映画「ルイスと未来泥棒」
meet the robinsons 2007年 米 |
ひっそり(?)とディズニーファンな自分ですが、今回はピクサー作品ではないディズニーのオリジナル長編としては久々に観たいと思う作品だったので、楽しみにしていました。本当は劇場で3D見たかったんですけど、吹替えしかなかったので諦めたんですよね。
孤児院で育ったルイス少年は発明が大好きな12歳の少年。発明に没頭し、失敗を繰り返すちょっと変わり者の彼は、何度面接を繰り返しても養子にしてくれる家族が見つからずにいた。ある日、学校の科学フェアで、渾身の発明品を発表しようとしていた彼のもとに、ウィルバーと名乗る少年が現れ、「山高帽の男に気をつけろ」と告げる。そして、ルイスはタイムマシンに乗って未来へ向かうことになるのだが・・・。という物語。
ピクサー以外のディズニーとしては久々に良かったんじゃないでしょうか。でもきっとそれは、ピクサーのジョン・ラセターがディズニーのアニメ部門のトップに立って、この作品もかなりの修正が加えられたそうなので、そのおかげなんでしょうね。
タイムマシンものにつきもののタイムパラドックスの問題なんかはちょっとツッコミどころが多いし、途中の未来世界で出会うロビンソン一家のドタバタっぷりは正直いかがなものかと思うんですが(食べ物で遊ぶなとか、バトルが無駄に長いとか)、中盤以降、山高帽の男の真意が見えてくる辺りから物語に深みが出てきて、結構楽しんじゃいました。
ま、序盤~中盤にかけてのロビンソン一家のドタバタを、もっと上手く作ったらかなりの名作になったかもしれないのになという気持ちは残るんですが。
この作品、なんといっても、嫌というほどに繰り返されるテーマ「Keep moving forward」なんですが、映画の一番ラストの文字で、なるほどねぇと唸ってしまい、ディズニーファンとしてはそこで不覚にも感動してしまいました。長編第1作の白雪姫から数えて70周年記念の作品だったわけですが、これはなんとも粋なことをしてくれました。
そもそも、この成功することよりも失敗することに意味があるんだということや、過去を振り返らずに前を向いて歩こうといったメッセージは、前者はともかくとして、後者はもう大人向けとしか考えられない言葉。
挫折を破滅に変えるも、成功に変えるも本人の気持ち次第ということを、2人の登場人物でかなりしっかりと描いていて、「keep moving forward」という作品のテーマを上手く表現していたのが良かったです。
<以下ちょっとネタバレなので反転させてどうぞ>
ルイスが過去の母を追い求めるのではなくて、未来の家族に夢を抱いて終わるラストも含めて、終始このテーマが形を変えて繰り返される作品、これだけのメッセージ性を持った作品はディズニー史上でもかなり珍しいのではないでしょうか。
家族を描く際に、実の母と出会う幸せよりも、養父母との幸せな未来を選択したということも、現代的というか、割と新しいアプローチだったように思います。
ただ、個人的にちょっと気になったのは、山高帽君の行く末。失敗作は切り捨てるんじゃなくて、より良いものに改良しようという、「失敗あっての成功」がこの部分だけ貫かれなかったのはちょいと残念。
そうそう、この邦題、ま、分かりやすいんだけど、原題のほうが、「keep moving forward」を上手く表していて、僕は好きです。
<ネタバレ終わり>
このテーマ、過去のディズニーブランドにとらわれず、ジョン・ラセター率いる新生ディズニーからの宣言とも受け取れるので、今後の作品がどのようになっていくのかも気になるところです。これ、ラセター氏がDVDで発売され続けている妙な過去作品の続編の製作をやめさせたってのも思い出させますね。
孤児であるところに「奇跡のシンフォニー」を感じ、養父母ってところに「JUNO」を感じ、なんか最近観た他の映画のことがやたらと思い返されたんですが、この手の話は最近多いんですかね。上記2作品とこの「ルイス」の3つは、それぞれ、孤児や養父母に対するアプローチが全く違ってるので、見比べてみるのも面白いかもしれませんね。
あと、ダニー・エルフマンの音楽は相変わらず良いですね~。ディズニー系のアニメ音楽を担当するのはもしかして「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」以来じゃないですか!?
音楽といえば、歌うカエル君は、ジェイミー・カラムなんですよね。何気に豪華。
で、タイムマシンで未来世界を飛び回るアトラクションはいつできるんでしょうか?(笑)
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コメント
観ようと思えば、公開時に近くで観ることができたのに、
何となく「ま、いいか」と思ってスルーしてしまったのを
今更、後悔してしまいましたが、
WOWOWで放送されたおかげで、いい作品を見逃さずに済みました。
設定にも筋書きにも関係ないけれど、
あのお母さんは、のっぴきならない事情があって、
泣きながら彼を手放したんだろうと想像して、
最初から気持ちが入り込んで観ていた気もしますが、
ルイスがいちばん聞きたかったであろう言葉を、
ウィルバーの母から聞いたときのルイスの気持ちを思うと、
勝手に涙が溢れて困りました。
繰り返し出てくるメッセージを、こんなに素直に信じようと思わせる、
真っ直ぐな作り方もよかったですね。
偶々、ルイスにどこか似たところのある、例のヤツと一緒に観ることになったんですが、
彼が何か妙に気に入ったようでした。
ひょっとして、マジに励まされていたのかもしれません。
投稿: 悠雅 | 2009年11月22日 (日) 21時19分
>悠雅さん
コメントどうもありがとうごさいます!
この映画、発売から数ヶ月でDVDが
ワゴンセールにかけられてるのを目にしたんですが、
結構面白い作品だと思うだけに
ちょっともったいないなぁと思います。
いつもながら
悠雅さんの母親視点からのご感想は
とても説得力があり非常に興味深いです。
でもって、
自分もなんだかんだで励まされたクチです(^_^;)
投稿: ANDRE | 2009年11月22日 (日) 23時16分