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2007年10月18日 (木)

映画「めがね」

Photo_2
   パンフとMYめがね

めがね

2007年

日本

映画「かもめ食堂」の萩上直子監督がふたたび、小林聡美を主演にして作った作品ということで、「かもめ」ファンとしてはどうしても見たい!と思った作品です。しかも、タイトルが「めがね」。自分はメガネ常用のメガネっ子なので、このタイトルにもビビビっときたわけです。

主人公タエコは、携帯電話の入らないところでゆっくりと休暇をとろうと、南海の小島にある小さな民宿へとやってくる。そこで、オーナーのユージ、近くの学校で教師をしているハルナ、そして、毎年夏の初めにやってきては、浜辺でカキ氷店を開くサクラと出会う。はじめは、どこかテンポのずれたような彼らののんびりさに呆れていたタエコだか、次第に、打ち解けていく。やがて、タエコを探してやってきた青年ヨモギも加わり、5人の静かな時間が流れていく・・・。

「たそがれる」をテーマにした静かでゆったりとした作品。

映画館の大きな画面で、ゆったりとちょっと遅めの「夏休み気分」を味わえるような作品でした。この作品に比べれば「かもめ食堂」のほうがはるかに、「物語」がありましたね。比べるのも何なんですが、「かもめ」もゆったりとした作品だったけれど、これはそれをはるかに凌駕するゆったり加減。

自分のすぐ後ろの席の人は終始気持ち良さそうに寝息をたてていたのだけれど、それも納得というか、見ようによってはなんとも退屈な映画ではあるんだけれど、とても心地の良い作品でもありました。

この監督さんの作品、「かもめ食堂」でもそうだったんですが、とにかく食べ物があまりにも美味しそうに見える!昼食後に見たにもかかわらず、見ていたら、だんだんお腹がすいてきちゃいましたよ。そして、出演者達の食べ方がまた上手いんですよ。加瀬亮のロブスターの食べっぷりとか最高です。

見ていて気づいたんですが、この作品、BGMが割りと控えめで、自然音をとてもたくさん使っています。映画全体にある、「自然な感じ」は恐らくそういうところからも来るんだと思います。映像の上手さに、自然の音がうまく入ってきて、見ている我々もその世界に一緒に浸ることができるのがとても良かったです。

作品の舞台となっている島は桃源郷の境地ですね。景色も食べ物も人も全てが美しすぎて、ここまで理想的すぎると、かえってリアリティがなくなってしまうというくらいに理想的。そこに「たそがれる」というのを非常に上手くもってきてるなぁと。もはや2時間たそがれるだけで1本の映画を作るのはすごいなぁと思うんですが、見ている我々も桃源郷を追体験できるのは本当に嬉しい。

数年前、奄美大島に行ったことがあるんですが、そのときに、浜辺で仰向けに寝転がって、やたらめったら青い海から聞こえてくる波の音と、遠くで遊ぶ犬の声を聞きながら、30分くらいたそがれていたことがあります。それは「人生において最も貴重でかけがえのない瞬間なんだろうなぁ」と自分で思ってしまうくらいに、至福のひとときだったのですが、この作品を見てそのときの気持ちを思い出してしまいました。

<ややネタバレなので反転させてどうぞ>

最後、タエコのめがねが飛ばされてしまいますが、翌年、彼女がかけてきた新しいめがねが、それまでかけていた、やや都会的できついイメージのある黒ブチのものから、やわらかな赤い縁のものに変わっていたのも印象的でした。

<ネタバレ終了>

「めがね」ていうタイトルは登場人物が全員めがねをかけているからなんだろうけど、そもそも「めがね」て、こういう桃源郷的な場所とは不釣合いな要素だと思います。どこかで目に負担のかかるようなことをする人生を送ってきた人々が集まってきてるんだろうなぁというのがなんとなく感じられて、「都会的なもの」のシンボルとしてのめがねなんだろうなぁと思います。

主人公達の過去が一切語られずに、ただ、その瞬間だけを描くのは、賛否両論だと思いますが、この作品に限って言えば、とにかく「たそがれる」だけなので、もはや、多くは語らないというのも有りだと思います。そういう点で、「深呼吸の必要」なんかともちょっと似た感じの作品でしたね(「深呼吸」のほうがよっぽどストーリーあるけど)。

とりあえず、メルシー体操はマスターしたいですね!

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コメント

自然を感じられるなんて、それは映画館という空間で見たくなる作品だね。


めがね2つ?と思ってしまいました(笑)。

投稿: とも | 2007年10月18日 (木) 09時37分

>とも

自然音をたくさん取り入れてる映画だったから
音響の良いところで見たらとっても心地良いよー。

パンフの表紙がメガネのイラストだったのですよ。

投稿: ANDRE | 2007年10月20日 (土) 01時23分

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