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2008年4月

2008年4月28日 (月)

映画「敬愛なるベートーヴェン」

敬愛なるベートーヴェン

copying Beethoven

2006年

イギリス・ハンガリー

自分がピアノやら歌やらをする人間なので、こういう音楽もの映画は結構好きです。できれば劇場で見たかったのですが、機会を逸したのでDVD鑑賞。

主人公のアンナ・ホルツは学校からの紹介で偉大な作曲家として名を馳せていたベートーヴェンの楽譜の写譜をするために彼のもとへと通うようになる。粗暴で下品なベートーヴェンに対し、嫌悪感を抱きながらも、音楽家としての才能にひかれずにはいられず・・・。第9の初演の裏側と大作曲家の最期の日々を支えた女性を描く。

著名人を題材にそこに架空の女性をあてる作品という共通性もあるんですが、全体的な雰囲気は『真珠の耳飾の少女』に似ているなぁという印象です。多分それは、台詞が少なく、音楽と映像だけで見せようとする場面が多いことや、光を上手く演出した絵画的な映像が多かったからかなと。

もっと主人公とベートーヴェンの絆をドラマティックにエンタメして描くのかと思いきや、割と地味な作品な上に、なんとクライマックスが中盤に早々に訪れてしまうという思いがけない展開で、色々と予想を裏切られる作品でしたね。

ベートーヴェンを演じたエド・ハリスは、一瞬彼だと気づかないくらいの熱演だったし、主人公のアンナを演じるダイアン・クルーガーも凛とした姿がとても印象的でした。

第9の場面、演奏が、「え?」と思ってしまうくらいにかなりしっかりと長く描かれていて、家庭でのDVD鑑賞でも十分すぎるくらいに堪能できるので、きっと映画館だったらもっともっと感動できる場面だったのではないかと思います。

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2008年4月26日 (土)

「海を失った男」 シオドア・スタージョン

海を失った男 (晶文社ミステリ)

海を失った男
(the man who lost the sea)

シオドア・スタージョン 
Theodore Sturgeon

河出文庫 2008.04
写真は晶文社刊の単行本

幻想的な作品を多く生み出したアメリカの小説家スタージョンの短編集。ちゃんと作品集という形で読むのは初めてです。書籍写真がなかったので単行本のものを載せましたが、文庫版は表紙の絵がなかなか目をひく装丁で良い感じです(河出書房から単行本で出ている他のスタージョン作品にあわせた装丁ですね)。

収録されているのは100ページを越えるやや長めのものから数ページの長さのものまで中編・短編が8編。いずれも、やや哲学的雰囲気を持った幻想SFといった風合の作品ばかりで、詩的で難解な作品からストーリーの面白さでみせる作品まで様々といった印象。

もう少し気軽に楽しめるのかなと思っていたのですが、結構気合を入れて読まないといけない1冊でしたね。

そんなわけで、それぞれの作品に適当にコメント。

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2008年4月22日 (火)

「卒業」 重松清

卒業 (新潮文庫)

卒業

重松清

新潮文庫 2006.11  

重松清は好きな作家の1人でずっと文庫で新作が出るたびに追いかけていたんですが、割と作品の出るペースが早い作家なので、次々と出る新作と重松節にちょっと満腹(?)になってしまい、少し離れてみようと思って、このところ全く読んでいませんでした。そんなわけで、約3年ぶりの重松作品。

「卒業」をテーマに、「まゆみのマーチ」、「あおげば尊し」、「卒業」、「追伸」の4作品を収録した短編集。

いやはや、久々の重松作品だったんですが、相変わらずの重松節に見事にやられてしまい、見事なまでに泣かされてしまいました。収録4作品の中では「まゆみのマーチ」に一番泣かされましたが、完成度としては「追伸」が一番印象的。

では1話ずつ簡単に感想を。

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2008年4月18日 (金)

映画「明日、君がいない」

明日、君がいない

2:37

2006年

オーストラリア

見たのはちょっと前なんですが、色々と立て込んでたので、レビュー書くのが遅くなってしまいました。劇場公開時から気になっていた1本です。何かと話題の作品だったので、かなり期待して観てみました。なんか訛った英語で聞きづらいと思ったらオーストラリア映画でしたね。

物語は、ある高校で、午後2:37に鍵のかけられた部屋の中から血が流れ出ている場面から始まる。その後、時間を巻き戻し、その日の朝から、事件の起こるまでを、6人の生徒に焦点をあて、ドキュメンタリー風に彼らのインタビューを交えながら、その時間に何が起こったのかを描き出すという作品。

基本的な手法は「エレファント」と似ていて、時間を前後させながら、何人かの生徒たちの日常を切り取っていく形なんですが、この作品は「エレファント」よりもずっと、ドラマ性がある作品という印象です。

まず、生徒達が、「どこにでもいる普通の高校生達」ではあるんですが、抱えている悩みがいちいち重い。逆に、6人の誰が事件を起こしてもおかしくないと思わせるくらいに、問題を抱えた生徒たちばかりに焦点をあてているので、必然的に、誰が事件を起こすのかという「謎解き」的要素をもって作品鑑賞することになります。

この作品の上手いところは、そうやって観るように我々観客の心理を見事に操作したところだと思います。ラスト、事実が明かされるんですが、それと同時に、色々なことを考えさせられる作品でした。

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2008年4月15日 (火)

「バラ色の怪物」 笹生陽子

バラ色の怪物 (講談社文庫)

バラ色の怪物

笹生陽子

講談社文庫 2007.7  

半年以上前に買ってたんですけど、ずっと積読になってた1冊。笹生陽子さんの作品は安定して面白いので、ついつい読んでしまいます。今回で5冊目。

主人公の遠藤は中学2年。母子家庭で苦しい経済状況なため、買ったばかりの眼鏡を壊してしまったことを言い出せずにいたところ、友人の宇崎がバイトの話をもちかけ、「行動する中学生の会」と名乗る団体で、代表の三上のもとで働き始める。一方、学校では、温室の植物をケアするボランティアをはじめ、そこで、学内で騒動を巻き起こす問題児、髪をピンクに染めた孤高の少女吉川と知り合いになるのだが・・・。

結構終盤まで何のことなしに読んでいたんですけど、終盤、タイトルの意味が分かる場面は、はっとさせられました。少年の成長物語としては、成長に関係する事件はなんだかなぁという感じではあるんですけど、「自分」を知るという点で非常によく描かれている作品だと思います。

うん、きっかけとして使われる中学生達を束ねる怪しげなバイトが、「おいおい」って感じなんだよね。三上少年の怪しげな安っぽいキャラも、まぁ、ストーリー的にはよく合ってるんだけど、あまり好きではなかったので。吉川さんとのエピソードを深く掘り下げたほうが好きだったかなぁと。

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2008年4月14日 (月)

映画「パーフェクト・ストレンジャー」

パーフェクト・ストレンジャー

perfect stranger

2007年

アメリカ

劇場公開時に、衝撃の結末ということで宣伝していてちょっと気になっていた作品。ハル・ベリーとブルース・ウィルスの共演ということも非常に魅力的なので、楽しみにして観てみました。

新聞記者のロウィーナは、幼馴染のグレースから、ネット上で知り合った広告業界の大物ハリソン・ヒルと不倫するも捨てられたことを聞き、その数日後、グレースが変死体となって発見される。彼女の死の真相を突き止めようと、友人のマイルズとともに、調査を始めたロウィーナはハリソンに近づこうと、彼の会社に潜入するのだが・・・。果たしてグレースの死に隠された驚愕の真相とは!?という物語。

ハル・ベリーという女優さんは本当にいつ見ても美しいですね。見るたびに、きれいだなぁと見とれてしまいます。あと、今回のブルース・ウィルスは、不死身男ではなく、女好きの会社社長という役どころでしたが、なんか、ちょっと気の毒な役回りでしたね。

うーん。この映画さ、意外な結末であることを宣伝しすぎたよね。意外な結末であることを知ってしまうと、そういう作品だと思って見ちゃうから、次々と畳み掛けるようにどんでん返しが続いても(そんなに続きもしないけど)、拍子抜けしてしまうというか。しかも作品としての面白さが乏しくて、ストーリーの謎がほとんど全てなだけに・・・。

なんとなく話を分かりづらくしていて、見ていて「?」と思うような部分もあるんですけど、「謎=分かりづらくしてごまかす」というのは、観ている側としてはちょっと辛いです。

オチは「お、なるほどね」って感じではあるけれど、どうせならもっともっと意外性のある驚きが欲しかったかなぁと思います。てか、このラストだとさ、単なる変態がたくさんいたような感じでちょっとなぁと思いますよ。思わせぶりな人たちは単におかしな人だっただけってのは、どうなんでしょうか。

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2008年4月11日 (金)

「四畳半神話大系」 森見登美彦

四畳半神話大系 (角川文庫 も 19-1)

四畳半神話大系

森見上美彦

角川文庫 2008.3  

近頃割と評判になっている森見登美彦の文庫2冊目です。以前読んだ「太陽の塔」は、妙なインパクトがあって、読んで以来、クリスマスが来ると、「ええじゃないか」を思い出すようになってしまいました。

舞台は京都。大学の3回生の私は、古い4畳半のアパートに住み、悪友の小津や、1つ下の後輩の明石さん、上の階に暮らす謎の男、樋口らと共に、薔薇色のキャンパスライフとは程遠い事件に巻き込まれていく。

1回生のときに、映画サークル「みそぎ」、「弟子求ム」、ソフトボールサークル「ほんわか」、秘密機関「福猫飯店」と4つのサークルのビラをもらい、その中から1つを選んだのだが、今思えば、それが最大の過ちだったのではないかと後悔するばかり・・・。

という物語。

全部で4話収録の連作短編のような感じになっているんですが、最初の1話目を読み終えた感想は、「太陽の塔」と同じじゃん!でした。インテリぶった感じの独特の節回しで、語られる大学生の悶々とした鬱屈で馬鹿で阿呆でどうしようもない日々を綴った作品。頭良いんだけど、馬鹿というか、斜に構えたフリをして楽しむというか。

ただ、この作品、収録されている4話の関係がちょっと面白いので、それは是非読んで楽しんでいただきたいと思います。途中、「また?」と思うけど、最終話までくると、上手いなぁと感心しちゃいました。

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2008年4月 9日 (水)

「贖罪」 イアン・マキューアン

贖罪〈上〉 (新潮文庫)

贖罪
(atonement)

イアン・マキューアン 
Ian McEwan

新潮文庫 2008.03

今週末に公開されるキーラ・ナイトレイ主演の映画「つぐない」の原作でもあるイアン・マキューアンの作品。マキューアン作品はこれまでハズレなしでどれも面白かったので、最高傑作との呼び声も高いこの作品はずっと読みたかった1冊です。

物語は1935年のイギリスの地方にある旧家でのある1日から幕をあける。タリス家の末娘ブライオニーは空想好きで物語を書くのが大好きな13歳の少女だった。彼女は帰郷する兄のために、両親の離婚騒動のためにしばらく滞在することになった従妹弟たちを役者にしたて、劇を上演しようと張り切っていた。そして、そんな中、ブライオニーは彼女の人生を変える衝撃の場面に出くわし、やがてそれが大きな事件へと発展する。やがて物語は第2次大戦、現代へと舞台を移し、思いもよらぬ真実が語られていく。という物語。

傑作すぎて困るくらいに傑作でした。

凄いぞマキューアン!語彙のない感想ですが、ただひたすら凄いです。最初から最後まで非常に読み応えのある作品で、これまでもマキューアン作品の心理描写は見事だったんですが、今作では、その見事すぎる心理描写を逆手にとった内容になっていて、小説を読む醍醐味をたっぷりと味わわせてくれました。間違いなくこれまで読んだマキューアン作品の中ではダントツの素晴らしさで、作品から作者の情熱があふれんばかりという印象です。

ブイオニーの母エミリーや、ブライオニーの姉セシーリア、タリス家の使用人の息子ダニー、ブライオニーの兄の友人である実業家のポールら多彩な人物たちを、視点を移していきながら、これでもかというくらいに徹底した心理描写で描く第1部は、1日のできごとを描くだけで300ページ(上巻1冊)を使っていて、もうこれだけで非常に美しくて完成された1つの作品として読むことも十分すぎるくらいに可能なのではと思わせます。

とにかくこの第1部が丁寧すぎるくらいに丁寧でまどろっこしいんです。しかもそこで使われている描写がまたあまりに上手いので、一文一文をじっくりと味わいたくなってしまうんです。でもって、この第1部をここまでじっくりと読ませるところからもうマキューアンマジックは始まっていたわけで、これにはただただ脱帽でした。

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2008年4月 6日 (日)

映画「ベルズ・アー・リンギング」

ベルズ・アー・リンギング 特別版

bells are ringing

1960年

アメリカ

我が家にはミュージカル映画のDVDが結構あるんですが、買っただけで満足してしまって観ていなかったものを今年は消費しようということで、適当に1本選んでみました。

舞台は1950年代のニューヨーク。電話応対代行会社(留守電サービスみたいな感じで、代わりに応答して伝言を受け取り伝える)でオペレーターをしているエラは、いつも声でのやりとりしかない顧客の男性たちとの会話を楽しんでいた。

その中でもとりわけ、劇作家のジェフリーのことが気になっていたエラは、ある日、ついに、本人に会いに行ってしまう。いつも電話口では、年老いた女性を偽って会話をしていたため、自らの身分を隠すエラだったが、ジェフリーが彼女のことを気に入ってしまって・・・。

というラブコメの物語を、主人公の勤める会社をだまし、隠れてノミ屋業を営もうとする男や、電話応対会社を売春宿の隠れ蓑ではないかと疑う刑事など様々な登場人物たちが繰りひろげるドタバタを織り交ぜて描く。

うーん、長い。これにつきます。ミュージカル映画全盛期の作品で、ブロードウェーのヒット作をミネリ監督が映画化と何かと話題作だったのではないかと思われるんですが、ラブコメは2時間を越えるとちょっとだれてしまいます。

オープニングが非常に面白くて、ものすごいワクワク感を感じたんですけど、やっぱりの中だるみ。ノミ屋の下りはごっそりとカットしても良いのではと思ってしまうんですが・・・・。

ちょっとジャジーな感じの音楽はどれも良い曲ばかりで、主演のジュディ・ホリデイも舞台での当たり役をそのまま映画でも演じているということで、とても生き生きしています。

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2008年4月 5日 (土)

08年3月に聴いたCDから

いつもは2ヶ月まとめて書いている記事ですが、3月で結構たまったので、忘れないうちにメモ代わりに3月分でまとめてしまいます。

今月のラインナップは以下

・アーティスト名 「タイトル」 (発売年月)

・Asian Kung-Fu Generation 「ワールドワールドワールド」 (08/3)

・平井堅 「FAKIN' POP」 (08/3)

・キリンジ 「7」 (08/3)

・Vanilla Sky 「Changes」 (08/1)

・Adele 「19」 (08/3)

・サウンドトラック 「魔法にかけられて」 (08/2)

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2008年4月 2日 (水)

映画「ダイハード4.0」

ダイ・ハード4.0 (特別編/初回生産分限定特典ディスク付き・2枚組)

live free or die hard

2007年

アメリカ・イギリス

観たのはちょっと前なんですが、旅行行ったりしてて、レビュー書くのが遅くなってしまいました。12年ぶりの続編(最近こういうの多いですね)ということで、果たしてどんな風になっているのか、不安と期待入り混じる中視聴しました。

NY市警のマクレーン(ブルース・ウィルス)は離婚後、離れて暮らすひとり娘の恋人のことが気になる今日この頃。そんなある夜、FBIにハッカーが侵入し、マクレーンは、1人のハッカーをFBIまで移送するよう命じられる。その晩、ハッカーたちのPCが爆発するという事件が続出する中、マクレーンは指令どおりにハッカーのマット・ファレル(ジャスティン・ロング)のもとへ行くが、そこでマットの命を狙う何者かに遭遇する。

そして、翌日、ハッカーたちから集めたデータを使い、謎の組織がサイバーテロを決行。コンピューターで管理されたライフラインが次々とマヒしていく中、マクレーンは、マットとともに、組織との闘いに巻き込まれていく。

うーん、まぁ、それなりには楽しめたんですが、どうも物足りないというかなんというか。近年のアクション映画は全体的にのめりこめないんですが、その理由は恐らくCGなんですよね。どこかリアリティに欠けるというか、現実では撮影不可能な映像というか。SFとか、ファンタジーなら良いんですが、この手の刑事モノでこれだけの映像を見せられるとかえって興ざめしてしまう自分です。

あと、敵の目的が明らかになるのが遅いから、何だか分からないまま、テロだけが起こるってのもいまいちのれなかったかなぁ。しかもサイバーテロが微妙に地味で・・・。

それでもこのシリーズは安定して見られる面白さがあって、マクレーン刑事というキャラの良さは再認識。ただ、ちょっとヒーロー化しつつあるのは悔やまれますが。

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2008年4月 1日 (火)

ドラマ「ちりとてちん」

ちりとてちん 完全版 DVD-BOX I 苦あれば落語あり(4枚組)

ちりとてちん

2007.10-2008.3

日本

普段はほとんど書かないTVドラマレビューですが、今回はあまりに素晴らしい作品だったので、書かずにはいられません。

NHKの朝の連続テレビ小説は結構好きで、ここ10年くらいは欠かさずチェックしているんですが、今回の「ちりとてちん」は自分の中では朝ドラ史上NO1の内容だったと思います。

物語は主人公の和田喜代美が、塗り箸職人である祖父の仕事を継ぐために父親が故郷である福井県の小浜の実家に帰ることとなり、父の実家で暮らすようになるところから始まる。転校先の小学校には自分と同じ名前の和田清海という少女がいて、同級生達は2人を区別するために、清海をA子、喜代美をB子と呼ぶことになり、以降、喜代美は家が金持ちで、成績もよく、美人で、何でも器用にこなすA子に対してコンプレックスを抱くようになる。

高校卒業後、自分探しのために大阪に出た喜代美は、ふとした偶然で落ちぶれた落語家、つれづれ亭草若と出会い、やがて、彼の家に下宿することになる。彼の家で暮らすうちに、落語の面白さを知った喜代美は、草若のもとに弟子入り、落語家を目指すのだが・・・。という物語。

このドラマの素晴らしかったところはズバリ、1つとして無駄なエピソードがなかったところ。初回から最終回まで、すべてのエピソードがその場だけで片付けられるのではなく、ジグゾーパズルのピースをはめていくように、どこかで伏線となってつながっていって、全体で「ちりとてちん」という作品を描き出すドラマでした。

朝ドラは1日15分を半年続けますが、毎日どこかに山を作り、さらに、1週間単位で1つの物語を作って、それを積み重ねることで26週間で1つの物語を作るということで、かなり特殊な縛りがかかっているため、いつも似たような物語になりがちだったのですが、「ちりとてちん」はその縛りを非常に上手く利用して「底抜けに~」素晴らしい作品になったと思います。

魅力的なキャラクターたちの織り成す人情劇で盛り上げた「ちゅらさん」、怒涛のごとく展開していくジェットコースター朝ドラ「純情きらり」、あえて1週間完結型のサザエさん的スタイルで作った名作「芋たこなんきん」あたりが近年の名作だと思いますが、個人的には、これらを軽く凌駕する名作だったのではないかと。

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