« 「シュリーマン旅行記 清国・日本」 シュリーマン | トップページ | 映画「ダイハード4.0」 »

2008年4月 1日 (火)

ドラマ「ちりとてちん」

ちりとてちん 完全版 DVD-BOX I 苦あれば落語あり(4枚組)

ちりとてちん

2007.10-2008.3

日本

普段はほとんど書かないTVドラマレビューですが、今回はあまりに素晴らしい作品だったので、書かずにはいられません。

NHKの朝の連続テレビ小説は結構好きで、ここ10年くらいは欠かさずチェックしているんですが、今回の「ちりとてちん」は自分の中では朝ドラ史上NO1の内容だったと思います。

物語は主人公の和田喜代美が、塗り箸職人である祖父の仕事を継ぐために父親が故郷である福井県の小浜の実家に帰ることとなり、父の実家で暮らすようになるところから始まる。転校先の小学校には自分と同じ名前の和田清海という少女がいて、同級生達は2人を区別するために、清海をA子、喜代美をB子と呼ぶことになり、以降、喜代美は家が金持ちで、成績もよく、美人で、何でも器用にこなすA子に対してコンプレックスを抱くようになる。

高校卒業後、自分探しのために大阪に出た喜代美は、ふとした偶然で落ちぶれた落語家、つれづれ亭草若と出会い、やがて、彼の家に下宿することになる。彼の家で暮らすうちに、落語の面白さを知った喜代美は、草若のもとに弟子入り、落語家を目指すのだが・・・。という物語。

このドラマの素晴らしかったところはズバリ、1つとして無駄なエピソードがなかったところ。初回から最終回まで、すべてのエピソードがその場だけで片付けられるのではなく、ジグゾーパズルのピースをはめていくように、どこかで伏線となってつながっていって、全体で「ちりとてちん」という作品を描き出すドラマでした。

朝ドラは1日15分を半年続けますが、毎日どこかに山を作り、さらに、1週間単位で1つの物語を作って、それを積み重ねることで26週間で1つの物語を作るということで、かなり特殊な縛りがかかっているため、いつも似たような物語になりがちだったのですが、「ちりとてちん」はその縛りを非常に上手く利用して「底抜けに~」素晴らしい作品になったと思います。

魅力的なキャラクターたちの織り成す人情劇で盛り上げた「ちゅらさん」、怒涛のごとく展開していくジェットコースター朝ドラ「純情きらり」、あえて1週間完結型のサザエさん的スタイルで作った名作「芋たこなんきん」あたりが近年の名作だと思いますが、個人的には、これらを軽く凌駕する名作だったのではないかと。

ストーリーのテーマに舞台上でスポットライトを浴びる人だけが主役なのではないというようものが出てきますが、この作品では常にヒロイン中心に話が進むわけではなくて、ヒロインが傍観者に徹するエピソードも多く、全てのキャラクターたちが主役のように魅力たっぷりに描かれていたのも良かったですね。

とりわけ主人公の母を演じた和久井映見は、これまでの彼女のイメージを払拭する役柄をとても生き生きと演じていて、非常に良かったと思います。糸子さん、第1話からたっぷりと笑わせてくれましたが、毎回毎回彼女が登場するだけで嬉しかったです。

出演者たちは、決して演技が素晴らしく上手いというわけではなかったように思うのですが、脚本と演出の上手さで、ドラマを見せる作品だったというのも嬉しかったです。特に、いくらでもドラマティックに演出できそうな感傷的な場面をあえてあっさりと描くようなことも多くて、いろいろと期待を裏切られることも多かったんですけど、それが毎回良い方向に裏切られたし。地獄八景の回は号泣でしたが、それでも観終わった後が非常に爽やかだったのが印象的です。

あとは、毎回毎回いたるところにおいてある小物にしかけられた小ネタの数々。それが面白いので、画面の隅々にまで目を凝らし、ネタに集中してしまい、本編を見逃しそうになることもしばしばでした。

そんなわけで、素晴らしいドラマに出会えて嬉しかった!ということを書かずにはいられない作品でした。

ちなみに某雑誌で企画されていた大喜利企画で、てぬぐいをいただいてしまいました。草原兄さんに選んでもらえたというだけで感無量でございます。

|

« 「シュリーマン旅行記 清国・日本」 シュリーマン | トップページ | 映画「ダイハード4.0」 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

私も「ちりとてちん」を毎日楽しみに見ていたひとりです。
毎回の副題もうまい!し、おっしゃるとおり、すべてのエピソードが伏線になって繋がっておりました。
塗り箸職人のじいちゃんの言葉に朝から涙し、友人のじゅんちゃんの言葉にB子同様慰められ(彼女は若いのに何者や?)てきました。
個性豊かな兄さん方、寝床に集まる暖かいご近所さんなど、ええ味出してましたね~。
視聴率歴代最下位と聞き、ありえな~いと憤慨しておりました。
毎朝元気をもらっていたのに、終わってしまって寂しいですね。
草原兄さんが選んでくれた手ぬぐいですか?いいな~。

投稿: ryoko | 2008年4月 1日 (火) 23時34分

>ryokoさん

コメントどうもありがとうございます。
ブログの記事に「底抜けに~」と書かれていたので、
もしやとは思っていましたが、やはりそうでしたか。

始まったときにはこれほどはまるとは思わなかったんですが、
高校時代の三味線を練習する辺りからどっぷりとはまってしまいました。

手ぬぐい、「ステラ」の企画で、ドラマと連動して
毎週大喜利が出題されていたんですが、
選者が草原兄さんで、なんと、
その週の大賞に選んでいただいたのです。
ヒグラシの紋の入った手ぬぐいが送られてきて、
底抜けに嬉しかったですよ~。

投稿: ANDRE | 2008年4月 2日 (水) 00時22分

はい、私も小浜に引っ越した頃からなんとなくどうかな~と思いつつ貫地谷しほりちゃんの可愛さにひかれて見ておりました。
B子のネガティブ思考に今ひとつか、とも思っていたのですが、大阪に出て行ってから「底抜けに~」はまってしまいました。
ステラにそんな企画があったのですか。
た、大賞って凄いじゃないですか
是非、大賞作品ご披露ください。
蜩の紋が入っているのですか!?障子にあの紋が入っているの良いですよね。
オープニングのCGも良かったですね。
朝の楽しみが減って、ちょっと寂しいです。

投稿: ryoko | 2008年4月 2日 (水) 19時07分

>ryokoさん

大賞作品はちょっと恥ずかしいのですが、
「つれづれ大喜利」で検索するとステラのページにいけると思います。
全然違う名前で応募してますが、
自分の作品も掲載されてると思います。
手ぬぐいはもったいなくてなんだか使えません。

「瞳」も一応見ているんですが、
どうも乗り切れないです・・・。

投稿: ANDRE | 2008年4月 3日 (木) 01時16分

このドラマを越えるものは、そうそう現れないというくらいの傑作でしたよね~。
漫画を原作にした民放ドラマが多いなか、脚本で勝負!というのがよかったです。
ファン感謝祭も、応募しようかギリギリまで迷ってしまうほど、ハマって観てました。
スピンオフ作品が楽しみです。

手ぬぐいは、「底抜けに底抜けに・・・」羨ましいです。

投稿: ぐら | 2008年4月 3日 (木) 19時51分

>ぐらさん

コメントありがとうございます。
ちりとてファン、多いですね~。

関東では歴代最低の視聴率というのは
もはや視聴率の調査方法が問題なのではないかと
いわざるを得ないのではと。

本当に脚本が秀逸な作品でした。
オリジナルでここまでの作品は昨今では珍しいですよね。

スピンオフ、楽しみですが、
現段階では関西限定のようなので
ぜひとも関東でも放送していただきたい!!

投稿: ANDRE | 2008年4月 4日 (金) 01時00分

こんにちは!
来る27日日曜日11時より「ちりとてちん」のその後みたいなスペシャル番組があるのご存知ですか?
今朝のニュースの後のCMで発見~!

投稿: ryoko | 2008年7月23日 (水) 09時29分

>ryokoさん

そうなんですよ!
最初、関西ローカルでの放送だということで
がっかりしていたんですが、
27日にBSで放送があるということで喜んでいます。
8月には総合でも放送するみたいですね。

今日記事を書いたんですが
先日発売になった「メモリアルブック」が
何気に熱いのでオススメです。

投稿: ANDRE | 2008年7月23日 (水) 17時33分

あらっ、今日記事お書かきになったんですね。
シンクロニシティ~!
BSでしたか、日にちと時間のみチェックしてました。
しおりちゃんのドラマ、初回に9時からと思い込んで見逃し、めげてしまいました。今からでも間に合いますかね~?
朝ドラにしてくれたら毎日見るのに・・・
今のドラマはひど過ぎます!がっかり。

投稿: ryoko | 2008年7月23日 (水) 18時50分

>ryokoさん

総合でも8月10日の朝に放送があるみたいですよー。
朝ドラのスピンオフは初ですよね。楽しみです。

「あんどーなつ」基本、1話完結ですので、
公式サイトで人物相関図をさらっと
観ておけば何の問題もないかと思います。

今の朝ドラは・・・。
前の作品が良いと比較されるのは仕方ないにしても
それでも酷いですよねぇ。

投稿: ANDRE | 2008年7月23日 (水) 23時38分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ドラマ「ちりとてちん」:

« 「シュリーマン旅行記 清国・日本」 シュリーマン | トップページ | 映画「ダイハード4.0」 »