映画「テラビシアにかける橋」
bridge to terabithia 2007年 アメリカ |
1つ前の記事で原作の感想を書きましたが、原作を読み終えたので早速映画のほうも観にいってきました。原作を読んでいても、がっかりするような映画化ではなくて、なかなか良い感じで映像化されていたと思います。
ストーリーは大枠はかなり原作に忠実。そんなわけでストーリー的な感想は原作のほうでどうぞ。(コチラ)
いつもダラダラと自分のことに夢中な2人の姉と、まだまだ幼い2人の妹に挟まれて育ったジェス少年が主人公。ジェスの家は裕福ではなく、一家の男手として様々な仕事を手伝い、学校ではいじめっ子たちにからかわれ、彼の唯一の楽しみは絵を描くことと、かけっこで学年で一番になることであった。
ある日隣の家に、作家夫妻が引っ越してくる。その一人娘のレスリーはジェスと同じ歳で、やがて2人は親友となり、近所の森の中に2人だけの秘密の国、テラビシアを作るのだが・・・。という物語。
非常に丁寧に原作を映画化していて、映像も、音楽も、ちょっとした間も、表情も、非常に上手い。惜しむらくは、予告編の感じだと、これがファンタジーなのか、なんのなかがよく分からない点。
もうね、オープニングのジェスの絵が動いているアニメーションからして、「あ、この映画は期待以上かもしれない」と思わせてくれたんですが、いやぁ、分かってはいたんですが、大号泣しちゃいました。特に序盤の映像化が結構上手くて、最後の展開を知っているだけに、序盤からぐっとくる場面が多かったんです・・・。
主演2人の子役は、ジェスが「ザスーラ」の兄役のジョシュ・ハッチャーソン、レスリーが「チョコレート工場」のキャンディ少女のアナソフィア・ロブとすでに見覚えのある2人だったんですが、彼らが非常に良かった!2人とも本当に良い。この作品の映画化の成功はこの2人によるところもかなり大きいと思う。
原作を多少アレンジしている部分もあったんですが、原作の重要な要素をしっかりと押さえて、短い尺ながら、原作のエピソードの数々をさらりと、しかし、ちゃんと分かるように上手く挿入しているのは見事でした。
で、原作以上にテラビシアのシーンが長いんですよね。原作ではどっちかというと、学園生活や、家でのできごと、つまり、2人にとっての現実世界のできごとが細かく描かれて、テラビシアの部分は割りとさらっと描かれたんですが、映画では、テラビシアを同じくらいじっくりと描くことで2人の絆の深さを印象深いものにしていたように思います。
ただテラビシアをちょっと描きすぎちゃったかなぁという気も。
最初にロープで渡るときに、レスリーに雲を見ると空を飛んでいるみたいだといわれたジェスがロープに乗って空を見上げるシーンで、空そのものを映さなかったので、「あぁ、この作品は映像作品でありながら、観客の想像力に訴えるように作っているのかな」と一瞬でも思ってしまったんですよね。
予告なんかでも分かっていたことだけれど、ちょっとCGが駆使されすぎていたように思います。これは多分先に原作を読んでしまったからなんだろうけど、「本」というメディアだと、読者である自分達も、ジェスやレスリーたち一緒になって、自分のテラビシアを想像することができるんです。
しかし映画だと、アレだけ見事なCGで映像化されちゃうと、もうそれが、「テラビシア」のイメージとして固定してしまう。我々はジェスの目を通したテラビシアしか見ることができなくなってしまうんですよね。巨人が最初に出てきたときに、巨人の影が巨大な木とうまく重なるようにしていたんですが、個人的にはあのくらいの映像化で十分だとも思うんです。
ラストシーンも映画はなんだか「ビッグフィッシュ」みたいになってしまってたんですが、原作は絶妙のところで終わって、こちらの想像力を働かせてくれたので、個人的にはラストも映画の映像は饒舌だったなぁと思います。
ロープのシーンでは雲を映さなくても、ジェスが空を飛んでいるように見せたわけですから、それと同じように、上手いこと観客の想像力に訴えるような映像化のほうがこの作品の主旨にもあってると思うんですよね。しかも、学校の場面とかでは、饒舌にならずに、さりげなく色々なことを描くのが良かっただけにね。まぁ、テラビシアを魅力的に描かないとなると、映画化という企画自体が、微妙だってことになっちゃうんですが・・・。
ただ今回の映画、原作から、主人公と父親の関係をもっと濃く抽出していたり、ラストの描き方に独自性を持っていたりして、原作を大切にしつつも、そこに映画なりのメッセージをしっかりと入れようとしているのは良かったと思います。細かな改変部分もなかなか考えられているし。
終盤に大きなテーマをかかげつつも、作品のテーマ自体がそこに終始しているわけではないというのがこの作品の魅力だと思うんですが、映画でもそこが生かされたのが嬉しかったなぁと思いました♪
てか、原作のほうが、主人公の苦悩が激しくて、意外にも映画のほうがあっさりしてたように思います。あと牛が出てこなくてちょっと淋しかったっす。
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 映画「天使の分け前」(2013.06.13)
- 映画「屋根裏部屋のマリアたち」(2013.05.29)
- 映画「ハッシュパピー バスタブ島の少女」(2013.05.27)
- 映画「リンカーン弁護士」(2013.05.06)
- 映画「偽りなき者」(2013.05.05)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
トラコメありがとうございます。
私もトラビシアの映像化はどうかなと思っていたので、思わずトラックバックさせていただきました。
タイトル、予告編などから、ファンタジーと思った方が多かったのでは?
折角良い話なのに・・・と思った次第です。
原作を読んでからご覧になったのですね。
やっぱり読んでみようかな~。
これからも宜しくお願いします。
投稿: ryoko | 2008年2月19日 (火) 22時07分
>ryokoさん
こちらこそどうもありがとうございました。
原作は基本同じなんですが、
ところどころ映画で改変された場面がありまして、
意外にもその改変がうまいなぁと感じるところが
多いので、見比べてみると面白いですよ。
こちらこそ宜しくお願いします。
投稿: ANDRE | 2008年2月20日 (水) 02時07分