映画「魔法にかけられて」
enchanted 2007年 アメリカ |
僕がひっそりと(?)ディズニー愛好家であることは、普段はとりたててこのブログで話題になることもないのですが、この映画だけは熱くならざるを得ません。製作の噂をネットで読んで知ったのは5年以上前じゃないのかなぁ。それからずーーーーーーーっと楽しみにしてた作品です。
主人公はアニメーションの世界、おとぎの国のアンダレーシアで、森の動物達と暮らし、素敵な王子様との出会いを夢みながら歌を歌うジゼル。ある日、夢に見た王子エドワードと出会い、すぐに恋に落ちた2人はそのままお城で結婚式を挙げることに。ところが、王子が結婚して王座を追われることを危惧した継母(実は悪い魔女)がジゼルを井戸に突き落としてしまう。
井戸に突き落とされたジゼルがたどり着いたのは現代のNY。何も分からずに街を彷徨い、お城を探すジゼルは、幼い娘を男手1つで育てている離婚弁護士のロバートと出会う。やがて、そこに、ジゼルを探してエドワード王子もNYへたどり着き、魔女の命令でやってきたナサニエルも交えて、おとぎの国の住人たちがNYで騒動を巻き起こすという物語。ストーリー的には「白雪姫」と「眠れる森の美女」がリミックスされた感じです。
ディズニー映画の中の「常識」をそのまま現実世界に持ってくると、どうなるのか。プリンセスは単なる不思議ちゃんなのではないかという、究極のつっこみをディスニーが自ら下す意欲作でしたね。それでいて、それをしっかりと「ディズニー映画」として成立させているのが、他ではマネできない技ですね。
おとぎの国の人々のアニメならではの動きを見事に再現してくれたキャストたちの熱演もあって、アニメの動きを現実世界でやられると、単に挙動不審な怪しいお姉さん(てかエイミー・アダムスは30歳過ぎてるんですね)&おっさんになってしまうという自虐的パロディがとにかく面白い。そう考えると、現実世界にありながら、このおとぎの国的な非日常を皆が自然に受け入れて満喫しているディズニーランドって実は本当に「夢と魔法の王国」なんじゃないかと思ってみたり。
てか、この作品さ、「ディズニー」というブランドを自ら「非現実」のものとして認めしてしまって、現実の世界にディズニー的世界は存在しないってことを大胆にアピールしてしまってるのはちょっとどうなんですかねぇ。
ストーリー的に、もうちょっと毒のある笑いを入れてくれたほうが楽しめるかなぁとか、エドワードとのデートシーンをもうちょっと効果的に使ったほうが終盤の流れが上手く運んだじゃないかとか、やや物足りなさは残るものの、僕は満足ですよ。はい。あ、掃除のシーンのあの生き物達はちょっとやり過ぎ感があってビジュアル的にきつかったけど。
ラストも女性の皆さんには「待ってました」といわんばかりの展開だったんじゃないでしょうかね。時代ですねぇ。
あと、せっかくミュージカル女優のイディナ・メンゼル(「RENT」、「WICKED」のオリジナルキャスト)が出演してくれたんだから、彼女に歌ってほしかったなぁと。むしろ何故彼女は歌わないんだろ??てのが気になりますね。登場した瞬間に、「モーリーンだ!!!」と思って、彼女の歌も期待しちゃいましたよ。むしろ彼女が歌わないってのもネタなのか!?
ちなみにエドワード王子は「ヘアスプレー」のいけてないコーニー・コリンズですね。今回もいけてない王子を熱演です。ミュージカル映画好きのツボを微妙についてくるキャスティングです。
ミュージカルシーンといえば、公園で歌い始めたときに、ロバートが、「え、この歌みんな知ってるわけ?」とツッコミまくるところが、ミュージカルに対して誰もが一度は思ったことのある台詞なわけで、それをディズニー映画で突っ込まれるとは思わなかっただけに、かなり面白かったです。これもミュージカルシーンが完璧すぎるほどにしっかりと作られているからこそできるネタだと思います。
<以下ネタバレありなので反転させてどうぞ>
ラスト、ロバートのフィアンセがアニメの世界に行ってしまいますが、これが、「姫」にあこがれる現代女性を表してるのかなぁとか、「現実に疲れたときはディズニーをどうぞ」的メッセージにようにも感じられました。一方で、ジゼルが「現実的な幸せ」をつかみますが、彼女がロバートの家で娘にプレゼントした女性の偉人たちの本を読んでいるのがチラリと映ってて、冒頭から細かく伏線が貼ってあったんだなぁと。「どちらも幸せなんだよ」てのがディズニーの立場なんでしょうね。
<以下、ディズニー好きなコメントなので適当にどうぞ>
いやはや、素晴らしく楽しめました。始まるや否や、実写の絵本が開く演出で、「あ、クラシック・ディズニーだ」と思わせ、そこに流れるナレーションがジュリー・アンドリュース。もう、これだけで嬉しくて嬉しくてたまらないですよ。
冒頭10分ほどのアニメシーンも、CGの3Dアニメばかりが作られるようになった昨今の映画界において、2Dアニメの素晴らしさを再認識させてくれる素晴らしい内容。もうさ、「なんとかリトル」とか作らなくていいから、上質の2Dアニメをガンガン作ってほしいものですよ。「リトル・マッチ・ガール」というとんでもない傑作も作っているし、何気に最近のディズニーの2Dアニメのクオリティはスゴイことになってるんじゃないかと思いますよ。
いたるところに小ネタがしこまれていて、一瞬流れるBGM音楽でさえ聞き逃せない作品だったのも嬉しかったですねー。「あ!」と気づいてニヤリとする場面多数。
冒頭のアニメシーンも、あ、この動きダンスは「眠れる~」だ!とか見所満載すぎでした。そうそうトロール退治するけどさ、これなんとなく「シュレック」を意識してる気がしましたよ。ディズニーをパロディしまくった映画だし。
公式発表されてるネタだけでもすごい細かさですが、自分がこれはもしやと思ったもの、特にパンフで言及されてないネタでも書いてみようかなと。あのさ、公園で歌ってるときに、ボートに乗ってる場面、ボートの大きさといい、「リトル・マーメイド」の「kiss the girl」だよね。この歌の場面、何気に公園でやってる劇がラプンツェルだったように思うんですが、過去の名作のみならず、製作中の新作までネタに入れてくるところが細かい。
「ベラノッテ」っていうレストランが映って、「お!」と思ったところに犬が出てくるとかも嬉しかったです。
そうそうあとTVのシーンはネタの宝庫っぽいんですが、ちらっと映った画面が、「ジャックと豆の木」のときの実写の腹話術人形の場面でしたよね。本当に細かいところまで気の抜けない作品でしたね。
魔女さんのラストの大暴れシーンは、「眠れる~」なんですが、キングコング!と思いつつ、僕の脳裏に浮かんだのは「runaway brain」のほうでした・・・。
そして、ひっそりとロバートの名前がネタバレになってたんですね。細かっ!名前といえば、英語では「Prince Charming」って言ってたのに、字幕には全く反映されてなかったシーンがありましたねぇ。
さて、自分はディズニーファンである前にアラン・メンケンファンなんですが、今回の曲は、久々のディズニー作品というだけあって気合が入っていて、どの曲も良かったですね。アラン・メンケン&スティーヴン・シュワルツは「ポカホンタス」&「ノートルダム」というディズニー映画でも隠れた名曲が揃う作品のコンビですらからね。エンディングのメドレーは結婚式なんかにも良さそうな感じです。
今回の曲の中で一番好きなのは「That's how you know」です。リトル・マーメイドの「under the sea」と同様にレゲエ調でノリの良い曲なのがお気に入り。
そんなわけで、「なんとかリトル」とかは歴史から外しても良いので、この作品こそ、「クラシック」シリーズに入れる価値は十分にあると思える作品だったと思います。「メリー・ポピンズ」があるんだから、実写が入っても良いわけだし。ディズニーさんのエンタメに関して妥協しないプロ根性が僕は好きです。
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