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2008年4月11日 (金)

「四畳半神話大系」 森見登美彦

四畳半神話大系 (角川文庫 も 19-1)

四畳半神話大系

森見上美彦

角川文庫 2008.3  

近頃割と評判になっている森見登美彦の文庫2冊目です。以前読んだ「太陽の塔」は、妙なインパクトがあって、読んで以来、クリスマスが来ると、「ええじゃないか」を思い出すようになってしまいました。

舞台は京都。大学の3回生の私は、古い4畳半のアパートに住み、悪友の小津や、1つ下の後輩の明石さん、上の階に暮らす謎の男、樋口らと共に、薔薇色のキャンパスライフとは程遠い事件に巻き込まれていく。

1回生のときに、映画サークル「みそぎ」、「弟子求ム」、ソフトボールサークル「ほんわか」、秘密機関「福猫飯店」と4つのサークルのビラをもらい、その中から1つを選んだのだが、今思えば、それが最大の過ちだったのではないかと後悔するばかり・・・。

という物語。

全部で4話収録の連作短編のような感じになっているんですが、最初の1話目を読み終えた感想は、「太陽の塔」と同じじゃん!でした。インテリぶった感じの独特の節回しで、語られる大学生の悶々とした鬱屈で馬鹿で阿呆でどうしようもない日々を綴った作品。頭良いんだけど、馬鹿というか、斜に構えたフリをして楽しむというか。

ただ、この作品、収録されている4話の関係がちょっと面白いので、それは是非読んで楽しんでいただきたいと思います。途中、「また?」と思うけど、最終話までくると、上手いなぁと感心しちゃいました。

森見氏の作品の面白さはやはり、独特の文体にあると思うんですが、ふと思ったんですけど、京都が舞台なのに、皆、標準語なんですよね。関東人の自分でさえ、おや?と思うので、関西在住の方は、この辺に違和感を感じたりしないんですかね。

しかしながら、この「こなれた感じ」のわざとらしい文体と、妙にうやうやしい会話は、はまると楽しいものです。自分は、友人とふざけてこんな感じの会話をしたような経験もあるし。

で、ストーリーのほうはどうだったのかと言われると、まぁ、「太陽の塔」と一緒じゃん!ていうのに尽きると思うんです。こっちのほうが健全さがあるような気もするけど(本当か?)。事件のインパクトは「太陽の塔」のほうが上で、作品そのものの完成度はこっちのほうが高いという印象ですね。あと、今回はSFをミックスしたような感じですよね。話としては3話目が一番好きですかね。

結構、細かい台詞が伏線(?)になって後で出てくるのも楽しかったです。割と、あちらこちらにネタがたくさんころがってる作品ですよね。そして、くどすぎるくらいの流用ですが、これも、割り切って読んでしまえば、逆に面白かったです。まぁ、くどかったですけど。

あと、昨年、京都に行ったときに割と京大や、下鴨神社付近をブラブラしたので、作品の舞台を頭に思い描きやすかったですね。これ、京都在住者だともっと楽しめるんだろうね。

そんなわけで、エンタメとしては面白い1冊でしたけど、まぁ、それどまりというかなんというか。でも「太陽の塔」も、読み終えた後から、今まで、2年ほど経過するのにずっと続く不思議な余韻がある本だったので、この作品も、似たようなパワーがあるのかも。

ところで、この文体、この後の作品でも続くんですかねぇ。

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 私は冴えない大学3回生。バラ色のキャンパスライフを想像していたのに、現実はほど遠い。悪友の小津には振り回され、謎の自由人・樋口師匠には無理な要求をされ、孤高の乙女・明石さんとは、なかなかお近づきになれない。いっそのこと、ぴかぴかの一回生に戻って大学生活....... [続きを読む]

受信: 2010年5月11日 (火) 12時51分

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