映画「4分間のピアニスト」
vier minuten 2006年 ドイツ |
昨年、ピアノ関連の映画が相次いで公開されていたのですが、その中でもとりわけ気になっていた1本。自分も趣味でピアノを弾くので、こういう映画はやっぱり気になってしまいます。DVD化されたということで、早速観てみました。
刑務所にピアノの教師としてやってきた老婦人クリューガーは、そこで、天才的なピアノの才能を持った受刑囚のジェニーと出会い、彼女にピアノのレッスンをつけ、コンクール出場を目指し始める。暴力的な性格で問題ばかり起こすジェニーと、若き日にナチスの収容所に務め、辛い分かれを経験していたクリューガーの孤独な2人は次第に打ち解けていくのだが・・・。という物語。
ピアノ演奏シーンがかっこいいです。特に序盤に弾くロック調の曲がかなり好き。あと、モーツァルトのソナタが大活躍なので、それだけで嬉しかったです☆
さて、この映画、個人的には色々と痒いところに手が届かないような感じでした。とりわけラストシーンがちょっと不満。なんだか中途半端というかなんというか、結局、冒頭の状況から何も改善されてないような気がしたんですが、どうなんでしょうかね。
あとは2人の過去がもうちょっと上手くからんでくると良かったかなぁ。
思った以上にシリアスな作品で、ずっと独特の緊張感が続く作品なので、見るにはそれなりの覚悟が必要ですが、主演2人の圧倒的なまでの重厚な演技は本当に素晴らしくて、見ているだけでぞくぞくしちゃいました。
さて、ちょっと不満だったと書いたラストですが、以下ちょっとネタバレなので反転させてどうぞ。
個人的には、あそこで、あの演奏は「なし」だと思うんです。いや、確かに凄い演奏だし、グッと迫るものもあったんですけど、ああいう演奏ではなくて、もっと普通のクラシックの曲を演奏して、その中に全ての思いをこめるってほうが好きだなぁと。
見ていて、ちょっと楽器が痛そうなのが気になってしまったというのもあるんですが、あのスタイルの演奏で彼女の思いを表現するなんてのは、ちょっとありきたりですよね。あそこで、彼女が物凄い執念のシューマンを弾いたほうが、かっこよかったと思うんですよねぇ。
ただ、それをするには、相応の腕を持ったピアニストさんが吹替えをしなきゃだめなんですけど、ジェニーの魂を全て背負った感情を再現できるように弾くことのできるピアニストを探すのは、恐らくかなりの困難だと思われるので、結局は、あのラストに逃げるしかないのかなぁとも。うーん、難しい。
ちなみに、オープニングとエンディングがモーツァルトのソナタ、K332の第2楽章でしたね♪このソナタ、モーツァルトの中でも一番好きで、この第2楽章も大好きな曲だったので、もうオープニングでいきなりこれが聞こえてきただけで、テンションが上がってしまいました。しかも、エンディングでまた流れた日には、もうたまらないっす。
あと、同じくモーツァルトのK331の第1楽章をオルガンで弾くとやたらと合うことが発覚。この場面、ジェニーが一緒に手を動かして弾いてるんですけど、実は見ながら僕も手が動いてました。自分が弾いたことある曲って、流れてると、一緒に手が動いちゃうんですよね・・・。
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