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2008年2月 9日 (土)

映画「カッコーの巣の上で」

カッコーの巣の上で

one flew over the cuckoo's nest

1975年

アメリカ

アカデミー賞シーズンということで、過去の受賞作がたくさんテレビで放映されていますが、これもそんな1本。BSで放送していたのを録画してました。多分、小学校くらいのときにチラリとは観たことがあるんですが、子供には難しい作品でほとんど興味を持てず、以来、なんとなく見過ごしてきた作品です。

舞台は精神病院。ラチェット看護婦が中心となり患者達に厳しく徹底した管理を行っていた精神病院に刑務所からマクマーフィという1人の男がやってくる。刑務所から逃れるために精神病のふりをしてやってきたマクマーフィは、病院での厳しい管理に反抗し、患者達を扇動し、様々な事件を起こすのだが・・・、という物語。

最後をどのように終わらせるのかと思っていたら、まさかの衝撃展開。そしてちょっと調べてみたら、当時の治療法の実態に二重で衝撃を受けてしまいました・・・。

マクマーフィによって患者達が生き生きとし、笑顔を取り戻し、自分の気持ちを素直に表現するようになるっていう展開は最初からなんとなくは感じたんですが、このラストは、自由を象徴するようでいて、結局権威には勝てないってのも語ってる感じでなんだか解釈がいろいろ出てきそうですね。

ジャック・ニコルソンがかなり若くてビックリなんですが、さすがの演技力。70年代、80年代、90年代とオスカーに輝く名優ですが、若い頃からスゴイ役者さんですね。あと、クリストファー・ロイドが若い!てか、この10年後のBTTFで、何故あんなに老けたのか・・・。

看護婦役のルイーズ・フレッチャーもオスカーを受賞していますが、彼女が説教をする場面、なんか観ているこっちまで一緒に怒られているような気になってしまくくらいの迫力が・・・。てか怖かったです。

個人的には同じ物語を彼女の視点で描いたバージョンとかがあったら観てみたいなぁなんて思いました。

マクマーフィは、患者一人一人の正常な部分を見て、彼らの可能性を広げようとするんだけど、一方で病院サイドは、病的な部分を見て、その可能性を拒否するという構図でしたが、どちらも極端なんだよね。まぁ、そういうのを描く作品なんだろうけど。でも、抑圧されて、どんよりした感じよりかは、みんなが生き生きしているほうが第3者としてみている分には良い気がします。

あと、この作品で最後まで謎なのは、マクマーフィが本当に自分で病気のふりをしてやってきたのかということ。「病気のふりをしていると思い込んでる患者」ってパターンもありますからね。この辺も、彼の過去がはっきりと語られていないだけになんとなく謎になっていて、色々と考えさせる余地を作っていますよね。

そうそう、この病院、全体的に管理体制が厳しいとかいう割には、「監視」が甘すぎで、なんとなく違和感が。特に夜。

とまぁ、色々な感想が浮かんだ作品でしたが、つまらなくはないけれど、2度目を見るのは辛いかなぁという類の作品だったかなぁと。いわゆるニューシネマの代表作ということで、1970年代前半という時代性も重要な作品なんだと思います。そういう意味では、自由を謳いつつ、決着をつけさせないような終わらせ方は賛否両論だったのではないでしょうか。

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コメント

あー!私もみたみた!!
久々に面白く観れた映画でしたよ。
諸事情でラストあたりは観れなかったんですけど。


スレ違いだけど、スウィーニートッド、見に行きましたよー。
さすが、ミュージカル&バートン好きのレビューですね。
私には・・毒にも薬にもならんというか、その後思い出す対象にならない映画でした。
色彩や美術は良かったけど。
ミュージカル映画にしてはなんだか歌が弱すぎる気がしましたー。
ああいうスプラッターの要素にしても、グロさというか、作り手の悪意を楽しもうにも、凡庸すぎた。
そんでもってデップがひたすらクリームシチューの有田に見えてしまっていた・・。
あの少年が良かったなー、ハゲの薬を売りつけようと歌うシーンが、生き生きとした臨場感があって楽しめました。
子供ってたまにすごくないですか?
去年の夏に、BSでどっかの音楽祭の、やたら前衛的な演出の魔笛を見たんですけど、それに出てくる天使の役どころの少年の歌にびっくりしました。アンドレくん観てそうなんだけど・・観てないでしょうか。

投稿: ヨーコ | 2008年2月20日 (水) 21時32分

>ヨーコさん

お、久しぶり。

見ごたえのある映画だったね。
ヨーコさんはなんとなくこういうの好きそう。

>スウィーニー・トッド

歌はね、舞台版はもっと印象に残るんだけどね。
映画用にこじんまりと編曲されちゃってて残念。
しかも一番耳に残る肝心のテーマソングがカットされたからね。

スプラッター要素は、
バートンは「スリーピーホロー」のほうが
バシバシ首を飛ばしてたから、
そう思うとちょっと控えめだったんだよね。
でも、彼は絶対に、楽しんで作ったんだろうなてのが分かる映像で、
なんだか見ていて気持ちよくはないけど、
微笑ましかったなぁと。

少年、今回の映画版ではかなりのヒットだよね。
歌も一番上手かった気がする。

舞台だと、障害のある青年という設定になってることが多くて
バートンだったら、その設定を上手く活かしても良さそうなんだけど、
そうすると、強調したかったメインのテーマがぼやけちゃうからか、
自分に子供ができたからか、少年ていう設定に変えてたんだよね。

たまにすごい子供はたくさんいるので、
僕は結構子供が主役の映画も好きで見てますよ~。
多くの場合、成長すると輝きが失われるんだよね・・・。

前衛的な魔笛なんてやってたんだー。
残念ながら見ていません。
映画の魔笛は見たんだけどね。
こちらもなかなか前衛的な演出だったよ。

投稿: ANDRE | 2008年2月21日 (木) 01時08分

はじめまして、こんばんは。
最近「カッコーの巣の上で」をレンタルして見たのですが、
正直面白いと思えませんでした。
作品の言わんとしているところはわかるのですが。
病院側が人権を侵害するほどの厳しい管理体制を
とっているようには感じられませんでしたし
(電気ショックやロボトミーは酷いと思いましたが)、
マクマーフィの行動が本能の赴くままというか、
反社会的なのも気になりました。
正当な権利を主張してそれが不当に退けられるというシーンが
あれば良かったと思うのですが…
この映画が名作とされる理由がちょっと分かりません。
何か見落としている点があるんでしょうか?

投稿: ぎゅうにゅう | 2008年9月12日 (金) 21時01分

>ぎゅうにゅうさん

はじめまして!
コメントいただきましてどうもありがとうございます。

自分も本質を理解しきれているかは分かりませんし、
極めて、個人的な考えですが、
ぎゅうにゅうさんが気にされた
マクマーフィの反社会性こそがこの作品の肝なんだと思います。

この作品が作られた70年代頃には
娯楽としての映画作りから少し離れて、
「体制VS自由」という構図で抑圧された人々を描く作品が
多く作られていたので(ベトナム戦争などの影響かと思います)、
どんなに抑圧された環境下においても、
自由を貫くという姿を描きつつ、
そんな主人公が結局はなきものにされるという「現実」を描ききったところが
この作品の映画としての面白さなのだと思います。
主人公が「英雄」ではないというか。
そして、1つの希望をちゃんと見せたところも
当時の観客には喜ばれたのではないでしょうか。
後はこれが独裁国家などではなくて、アメリカという国家を象徴している点も
1つの面白さなのかもしれません。

日本でも学生運動などが盛んだった70年代頃の視点で作られたので
現代的な視点で見てしまうと、
今さら感の強いメッセージでもあるように思います。
自分もリアルに70年代を経験してるわけではないので、
そこまで響いてこないのは同じでした。
あと、そもそも自分は反体制的なことに
そこまで興味が無いのですが、
反体制的のことに憧れやかっこよさを見出せるかでも
この映画の好き嫌いは分かれるかと思います。
その辺りが批評家受けの良い理由かもしれませんね。
なんといっても「批評」家ですから。

ただ、当時はロボトミーも当たり前の治療の1つだったとか思うと
この作品の与えるインパクトはやはり強烈ですよね。

主人公にせよ、ロボトミーにせよ極端だとは思うのですが、
ロボトミーの不条理さと対比させるためには、
あのくらい自由奔放な主人公が必要だったんでしょうね。

病院の管理の厳しさはそれほど感じられない作品ではありましたが、
それでも、テレビが観たいとか、タバコが吸いたいとか外出がしたいとか、
わりと些細で日常的な希望でさえ制限されているというのも
問題なのかもしれませんね。
タバコの健康的影響なんかは
現在ほど厳しく言われてなかったと思いますし。

まぁ、厳しい管理下にあるという設定にしては、
色々と警備が甘いのはいかがなものかなというのは
自分も感じたんですが。

投稿: ANDRE | 2008年9月12日 (金) 23時22分

>ANDREさん
確かに70年代という時期を考えればこういう話がトレンドだったんでしょうね。
といっても私もその時代を現実に体験しているわけではないですが。
映画を見てその時の時代性を感じるというのも面白いですね。

あと、劇中でマクマーフィが病院の規則に抗おうとし
それによって色々な事件や悲劇が起きるわけですが、
これは力づくで規則を破るのではなく
然るべき手順を踏んで行けば防ぐ事ができたと感じました。
にも関わらずマクマーフィの態度は責任を
全て病院側に押し付けている様に見えた点が
一番見ていて不快に感じたところかもしれません。
自分の行動に伴う責任を考えていないというか。

当時は力づくで抗わないとどうにもならない事もあったんだとは思いますが。
今のこの生活があるのも先人たちの戦いの結果ですからね。

一方的にどちらかが悪いという視点で見ているのが問題かもしれませんね。
ANDREさんの言っている様に両方を極端に描いている作品なので
その対比を楽しむ(楽しい映画ではないですが)のが良いのでしょうね。

投稿: ぎゅうにゅう | 2008年9月13日 (土) 13時11分

>ぎゅうにゅうさん

>これは力づくで規則を破るのではなく
然るべき手順を踏んで行けば防ぐ事ができたと感じました。


まぁ、でも力ずくでないと、
マクマーフィのキャラそのものを否定しちゃいますからね。
不良少年が散々暴れて、
「大人たちが悪いんだ!」みたいに言うのと似た感じですよね。

あと、世の中、レベルの差こそあれ、
意外と、こういう理不尽な行動を取る人が
管理する側にも、反抗する側にも結構いるような気がします。

自分も、この作品は、
管理する側の問題もあるだろうけれど、
マクマーフィのやり方は極端だと思ったくちですが、
そのおかげで、管理する側の問題はもちろんんこと、
それに反抗する側のことに関しても
色々なことを考えられる作品になっていたと思うので
割と面白く鑑賞できたと思います。

投稿: ANDRE | 2008年9月14日 (日) 00時35分

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