映画「ボビー」
Bobby 2006年 アメリカ |
ロバート・ケネディ議員の暗殺事件を題材に、現場に居合わせた22人の市井の人々に焦点をあてて描く「グランドホテル形式」の作品。面白いという話をよくきくので、見てみました。
舞台はベトナム戦争への反戦ムードが高まり、数ヶ月前にはキング牧師が暗殺され、混乱の時代にあった1968年6月。アメリカでは次期大統領選に湧いており、人種問題の解決や貧困対策、ベトナム戦争の拡大停止を掲げるロバート・ケネディ議員が有力候補となっていた。
物語はカリフォルニアのアンバサダーホテルにてケネディ議員を招いてのパーティが行われた1日、そのホテルに滞在していた客や従業員ら22人にスポットをあて、その夜訪れた悲劇の瞬間にいたるまでの人間ドラマを描く。
うーん、面白い作品ではあったんですが、1960年代のアメリカの状況に精通しているわけではないので、この作品がもつ本当の面白さは味わえずじまいなんだろうなぁという感じ。ただ、ラストのやたらとメッセージ性が強い場面は、1968年の問題が40年を経てもなお、解決されていないということを強く印象づけるもので、あざといなぁと思いつつ、うまいなぁと感心。
あと、なんといっても、キャストの豪華さ!そういう点では「グランドホテル形式」はこうでなくっちゃね!という感じの華やかな作品です。作品内でも言及がありましたが、この作品は、本当に「グランドホテル形式」なんですよね。ちなみに語源の「グランドホテル」という作品は1932年の作品でやや古いですが、とても面白くて僕はかなり好きな映画です。オススメ!!
22人の登場人物の中で、どのエピソードも結構好きだったんですが、その中でもとりわけ印象に残ったのは以下。
・元ドアマン(アンソニー・ホプキンス)
:さすが名優!これにつきます。
・結婚式をあげる2人(イライジャ・ウッド×リンジー・ローハン)
:ベトナム戦争という時代背景を上手く表してるなぁと。本当にこういう結婚してた人たちもいたんだろうね。
・ホテルの美容師(シャロン・ストーン)
:花嫁さんも大スターも温かく包み込む感じが良かった。
・クビを言い渡されるレストランチーフ(クリスチャン・スレーター)
:てかさ、クリスチャンを見るのが久々で、一瞬分からなかったよ・・・。
・コックさんたち
:レストランの人たちの話題は人種問題がからんできて、みごたえがありました。
他にも東欧の新聞記者とか(←彼女もよかった!)、電話交換手さんとか、アルコール漬け歌手さんとか、ドラッグ青年とかどのキャラクターも非常に魅力的で、2時間弱の間では22人全員を深く描ききれないのは当然で、そのあたりがちょっと残念な作品でもありました。
そうそう、デミ・ムーアに気づかなかったー。キャストだと、個人的に好きなヘレン・ハントも嬉しかった!てか豪華キャストすぎ・・・。
ラストのメッセージは非常に胸にせまるもので、しかもそれが、68年に実際に行われた演説をそのまま流しているというのは本当に意味深いと思います。この映画はこの場面のためだけにあると言っても過言ではないくらいに、強烈なメッセージで、なるほどそういう映画だったのかと全て納得できちゃいました。ロバート・ケネディ氏が21世紀の世界を見たら、果たして何を感じるんでしょうか。
1968年という時代を22人の登場人物を用いて、わずか2時間の中にぎゅっと詰め込んだ作品ですが、やはり、その時代の空気を知らない自分には、傍観者として、「ふーん、そうだったのかぁ」という感じでしか見られないのが残念なところです。
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