映画「プレステージ」
the prestige 2006年 アメリカ |
数年前に原作本が発売になったときに面白そうだなぁと思い、いつか読もうと思っているうちに映画化。ちなみに原作の「奇術師」(クリストファー・プリースト著)は世界幻想文学大賞を受賞してます(←これ、結構ポイント)。
舞台は19世紀ロンドン。「偉大なるダントン」ことアンジャー(ヒュー・ジャックマン)と「教授」ことボーデン(クリスチャン・ベール)の2人のマジシャンがライバルとして競いあい、大衆の人気をさらっていた。ある日、アンジャーがマジックの途中に溺死し、その犯人としてボーデンが逮捕される。そんな折、ボーデンのもとに面会に訪れた男が、1冊の日記を彼に手渡す。そこにはアンジャーの隠された過去が記されていた・・・。
若き日、良い友人として共にステージに立っていたアンジャーとボーデン。ところがある日、ボーデンのミスが引き起こした事故をきっかけに、2人は決別。アンジャーは新しいアシスタントのオリヴィア(スカーレット・ヨハンソン)とトリックメーカーのカッター(マイケル・ケイン)と共に、ボーデンを打ち負かすための新トリックの開発に全力を注ぐようになる。という物語。
アンジャーとボーデンそれぞれの日記から回想するという形式で、アンジャーの死の謎に迫っていくミステリのスタイルなのですが、まぁ、「世界幻想文学大賞」受賞作ですからね。それを知らずにミステリだと思って見た人は、どうも腑に落ちない気分になってしまいそうな展開かな・・・と。
原作は読んでないんですが、映画はミステリの謎解きを楽しむという作り方をしているけれど、2人の運命の皮肉さを楽しむ(?)作品だと思ったほうが楽しめるんじゃないかなと思いました。
さて、エンドクレジットがはじまって、適当に早送りしようとしたのに、主題歌が流れた瞬間、その手が止まってしまいました。トム・ヨークじゃん!!知らなかったよー。アルバムの中でも好きな曲だっただけにこれは嬉しい。
以下、適当にもうちょっと内容に関して。
個人的にはアンジャーがとても気の毒だなぁと思いました。特にラストのトリック。このトリックに関しては上手いこと伏線(?)もはられていて、ほぅほぅそうきましたかという感じだけれど、結局彼はいつもプレステージを得られないんだよね。とても皮肉的。
ボーデンのほうのトリックも思ったとおりという感じだけれど、そういう目で、最初から見直すと、なるほど、このときはああだったのか、といった発見が多くできそうですね。
どちらにしても、華やかなマジックの裏側はとてもドロドロしているのです。水を泳ぐ白鳥みたいな感じですね。タネを知ってしまえば云々という台詞があったけれど、その言葉がそのままこの映画のラストのオチを知った我々にもつながっているように感じられて、なかなか上手いなぁと。
マジックのタネを知ってしまうと、「なーんだ」というのと同じで、映画のミステリのタネも知ってしまえば、「なーんだ」となってしまう。では、果たして、映画を見るとき、種明かしをされずに謎を謎のままにして我々は楽しむことができるのか。答えはNO。でも、オチを知ってしまえば、「なーんだ」となってしまう。その点、映画はマジックよりもずっとずっと演出するのが難しいエンターテイメントなのかもしれませんね。
ただ、この作品でいうと、ラストのオチを見て、「そんなのずるいよ!」と思う我々観客の心理が、手品のタネを知ったときの真理と非常に近いと思うので、そう思うと、なかなかよくできた作品なのではないかと思います。マジックのトリックなんてどれもこれも「ずるい」とか「禁じ手」なものばかりです。
ちなみに僕は結構マジック好きでして、中学や高校の頃なんかはよく友人に見せていました。宴会芸用の簡単なのじゃなくて、割と本格的なプロ仕様の本やらトランプやらも持ってるんですが、マジックってタネを作ったり、練習するのも大変だけれど、それ以上に、「見せ方」が難しいですよねー。話術のしめる要素もかなり大きいと思います。大人気マジシャンは本当に総合エンターティナーだよね。なんてことを映画を見ながら改めて思ったのでした。
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