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2008年7月 3日 (木)

映画「ゾンビーノ」

ゾンビーノ デラックス版

fido

2007年

カナダ

劇場公開時より気になっていた1本です。ゾンビコメディ映画ということで、この設定だけで完全ノックアウトだったんですが、果てさて感想は・・・。

宇宙から放射能が降り注ぎ、死人たちがゾンビとなって復活するようになってしまった地球が舞台(世界観は1950年代)。ゾンビたちとの激しい戦争の末、ゾンビたちを大人しくさせる首輪が開発され、人々は凶暴なゾンビたちを居住区の外へと追いやり、首輪をつけたゾンビたちを召使として働かせていた。

主人公ティミーの家では父親がゾンビ嫌いだったため、長らくゾンビがいなかったのだが、ある日、母親がゾンビを連れてきて、待望のゾンビとの生活をスタートさせる。いじめられっ子で友達のいなかったティミーは、ちょっとドジなところもあるけれど、家事をこなし、キャッチボールなどの遊び相手にもなってくれるゾンビをファイドと名づけ、喜んでいたのだが、ある日、ひょんなことから、ファイドが隣のおばあちゃんを食べてしまって・・・。という少年とゾンビの感動ホラーコメディ物語。

ゾンビが人を食べるシーン連発なんですが、徹底して1950年代のホームドラマを模した作りになっていて、そこにゾンビたちが闊歩する姿がとてもシュールで、風刺のきいたコメディになっていてなかなか面白い作品でした。

ゾンビ以外にも、のんびりとしたホームドラマなのに、子供たちが平気で銃をガンガン撃って、ゾンビに襲われたときに戦う方法を学校で学んでる姿がほんわかと挿入されたり、基本とてもシュール。

ただ、もっと破天荒なブラックコメディだと思っていたのに、あまりに、物語がしっかりしすぎていて、作り手が風刺したいことが直球で伝わる内容だったので、ゲラゲラ笑うって感じじゃなくて、普通の「面白いだけじゃなくて考えさせられる映画」になっていたのがちょっと物足りなかったですね。

これ、ゾンビになってるからお隣さんやらお友達やらが食べられちゃったりしてシュールな展開になってるけれど、扱ってる内容自体は、ゾンビをロボットとかに変えてしまったら、普通にありそうな物語。もっと言ってしまえば、奴隷制度なんかまで話を広げられるテーマですよね。

縄に縛られたティミー君を助ける場面では不覚にも感動してしまいましたが、結局、ゾンビたちは「生きてる」のだよね。愛情を持って接してくれ人のことを理解しているという設定が良かったです。

そのためか、単に慣れてしまうからか、この映画を見ていると、ゾンビたちが段々愛らしく見えてくるのもご愛嬌です。檻の外のゾンビたちなんか最後のほう、全然怖く見えなかったし・・・。

あと、ゾンビという「死」の存在が身近にあるからか、子供たちが「死」に対して、あまりに無防備なところが、シュールな笑いどころとは言え、ちょっとゾッとする設定で、教育の怖さを感じさせましたね。

1950年代のほんわかとしたホームドラマの世界に異物が入ってくるというと、『カラー・オブ・ハート』という映画がありましたが、これも一見、コメディと思わせて、差別問題を大きく扱った作品で、社会的なメッセージが強かったよなぁというのを思い出してみたり。

この作品、カナダ製作ってのが結構ポイントですよね。徹底したアメリカ風刺ですからねー。

ま、そんなこと考えつつも、ママさんに「あなた、本気ですか!」と思わず突っ込みをいれたくなったり、子供ゾンビが登場したときには、「おぉ、きたー」と思ってワクワクしちゃったりと、終始楽しませていただきました。

ゾンビと少年の愛といえば、 『フランケン・ウィニー』もそんな感じですよねー。結構ティム・バートン的世界に近い作品だったかも。

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