映画「女帝 エンペラー」
夜宴 The Banquet 2006年 中国・香港 |
少し前にハムレットの記事を書いたときに、気になっていると書いた作品です。ハムレットを原作に、中国の宮廷での復讐劇を描くということで、ちょっと期待。
ワン(チャン・ツィイー)は、後妻として王宮に嫁いだのだが、皇帝が崩御し、新しく即位した皇帝の弟リーの后となる。父の死に疑問を持つ皇太子ウールアンは、新帝として即位した叔父のリーが父を殺したのではないかと疑うのだが・・・。
というハムレットの物語をベースに、皇太子ウールアンと、前帝の死後に新帝の后となるワンが義理の母子であるという設定を加え、ウールアンとワンが互いにひかれあっている(要はガートルードとハムレットが実はひかれあってるってこと)というなかなか面白いアレンジが加えられています。
うーん、これはちょっと難しいですね。『ハムレット』を原作にした割には、もはやハムレット意外の設定が濃すぎて物語がちょっと別物になりかけてますし。
それでも物語自体は決してつまらなくはないと思うんですけど、変にもったいぶった感じの演出で、「大作っぽさ」を狙いすぎてるというか、豪華映像に凝りすぎてしまってるというか、演出の派手さと、「アート」的な雰囲気ばかりが印象に残ってしまって、物語がつかみづらくて、観ながらちょっと置いてけぼりを食らったような感じになってしまいました。
チャン・ツィイー演じる主人公の気持ちがどうもつかみづらかったんだよなぁ。
あと、割とアクションシーンが満載の作品で、やたらとワイヤーアクションを駆使するんですが、個人的にワイヤーアクションはそんなに好きではないので(動きが不自然すぎ&スピード感がない)、その辺もはまれなかった理由かもしれません。
でも、それぞれの場面の映像はこれでもかってくらい豪華絢爛なので、それを見ている分にはなかなか楽しいです。まぁ、2時間以上あるのでお腹いっぱいになるかもしれませんが。
この映画、主人公はチャン・ツィイーなんですが、個人的には彼女よりもむしろ、ハムレットでいうとオフィーリアにあたる皇太子の恋人を演じていたジョウ・シュンのほうが印象に残ったかなぁ。チャン・ツィイーはちょっとイメージが役とあってなかったんだよね。ジョウ・シュンは繊細な感じのイメージと役がよくあっていたように思います。
彼女、「中国の小さなお針子」も良かったし、結構好きな女優さんです。
『ハムレット』映画としては、劇中劇なんかもちゃんと出てきたりするものの、異色であることは否めません。ガートルードを主役に据えるという試みは面白いと設けれど、基本設定を結構変えてしまったために、その面白さがあまり出てこなかった気も。
参考過去レビュー
舞台「HAMLET」(映画ガイド付) : 記事最後に「ハムレット」映画ガイドあります。
映画「小さな中国のお針子」 : 上述のジョウ・シュン出演作品。オススメ映画です。
映画「オペレッタ狸御殿」 : チャン・ツィイー主演の豪華絢爛映画といえばこれでしょ。
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