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2008年5月 3日 (土)

映画「天国の青い蝶」

天国の青い蝶

the blue butterfly

2004年

カナダ・イギリス

南米に生息するモルフォ蝶といえばその青く輝く羽で有名ですが、それを題材にした作品ということで以前からちょっと気になっていた作品。ただ「感動押し売り」系なイメージがあったため、ちょっと躊躇していたのを少し前にTV放映したので録画しておいたものを観ました。

主人公は脳に腫瘍があり、余命が半年も満たないという10歳のピート少年。ある日、昆虫が大好きな彼は憧れの昆虫学者であるアランのもとを訪ね、アランがこの世の神秘を教えてくれると表現している南米に生息する青いモルフォ蝶を観にいきたいので、協力して欲しいと頼む。

はじめは躊躇していたアランもやがて彼の熱意におされ、ピートは母親とアランと3人で南米コスタリカの熱帯雨林へと旅立つ。果たして彼らは青い蝶に出会うことができるのか・・・。という事実に基づいた物語。

いやはや、冒頭3分だけでちょっとウルっときてしまいましたよ。しかしながら、その後、どんだけ感動させるんだろうと思って見ていたところ、感動ポイントはむしろ冒頭だけだったので、ちょっと予想外。

このあらすじだけで「感動作」だってのがひしひしと感じられるんですが、これが意外や意外。この作品、あえて感動路線にならないように、一生懸命になっています。むしろ、それが伝わってきてしまうのがちょっと問題なくらいです。

そんなわけで実話ベースということを生かし、過剰な感動演出がほとんどないまま淡々と描かれる作品なんですが、南米の熱帯雨林の自然の美しさが非常によく映し出されていて、淡々としたストーリーの一方で、こちらの自然美はこれでもかってくらいに美しいです。なんかもう昆虫ドキュメンタリの傑作「ミクロコスモス」を見てるような感じ。キリギリスの目って点なんですよね。

この作品、実話ベースでわざとらしく盛り上げるのを避けてたり、ありのままの自然の美しさを前面に出してくる一方で、呪い師みたいな感じの原住民イメージ映像が多用されたり、ラスト近くでいきなりCGに頼ったりで、その辺りがちょいと微妙。

(ややネタバレ気味なので反転させてどうぞ)

どうせCG使っちゃうんだったら、もうちょっと感動演出にして、洞窟に落ちたところで、青い蝶の大群に囲まれるとかそういう映像を出してくると、非常にドラマチックに盛り上がったんじゃないかなと思うんですよね。

あと、ラストシーン。いや、もう実話ってのは本当に凄いとしか言いようがなくて、まさに奇跡なんですが、どうせならそこをうまく映像化して欲しかったなと。ちょっとあっさりしすぎて、そこが一番感動できるこの話の核なのに、なんだか逆に拍子抜けしちゃいました。

(ここまで)

全般的に少年の語りがちょいと説明的すぎたかなと思いますね。

うん、でもモルフォ蝶はきれいですよね。我が家には南米土産のモルフォ蝶の羽細工がありますが、かなりの年数を経てもなおキラキラと輝く青い羽は本当に美しいです。これがひらひらと飛んでいるのを見られたら、それはそれは見事なものなのでしょう。

あと、中盤のシーンで、母親に向かって少年が「明日は~」と語りかける場面、母親視点で考えると非常に切ない場面で、見ていて辛かったです。子供主人公の映画を見ていて、子供視点ではなく、親のほうに感情移入してしまったあたりに自分が歳とったなぁとかちょっと思ってみたり。

てかさ、この映画さ、他の虫たちはあんなに綺麗に映したのに、肝心のモルフォ蝶はアップ映像がほとんどなしってのはどうなの!?もったいない!!

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