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2008年1月16日 (水)

「燃えるスカートの少女」 エイミー・ベンダー

燃えるスカートの少女 (角川文庫 ヘ 14-1)

燃えるスカートの少女
(the girl in the flammable skirt

エイミー・ベンダー 
Aimee Bender

角川文庫 2007.12.

書店で目にして、解説を堀江敏幸氏が書いていたので興味を持って購入した1冊。アメリカの女流作家さんの第1短編集とのことです。全部で16話が収録されているんですが、独特の世界観のある作家さんで、「夢か現か」という表現が非常に良く合う。

幻想的な雰囲気の作品が多いんですが、全体を包み込む「柔らかさ」のようなものがあって、この手の作品は男性作家には書けないだろうなぁと思います。

他の作家でいえば、川上弘美さんが一番近い雰囲気でしょうか。川上作品の大ファンなので、アメリカ文学でこのような作品が出てきたことが素直に嬉しかったです。

以下気に入った作品を軽くコメントをつけて紹介。

「思い出す人」
彼が人間であることをやめて、どんどん進化を逆行していく・・・、という物語。
第1話目から完全ノックアウトです。これは他の作品にも言えることなんですが、突拍子もない設定をさらりと書いて、その突拍子もなさからさらに一歩進んだ深みへ連れて行ってくれるんですよね。8ページと非常に短い作品なんですが、いつまでも心に残っています。

「溝への忘れ物」
戦争から帰って来た夫が唇を失っていた。妻は唇の感触を求めるが・・・。という物語。
全体に切ない感じですが、ラストがとても印象に残りました。

「マジパン」
ある日、父のお腹にドーナツのように穴があき、43歳の母が妊娠。
生まれてきたのは老婆だった・・・。という物語。
この作品を読んで、「あ、川上弘美だ!」と思いました。

「フーガ」
平行して語られる3つの物語が1つにつながっていく。
タイトル通りにフーガだ!と分かったときに嬉しくなりました。
「つぶやき男」がとても印象的です。

「酔っ払いのミミ」
普通の高校に通う小鬼と人魚のラブストーリー。
これはすごいです。こんな作品が書けることがすごいと素直に思います。

「癒す人」
炎の手を持つ少女と氷の手を持つ少女の物語。
この人の作品は、こういう設定を使ってるのに、それを普通の日常を舞台にして書いてるところが非常に面白いなと思います。寓話的でとても面白い作品でした。

本の最後に作者さんが日本の読書のために書き下ろしたという短い作品が原文を載せた対訳形式で掲載されているんですが、読んでいる途中でも思ったんだけど、この作者の作品は、英語で味わうことに意義があるんじゃないかと。訳してしまうことで、もとの英文が持っている物語と同様のみずみずしい感じが消えてしまっているように思いました。今度原書で他の著作を読んでみようかなと思います。

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