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2008年4月15日 (火)

「バラ色の怪物」 笹生陽子

バラ色の怪物 (講談社文庫)

バラ色の怪物

笹生陽子

講談社文庫 2007.7  

半年以上前に買ってたんですけど、ずっと積読になってた1冊。笹生陽子さんの作品は安定して面白いので、ついつい読んでしまいます。今回で5冊目。

主人公の遠藤は中学2年。母子家庭で苦しい経済状況なため、買ったばかりの眼鏡を壊してしまったことを言い出せずにいたところ、友人の宇崎がバイトの話をもちかけ、「行動する中学生の会」と名乗る団体で、代表の三上のもとで働き始める。一方、学校では、温室の植物をケアするボランティアをはじめ、そこで、学内で騒動を巻き起こす問題児、髪をピンクに染めた孤高の少女吉川と知り合いになるのだが・・・。

結構終盤まで何のことなしに読んでいたんですけど、終盤、タイトルの意味が分かる場面は、はっとさせられました。少年の成長物語としては、成長に関係する事件はなんだかなぁという感じではあるんですけど、「自分」を知るという点で非常によく描かれている作品だと思います。

うん、きっかけとして使われる中学生達を束ねる怪しげなバイトが、「おいおい」って感じなんだよね。三上少年の怪しげな安っぽいキャラも、まぁ、ストーリー的にはよく合ってるんだけど、あまり好きではなかったので。吉川さんとのエピソードを深く掘り下げたほうが好きだったかなぁと。

あと、主人公の遠藤くんも、怪しげな三上くんも、つっぱってる吉川さんも、なんだかんだいって中学生でみんな青臭くて、どのキャラも中学生らしく描かれていたのが良かったです。こういう作品って、主人公が変わるきっかけを作る友人が、妙に大人びて描かれることが多いと思うんですが、この作品では、みんながみんな、まだまだ若いなぁと思わせるんです。意外に最終的に一番大人になっていたのは遠藤君なのかもしれませんね。

毎回思うことなんですが、笹生さんの作品はこういう繊細な雰囲気の子供達がとても上手く描かれてるんですけど、中学生ってもっと突き抜けたようなバカバカしさを持っていると僕は思うので、そういう要素が入ってくると個人的にはもっと嬉しいなぁと感じるのです。こういう青春小説全体に言える事なんですが・・・。

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