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2007年12月13日 (木)

「100回泣くこと」 中村航

100回泣くこと (小学館文庫 な 6-1)

100回泣くこと

中村航

小学館文庫 2007.11. 

どのような作品なのかとか全く予備知識もなく、ただ中村航の作品だからということで読んだのですが、なんか、ちょっと予期せぬ展開にビックリしちゃいました。今流行の純愛ものを中村氏が書いたら・・・という感じですね。

あるとき主人公の藤井は実家で飼っている愛犬ブックが体調を崩し、そろそろ危険かもしれないという連絡を受け、実家に戻ることになった。バイクの音が好きだったブックのために、バイクで帰ってみてはどうかと付き合ってる彼女の佳美から言われ、実家に戻る前に、2人は一緒にバイクの修理をする。そして、そのとき、藤井は何気なくポロポーズをした。あたたかく幸せな日々を過ごす2人だったが・・・。という物語。

「結婚の練習」とかいうあたりで「?」とは思ったけれど、その後、後半の展開が完全にセカチュー的だったので、一瞬躊躇してしまったんですが、中村氏はやっぱり上手いです。あざとくない。良い言葉やエピソードがなんでもないようにさらりと登場して、全然おしつけがましくない。

普段なら読まないようなジャンルの作品だったけれど、やっぱりこの作家は結構好きだなと改めて実感させてくれるあたりさすがだなぁと思います。

中村氏の作品で一番好きなのは「ぐるぐるまわるすべり台」なんですが、そのときの感想にも書いてますが、この人の作品は一見すると非常に軽い文体で書かれているのに、ほとんど無駄がないんですよね。

ちょっとした軽いエピソードでしっかりと読者の心をつかんで、作品世界に完全に引き込まれてしまう感じです。登場人物もみんな魅力的。飼い犬ブックを飼うことになった経緯が結構好きです。

あとね、この作品の彼女の実家がさ、割と地元なんですよね。その駅からバスに乗っていくような住宅地ってどこだ!?とか、そうなるとどこの病院にかかってるんだろ?とか思って、なんだか妙に親近感が。駅前でバスに乗ってなんていうくだりは完全にバスターミナルの映像が頭に浮かんでましたからね。

本当に軽いタッチで描かれる前半がひっそりと心に温かさを残してくれるからこそ、終盤でありふれたちょっとした瞬間をとても愛しく感じてしまうんですよね。もうね、前半で完全にポカポカとした気持ち良い場面に心を奪われてしまったので、後半、さらりと描かれるているのに、前半でのあたたかさが脳裏にフラッシュバックしてきて切なくなってしまいました。

まぁ、特に泣きはしませんでしたが、なかなか面白い本でした。

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コメント

初めて投稿しますf(^_^)というのは私は数年、本屋ではたらいていました。ずっとコミックスを扱ってきたのですが、別の書店に移ってそのお店がレンタル中心で初めて本を展開したお店でした。 私は経験者ということでいきなり文芸書を受け持つことになりました! 本当に畑違いでコメント書きに大苦戦! 苦手分野でした…… でもあなたが書いた感想は感性が伝わってきたしわかり易く感じました。私はコメント書きの為に本も読んでいるのですがなぜか上手く書けません……「作者ならでは」とか「感動します」等どれも似たようなコメントになってしまいます..上手く表現できないんですよね…… ちなみに個人的には、村山由佳さんの著書は複雑な内容で結構好きです。

投稿: はぐみ | 2007年12月14日 (金) 00時09分

>はぐみさん

コメントどうもありがとうございます。

自分も文にはあまり自身がないので
お褒め頂いて、素直に喜んでます。

実は、自分も以前書店やCD店でバイトをしていたことがあり、
CD店では主にコメントやポップを書いてました。
で、やっぱり上手くかけなくていつも悩んでました。

このブログでもときどきそうなっちゃうんですが、
変に凝ったり、見栄をはってしまって、それらしいことを書くよりも、
語彙が平凡になっても、一読者として自分が感じたことを素直に書いた方が
相手には伝わるように思います。

後は、たとえば「作者ならでは」とか「感動します」と言っても、
どの辺が?というところまで突っ込んで書けば、
どれも同じような感想になることもないんじゃないでしょうか。

はぐみさんがあげていらっしゃる村山由佳さんの作品でも
「複雑な内容」というのが具体的にどういう複雑さなのかとか
何故そこが好きなのかということを考えていけば良いコメントが
かけると思いますよ。

て、自分もあまり上手くかけないので偉そうなこと言えないんですが・・・。

あとは数を書いていけば、慣れてきますし、
自分のスタイルを見つけられると思いますので、
とにかくたくさんコメント書くのが良いのではないかと思います。

少し厳しい意見になってしまいますが、
はぐみさんの投稿してくださったコメントを見ますと、
改行がされていなくて、読みづらい印象があります。
書店でのコメントを書くときだけではなくて、
普段から文を書くときに色々と気をつけて書くというのも大切だと思います。

本屋さんの仕事は忙しくて大変ですが、
自分が書いたコメントを読んで、それを買うお客さんの姿を見るのは
本当に嬉しいものなので、
頑張って良いコメントをたくさん書いてくださいね。

投稿: ANDRE | 2007年12月14日 (金) 01時04分

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