「下妻物語」嶽本野ばら
下妻物語 嶽本野ばら 小学館文庫 2004.3. |
やや今さら感もありますが、映画化もされたちょっと前の話題作。なんとなく勝手なイメージで食わず嫌いしてたんですが、ちょいと機会があったので読んでみました。
主人公の桃子はロココ精神に傾倒し、ロリータを心から愛する高校生。彼女はパチモンのブランド商品を製造販売していた父親が仕事で危険なことになり逃げるように祖母の住む茨城県の下妻市に引っ越してきた。そんなある日、彼女は、ばりばりのヤンキー少女、イチゴと知り合い、2人の奇妙な友情が育まれていくという物語。
太宰の「女生徒」もビックリな全編がロココ精神にあふれた桃子の独白というスタイルで書かれた小説なんですけど、テンポも良いし、言葉回しも凝っていて、素直に面白いと感じられるのはきっと作者さんの文章力が高いんでしょうね。ま、漫画みたいな小説でしたが・・・。
映画のキャスト(文庫の表紙になってる)を知っていたので、なんか読みながら、主人公の声が全部深田恭子になってしまったんですけど、これがかなりはまってるんですよね。これ、きっと映画版も面白いんだろうね。
なんといっても、まっすぐに「自分」というものを持っていたからこそ、正反対の2人が互いに認め合ったわけですが、まぁ、こういう友情はなかなか実際には難しいんだろうなと思います。
何事も、その道をまっすぐ貫くというのは、どこかカッコイイものですが、それを、「下妻」という場所を舞台にして描いたところがこの作品の面白さだなぁと思います。このアンバランスさがたまらない。
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