタバレが割りと地味でしたね。もっと、空撮で、あの村がある保護区の周りをすぐ巨大ビル群がとりまいてるようなインパクトある映像があったりしたら面白いのになぁとか思ってしまいました。まぁ、この地味さがこの作品の味なんだろうけど。

<ネタバレ終わり>

そんなわけで、随所にこだわりが感じられる細かい演出の数々のおかげで、単に「意外な結末」だけが売りの映画にとどまらないで、あれやこれやと考えさせられるなかなか面白い作品だったように思いますよ。

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