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2008年5月11日 (日)

「芝生の復讐」 リチャード・ブローティガン

<書籍画像ありませんでした>

芝生の復讐
(revenge of the lawn)

リチャード・ブローティガン 
Richard Brautigan

藤本和子訳

新潮文庫 2008.03

ブローティガンを読むのは「鱒釣り」に次いで2冊目。実は苦手な作家ですが、熱狂的なファンも多い作家なので、文庫が出たのを機に改めてチャレンジ。

子供時代の記憶から作家として活躍する現在まで、62の短編が紡ぎだす、アメリカの風景スケッチ。

ブローティガンの短編は、とにかく、散文なんだけれど、それは明らかに「詩」のイメージを持っているため、もうちょっと感覚で感じなければいけないんだろうなとは思うのですが、やはりどうも入り込めないのです。比喩の面白さや、描写の面白さは確かにあるんですけどね・・・

で、読んでいて感じたこと。

さきほど、「詩のようだ」と言ったんですが、たとえば、詩というジャンルは翻訳で味わうのはほとんど至難の技だと思うのです。世の中には名訳というのが確かにあって、芸術的レベルに達している翻訳詩もありますが、それは、もちろん原著の力もあるんだろうけど、もはや翻訳者の作品だという側面も強いと思います。

たとえば、ポール・オースターの作品を僕はとても好きで、原文でも、翻訳でも読むんですが、翻訳はオースター作品であるのと同じくらいに柴田作品になっているように感じます。「文体」までそのまま訳するのは至難の技のはず。これは村上春樹訳作品にも言えることですけど。

日本の作家でいえば、川上弘美の作品を英訳するなんてのはほとんど不可能だと思うのです。

ブローティガンという作家の面白さは、語りの面白さ、文体や描写の面白さが強いのではないかということが、翻訳からもひしひしと伝わります。さらに、この翻訳、名訳ということですが、名訳であればあるほどに、ブローティガン作品というよりも藤本作品になっているのではないかなと感じます。

そうすると、藤本さんのブローティガン像が苦手なのだという可能性もあるので、一度原文で読んでみようかな、なんて思った次第。

こういう幻想的な世界は好きなんですけどねぇ。

なんやかんやと苦手な理由をつけようとしてますが、好きか苦手かなんてのは感覚的なものだからそもそも理由なんてないのかもしれませんが。

* * *

そんなことを言いつつ、好きだった話メモ。

「芝生の復讐」
「カリフォルニアは招く」
「きれいなオフィス」
「年寄りバス」
「相棒」
「一九三九年のある午後のこと」
「装甲車ジャニスに」
「犬の塔からの眺め」
「第一次世界大戦ロサンジェルス航空機」

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コメント

これが文庫で出たのは知りませんでした。
早速買いに行こうっと。

投稿: piaa | 2008年5月12日 (月) 00時34分

>piaaさん

文庫ってときどき、予想外にこういう作品を出すことがある上に、
しばらくすると手に入らなくなることも多いので
買い逃すと痛いですよね。

piaaさんの感想を読むのを楽しみに待ってます。

投稿: ANDRE | 2008年5月13日 (火) 11時12分

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