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2008年1月 4日 (金)

映画「フランシスコの2人の息子」

フランシスコの2人の息子

2 filhos de francisco

2005年

ブラジル

ブラジル映画といえば「セントラル・ステーション」というとんでもない傑作がありますが、これは、ブラジルでの興行収入記録を塗り替えたという作品で、劇場公開時から見たかった1本です。

ブラジル中部ゴイアス州の田舎町で義父の土地を借りて農業をするフランシスコは妻エレーナとの間に7人の子供をもうけ、貧しいながらも幸せな家庭を築いていた。あるとき、フランシスコは音楽の好きな長男ミロズマルにハーモニカを与え、それを片時も離さない姿を見て、自分の財産を売り払い、長男にアコーディオンを、次男エミヴァルにはギターを買い与えた。

しかし、楽器を購入したために一家の財政状況はいよいよ困窮を極め、地代が払えなくなった家族は州都ゴイアニアの貧民街へと引っ越していく。そんな折、家族を助けようと、ミロズマルとエミヴァルは楽器を片手にバスターミナルへ向かい、2人で歌い始めるのだが・・・。

いやはや、とーっても良い映画でした。特に前半。

この映画、実話で、アルバム売り上げ累計2000万枚以上という、ブラジルの大人気兄弟デュオの生い立ちを描いた作品。興行収入1位というのは恐らく映画の良し悪しよりかは、彼らの人気を反映したものなのではないかと思います。

で、前半が子供時代を描いて、後半は青年時代が描かれるんですが、子供時代の部分がとても良くて、その部分だけで1本の映画にすれば良いのになぁと思ってしまうくらいによかったです。

なんてたって、子供時代パートの子供2人の歌がすごく良いんだよね。哀愁漂う感じの見事なハーモニーが素晴らしかったです。作中で流れる実際の2人の歌も良いんだけど、子供の歌も同じくらいか、もしくはそれ以上に良かったです。子役の選択が非常に上手かったのではないかと思いますよ。まぁ、そもそもの曲も良いんだけど。

子供の話なんですが、タイトルにもあるとおり、父親の存在がとても大きい作品です。ブラジルという国は貧富の差が大きく、貧しい人々は豊かな暮らしを願い、子供にさまざまな夢を託す人も少なくなくないようで、サッカー選手やら、歌手やらにして、大成功をした暁には、一族皆を幸せにしてあげるんだそうです。この作品でも、父親が全財産を子供のために費やし、全力で子供達を応援する姿が描かれていて、そのまっすぐな思いがとても気持ちの良い作品でした。ま、子供も好きなことをやらせてもらってるとはいえ、自分のために全財産をかけられているのはプレッシャーなのではと思うけど・・・。

あと、ところどころに映る食べ物の数々!フェジョアーダも、シュハスコも、日本ではお目にかかれないような野菜も、どれもこれもとても美味しそうでした!!

そして、広大な土地に青い空!!サンパウロの大都会!いたるところに郷愁を誘う映像がたっぷりです。サウダージです。

で、なんでこんなことを書いてるかというと、このブログでたまに話題になる僕がかつて幼少時代に少しだけ海外に住んでいたという話があると思いますが、そこがブラジルなんです。まぁ、貧富の差のある国なので、彼らのような暮らしをしていたわけではないんですが(あれがブラジルだと思われるとちょっと・・・)、それでも食べ物なんかはとても懐かしかったですよ。すっかり忘れてしまったポル語ですが、映画を見ていて、ところどころ聞き取れて、字幕が違う!とか思えたので、ちょっとは覚えてるんだよね。こういうのずっと見てたら思い出すんですかね。

残念ながら、自分が滞在していたのは、彼らのデビュー前なので、彼らのことは知らなかったんですが、それでも、作中で流れる曲の数々はとても胸にしみいって、彼らのCDが欲しくなっちゃいました。日本では手に入りにくいみたいです・・・。

作品の後半部分は、有名になった彼らの代表曲が生まれる様子を描くんですが、この映画で胸を打つのはやはり、貧しい中、必死になって夢を追いかける家族を描く前半部分なのだろうなと思います。

現実は下手なドラマ以上にドラマチックですよね。ラストシーンでは、子供時代の物語が良い具合に思い返されてしまい、かなりウルウルしてしまいました。

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