映画「きみに読む物語」
the notebook 2004年 アメリカ |
数年前に何かと話題作になっていましたが、なんか特に理由もなくあまり面白くなさそうだなぁと思っていた作品なんですが、地元レンタル店は未だに恋愛映画TOP1でいつも貸し出し中状態だったのでやや気にはなっていて、ちょうどテレビで放映したので、それを録画していたものを見ました。
物語はとある病院から始まる。入院療養中の上品な老女アリーのもとを、読書のボランティアをしている老男性デュークが訪れ、彼女に1冊の本に書かれた物語を読んで聞かせる。
その物語の舞台は2次大戦前のアメリカ南部。材木工場で働く青年ノアは避暑で町にきていた富豪の娘アリーに一目惚れして猛アタックを繰り返す。なんとかデートにこぎつけ、2人は惹かれあっていくのだが、身分の異なる男との恋にアリーの両親は大反対し、やがて2人は引き離されてしまうが・・・。という物語。
いやぁ、完璧な食わず嫌いでした。この映画、どうしてなかなか面白いじゃないですか!妙なプロモーションがかえって胡散臭さを出していて、この映画が名作だということが霞んでしまってたような気がするのは僕だけ?
一昔前の映画のような雰囲気だし、展開にそれほど意外性はないのに、なぜか知らないけれど、2時間以上という長時間完全に引き込まれてしまう不思議な魅力のある作品でした。
こういう映画では、2人があまりに自分勝手なのでは?という突っ込みはしてはいけないと思うので、あえて突っ込まないけれど、気持ちが良いくらいにまっすぐなんだよね。2人が一緒のときは(←ここちょっとポイントだと思う)。
あと、読み聞かせをするシーンと物語に書かれた恋物語との距離感が絶妙で、適度な緊張感を維持させていたのも良かったですね。
映像が綺麗なシーンが多いのも良かった!遊園地の場面とか。なにか災害の前兆なのでは?と思ってしまうくらいのアヒルの大群とか。夕日とか。雨とか。あとアメリカ南部独特の家の作り!「風とともに去りぬ」とか思い出しますね~。
あと主演のレイチェル・マグアダムスが、本当に好演。生き生き主人公を演じていて、彼女の飛び切りの笑顔がまたこの映画をとても魅力的にしていたように思います。
で、以下、ネタバレな感想になるので反転させてどうぞ。
この映画、ネタバレのタイミングが上手かったと思います。冒頭で、「そうなのかな?」とすぐに気づくけれど、それを最後までひっぱらずに、中盤で早々にネタバレをしてしまう。そうすることで、余計な心配をせずに、2人の気持ち、映像の美しさに素直に入っていけたように思います。
認知症になってしまったアリーよりも、5分だけのために毎日本を読んで聞かせるノアの姿のほうがずっとずっと切ないですよね。若い頃、来ようと思えばいくらでもチャンスがあったのに、彼を訪ねなかったアリーに対して、365通の手紙を書き続けたノアの関係が年老いてもなお続いているような気が・・・。
さて、全体的には満足度の高い作品だったんですが、どうも残念だったのは、2人が結ばれてから、現在までの間が全く描かれなかったこと。ちらりと映った写真だけではちょっと物足りないよね。結婚後も、ずっとずっと幸せな日々を過ごしてきたであろう2人だからこそラストへとつながっていくんだろうけど、この映画の構成だと、2人が困難にあっている場面ばかりがつながってしまった感じで、過去から現在へのつなぎが唐突すぎて、終盤の良い場面にそこまで感情移入できないままラストを迎えてしまったなぁというのが正直なところです。
ラストこそがこの映画の最大の見せ場なだけに、ここで気持ちを高め切れなかった自分にちょっと悔いが残ります。
あと、珍しく字幕が大御所さんじゃなかったんですが、アリーが選択を迫られた場面で、君自身の気持ちが知りたいと言われたのに、「I have to go」と言って去ってしまう場面で、「行くわ」っていう字幕はちょっと違うよね。ここは「have to」がかなりポイントだろ!と思ったんですがいかがでしょうか。
<ネタバレ終わり>
そんなわけで不満点もあるのは事実なんですが、予想外に良い映画だったので、ちょっと嬉しい気分になれる作品でした。
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コメント
こんにちは。
適当な感想しか書けてない記事にTBとコメントをいただいて、恐縮です。
わたしも、宣伝で食わず嫌いを続けてた時期がありましたが、
それでも観てみるか、と思って観て、拾い物をした感じでした。
随分以前に書いたとは言え、結構気に入った作品なのに、
ちゃんと感想を書いてない理由を覚えてない自分が情けないです。
ANDREさんがわざわざ反転で書いてらっしゃることを、
しっかり見える形で書いてしまいました^^;
あの流れの中では一番肝心だと思われ、至極簡単なことだけに、
わたしこそ、
ANDREさんが同じご意見だったことが、とっても嬉しかったです(いつも同じこと言ってます)。
投稿: 悠雅 | 2007年12月 4日 (火) 16時48分
>悠雅さん
この映画は宣伝の仕方が
やたらと押し付けがましかったので、
そういう点でちょっと損をしてるように思いますが、
本当に「拾い物」でした。
簡単な英語だっただけに、
あの字幕は「ちょっと待ったー!」という感じでしたよね。
逆に言えば、中学生レベルの簡単な英語でも
重要な場面で深い意味を持ちうるんだということを
実感させられる場面でもありました。
こちらこそ同じ意見を聞けて嬉しかったです♪
投稿: ANDRE | 2007年12月 4日 (火) 20時09分