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2007年12月22日 (土)

「バビロンに行きて歌え」池澤夏樹

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バビロンに行きて歌え

池澤夏樹

新潮文庫 2007.11. 

池澤夏樹の作品はどれも味わい深くて、少しずつ全作品を制覇したいなぁと思わせる作家さんです。そんなわけで、代表作の1つと言われている作品を読んでみました。

中東の国でゲリラ兵として戦っていた19歳の青年が、国を出て船にのり、真夜中にとある港に下ろされる。彼はその街で組織の仲間から偽装パスポートをもらい、しばらく身を潜めることになったのだ。そこがどのような国なのかも知らず、言葉も全く分からない状態で見ず知らずの街トーキョーを彷徨う若き青年ターリク。

東京に暮らす人々が中東の異邦人と出会った人生の瞬間を描く12編を収録する連作短編集。ターリクは全編を通して登場する影の主人公的存在で、この作品が描くのは、老獣医、大使館員、OL、バンドマンなどターリクが出会う人々の人間ドラマ。

いやー、とても面白かったです。池澤夏樹の本はやっぱり良いなぁと改めて感じちゃいました。何が良いのかと聞かれると、その良さを説明するのが難しいんですが、淡々としているのに、なんだか心に響いてくるんですよね。あと、全編を通して「歌」がテーマになってるのも自分にはとても嬉しかった!

この作品集、どの話も、ラストに変に凝った盛り上がりがなくて、淡々とした空気のまま、フッとラストを迎えるんですが、そのぷっつり感がちょっと物足りない感じもしつつ、不思議な余韻を残してくれます。

我々からすればもはやありふれた風景でもある東京という街をゲリラ兵だった青年が異邦人として訪れる。序盤、東京がどんな街かを知らない主人公が、常に警戒する姿がとても印象的で、それだけに、彼が徐々に街に溶け込み、慣れていく姿に、ちょっと早すぎなのでは?という戸惑いを覚えつつも、ほっと安心できます。

あと、この作品は、東京も外から来た人にしてみれば、わけの分からない街なんだろうなぁなんて、日々忘れてしまいがちなことも思い出させてくれました。

ターリクが見つけた自分の居場所は音楽の世界なんですが、「音楽=国境を越える」っていうともはや使い古された感があるんですが、この作品は、そんなターリクの活躍をあくまで背景に持ってきて、彼をとりまく人々の心を描いているのがとても良かったです。

基本的にどの話も結構好きですが、序盤の方が面白かったかなぁ。音楽編に突入してからは、全体的に物語が安定して予定調和なラストに向かっていった感がありましたからね。短編になってるところが良いと書いたのに、なぜか感想が長編として読んだものになってしまってますね・・・。あぁ、自己矛盾。

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