映画「エンジェル」
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Angel 2007年 フランス イギリス ベルギー |
フランソワ・オゾン監督がイギリスの文芸作品を映画化(珍しく英語作品!)と聞いたら、観ないわけにはいきません。
舞台は20世紀初頭のイギリス。主人公エンジェル・デヴェレルは食料品店を営む母と2人で暮らす16歳の少女。叔母が使用人として働いている近所の豪邸「パラダイス」に憧れ、上流階級の暮らしを夢みながら、それを小説に書いていた。
あるとき、彼女の小説が出版されることになり、エンジェルは一躍文壇のスターダムに踊り出る。印税で空き家となった「パラダイス」を買い、画家のエスメと恋に落ち、彼の姉のノラは自分を慕い秘書となり、憧れていた生活の全てを手に入れるエンジェルだったが・・・。
シャンパンのあけ方でさえ知らなかった下層階級の究極の自分大好き人間であるエンジェルが、自分の欲望の全てを満たしていって、その過程で、自分の気に食わないものは容赦なく切り捨て、過去を改竄し、幼い頃から妄想していた「貴族の私」を実現させていく姿はとにかく圧巻。そして、主人公なのに、全くもって共感できない!
このあたりで、主人公に嫌悪感を抱いてしまうと、2時間見るのは辛いかもしれませんね。
50年代のハリウッド作品を意識して、いかにもな合成映像もたくさん出てくるんですけど、絢爛豪華な衣装や英国万歳なお屋敷など映像としての見所もたくさんでした。英国好きは必見です!!
この作品の一番の衝撃はやはりラスト。
<以下ネタバレのため反転させてどうぞ>
ひたすら自分の望むものを手に入れてきたかたのように見えた彼女の人生だけれど、結局は、貧しい食料品店の娘だった頃に憧れていたアンジェリカの壁を越えることはできなかったというのはなんとも皮肉。
2人が対峙する場面のアンジェリカの仕草、表情、全てに「勝ち」が感じられましたからね。
この作品の女性たちを観ていると、「育ち」の壁の高さを実感しますね。妄想は結局、「非現実」でしかない、っていう。本当のお嬢様は何があろうと、いつまでたっても「お嬢様」なのですよ。
どんなに華やかな生活を送ろうと、彼女は結局、食料品店の娘でしかなかった。そして、それを悟ってしまった瞬間に、彼女の中に1本通っていた芯はプツリと途切れてしまう。
いやはや、1時間半ほどかけて描いてきた全てがこの一瞬のための伏線になっていて、思わず息を呑んでしまいました。
そして、それでも尚、自らの最期を飾ろうとするかのような彼女の生き方は、もうここまできちゃうと、賞賛に値しますよね。最期の言葉でさえ、本心なのか、「死にいく主人公」を意識した(無意識かもしれないけど)、「台詞」なのかが分からない感じだったしね。
<ネタバレ終わり>
主演のロモーラ・ガライ、終盤は鬼気迫る熱演でした!
キャラクターとして魅力的だったのは、少ない登場シーンのほぼ全てが予告編に出てしまっていたシャーロット・ランプリング。美しすぎ&あふれんばかりの気品が素晴らしかったですよ。そんでもって、彼女が演じる出版社の担当編集者の妻がまた、なんともいえずに良い味を出していて、終盤での夫のやりとりはこの映画の裏クライマックスといっても過言ではないかと。我々観客の気持ちを全て代弁してくれました。
妄想にとりつかれた人は、最後まで妄想の世界に生きられれば幸せなんでしょうが、人生そんなに甘くないのだということを見せつける作品で、見ごたえがありました。
オゾン監督がどこまで原作をいじっているのかは分からないのですが、この作品でも、主人公、編集者の妻、義姉のノラ、主人公の母&叔母、そして、もう1人の「女」と、女性たちの様々な姿をスリリングに描いていて面白かったです。
オゾン監督なので、サニエ嬢が主人公でも嬉しかったかなぁなんて思ってみたり。
<参考過去レビュー>
オゾン監督シリーズで。
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コメント
こんばんは!
エンジェルの敗北は、みていてかわいそうになるぐらいみじめに思えました。
夢に溺れた女の一生が見応えありました。
一生懸命さは褒めてあげたいけれど。笑
ロモーラ・ガライ、熱演してましたね!
投稿: アイマック | 2008年7月29日 (火) 22時01分
>アイマックさん
コメントありがとうございます!
エンジェル、完敗でしたからね~。
でも、本当にあそこまでいくと、
あきれるを通り越して立派ですよね。
ロモーラ・ガライ、
夢みる少女から、
失意の底の晩年まで、
まさに熱演だったと思います。
投稿: ANDRE | 2008年7月30日 (水) 02時01分