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2008年7月

2008年7月31日 (木)

「ひそやかな村」 ダグラス・ダン

ひそやかな村 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

ひそやかな村
(secret villages)

ダグラス・ダン
(Douglas Dunn)

白水Uブックス 1996.9.
(original: 1985)  

以前からちょっと気になっていた1冊です。

スコットランドの詩人によるスコットランドの田舎の村を舞台にした短編を13作収録した短編集。

牧歌的な風景を舞台に描かれる物語というと、どこか桃源郷的な空気で、おだやかなで素朴な人々が幸せそうに暮らしているようなステレオタイプなイメージがありますが、この作品が描き出すのは、もっと生々しい田舎の人々の姿。

どの作品でも、穏やかな田舎の風景の裏側に隠された村人達の本音や皮肉を、シリアスになりすぎずに、かといって、ユーモアたっぷりというわけでもなく、淡々としたテンポで描いていて、抜群に面白いわけではないけれど、1つ1つの短編は結構楽しんで読むことができました。

以下気に入った作品メモ。

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2008年7月30日 (水)

映画「フローズン・タイム」

フローズン・タイム

cashback

2006年

イギリス

公開時に、劇場までいこうかどうかかなり迷ってた作品です。気づいたら、割と早くDVD化してくれたので、早速観てみました。

美大に通う主人公のベンは付き合っていた彼女にふられてしまい、そのショックから不眠症になってしまう。彼は眠れない夜の時間を埋めるために深夜営業しているスーパーでバイトをはじめ、そこで、個性豊かな同僚達と共に夜を過ごすようになる。そんなある日、彼は、時間を止める事ができるようになるのだが・・・。という物語。

ポスターやDVDのジャケのヌードなお姉さんは、時間を止めた彼がスーパーの買い物客たちをヌードにする場面から。ヌードの多い作品ですが、主人公が美大生ということもあって、あくまで「美」の象徴としてのヌードで、そこまでのやらしさはありません。

もう少しスタイリッシュな作品なのかと思っていたんですが、その辺りは割と地味な感じでしたね。ところどころのコメディぽい部分がいかにもブリティッシュな笑いで、地味にクスクスと笑ってしまいました。みんなで椅子に座ったままボスの前に並ぶのとか結構ツボです。こういうゆるーいUKコメディは大好き。このスーパーが舞台のTVシリーズとか作って欲しいです。

ただ、作品が扱うテーマ自体が、彼女にふられた男が次のステップに進むまでのウジウジを描いたものなので、全体を貫く空気はそこまでコメディコメディしてないのが良いです。

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2008年7月28日 (月)

映画「エンジェル」

エンジェル

Angel

2007年

フランス イギリス ベルギー

フランソワ・オゾン監督がイギリスの文芸作品を映画化(珍しく英語作品!)と聞いたら、観ないわけにはいきません。

舞台は20世紀初頭のイギリス。主人公エンジェル・デヴェレルは食料品店を営む母と2人で暮らす16歳の少女。叔母が使用人として働いている近所の豪邸「パラダイス」に憧れ、上流階級の暮らしを夢みながら、それを小説に書いていた。

あるとき、彼女の小説が出版されることになり、エンジェルは一躍文壇のスターダムに踊り出る。印税で空き家となった「パラダイス」を買い、画家のエスメと恋に落ち、彼の姉のノラは自分を慕い秘書となり、憧れていた生活の全てを手に入れるエンジェルだったが・・・。

シャンパンのあけ方でさえ知らなかった下層階級の究極の自分大好き人間であるエンジェルが、自分の欲望の全てを満たしていって、その過程で、自分の気に食わないものは容赦なく切り捨て、過去を改竄し、幼い頃から妄想していた「貴族の私」を実現させていく姿はとにかく圧巻。そして、主人公なのに、全くもって共感できない!

このあたりで、主人公に嫌悪感を抱いてしまうと、2時間見るのは辛いかもしれませんね。

50年代のハリウッド作品を意識して、いかにもな合成映像もたくさん出てくるんですけど、絢爛豪華な衣装や英国万歳なお屋敷など映像としての見所もたくさんでした。英国好きは必見です!!

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ドラマ「ちりとてちん外伝 まいご3兄弟」

ちりとてちん 総集編 BOX

ちりとてちん外伝 まいご3兄弟

2008.7.

DVD ちりとてちん総集編 収録予定  

TVドラマの記事は普段はあまり書きませんが、乗りかかった船で今回も記事にしちゃいます。

朝ドラ史上初のスピンオフ作品が放送になりました☆

草原(桂吉弥)、小草若(茂山宗彦)、四草(加藤虎ノ助)の3人は小浜から大阪に車で戻る途中、道に迷った上にガス欠になってしまい、仕方なく近くの家に助けを求めたところ、そこで一晩泊めてもらうことになる。そこは扇骨職人の家で、翌朝まで仕上げなければいけない仕事があり、職人の主人(田村亮)がせっせと作業をしていたのだが、その横の部屋で宴会中の3人は大騒ぎをしてしまい・・・という物語。

やばい、43分なのに、伏線がうますぎる・・・。観終わった後、すぐに最初から見返してみると、あっちやらこっちやらに伏線が!これこそ「ちりとてちん」ですよ。

スピンオフなんか作って、本編が素晴らしかっただけに、イメージダウンするようなことがあるのではないかとか思ってちょっと心配してた部分もあったんですが、杞憂に終わりました。脚本と演出がパーフェクトです!

すでに出来上がってるキャラの設定を上手く使って、3ヶ月ぶりでも安心して見られるのも嬉しいですね~。

あと、本編と同じBGMが嬉しかった!BGMが流れるたびに、しみじみしちゃいました。

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2008年7月26日 (土)

「好き好き大好き超愛してる。」 舞城王太郎

好き好き大好き超愛してる。 (講談社文庫 ま 49-6)

好き好き大好き超愛してる。

舞城王太郎

講談社文庫 2008.6.  

やたらとインパクトのあるタイトルの作品ですが、数年前に芥川賞候補になったときからちょっと気になっていた1冊。舞城作品はこれで2作目です。

作品は連作短編のようになっていて、恋人の柿緒を病気で亡くしてしまった小説家の主人公の物語の間に、SF的、幻想的な色合いの強い短編が挿入されるという形式の作品。

全てに共通するのは「愛する人の死」。

この作品は、世にはびこる、感動を押し売りするためだけに恋人を死なせるようなヒット作品の数々へのアンチテーゼになっているようで、死にゆく恋人を前にして、ただただ「好き好き大好き超愛してる」としか言えない思いをギュギュっと凝縮して、「愛」ということを考察していく1冊でした。

ただ、僕はお子様なので愛がどうのこうのという話題はとんと疎く、作品の意図はくめても、「そうなのだよ!」と言えません・・。そもそも「愛」がどうのって作品そのものが苦手ですからねぇ。

この文庫本、装丁が微妙に凝ってて、紙質も良いし(普通のより白い&200ページもないのにちょっと厚い)、ラメっぽい中表紙もついてて、ちょっと凝った半透明ピンクの帯がついていたりして、こだわりの感じられる1冊です。ただ個人的には紙もめくりづらいし、フォントも改行の仕方もちょっと読みづらかったです・・・。

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2008年7月24日 (木)

映画「掠奪された七人の花嫁」

掠奪された七人の花嫁 スペシャル・エディション

seven brides for seven brothers

1954年

アメリカ

たまに掲載している昔のミュージカル作品を楽しもう企画です。

『雨に唄えば』のスタンリー・ドーネン監督によるミュージカルで、アカデミー賞の作品賞候補にもなった作品(ちなみに受賞したのは『波止場』)。

舞台は西部開拓時代のオレゴン。町から離れた山小屋に暮らすアダムは、花嫁を探しに町へと出かけ、食堂で働いていたミリーという女性に一目ぼれし、その場で結婚し彼女を家と連れて帰る。

アダムの家に到着したミリーはそこで、アダムが七人兄弟の長男であることを知り、ミリーは女手のない山小屋で七人の食事の用意に洗濯といった家事を任されることになり、初めは怒ったものの、やがて、兄弟たちのしつけをするようになる。そして、まだ恋をしたことのない6人に女性との付き合い方を指南し、兄弟たちは町の祭へと出かけていくのだが・・・。という物語。

邦題に「掠奪された」とあるように、ストーリーは結構ハチャメチャで、倫理的にどうかと思われる部分もあるんですが、破天荒なストーリーに合わせたように、エネルギッシュなダンスと耳に残るバラード曲も多い名曲の多さでそれをカバーするという、まさしく「ミュージカル」だからこそ許されるような作品でした。

ただ、1つの映画として見たとき、やはりストーリーも素晴らしい傑作は多数あるわけで、その点でちょっと弱い作品かなぁと。

とりわけ祭の場面でのダンスは、体操選手顔負けのアクロバティックなダンスが次々と繰りひろげられて、かなりの見ごたえがあります。カラフルな服装も楽しいし、この場面は必見!

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2008年7月23日 (水)

「ちりとてちんメモリアルブック」

ちりとてちんメモリアルブック 2008年 8/25号 [雑誌]

ちりとてちんメモリアルブック

NHKステラ 臨時増刊8月25日号

NHKサービスセンター 2008.7.  

以前も記事で取り上げたドラマ史上かつて類を見ないほどの傑作と言っても過言ではないNHKのドラマ「ちりとてちん」のメモリアルブックが発売になりました。

NHKは自分のところの作品を紹介するステラという雑誌を発行していますが、これは、ステラ誌に掲載された「ちりとてちん」に関連する記事を集め、そこに書下ろし記事を加えた総集編となっています。

名場面集に始まり、インタビューやら、セットの解説やらオープニングテーマの楽譜やら盛りだくさんの内容で、読んでいるだけであの興奮が蘇るといった感じですね。学生にはDVDはちょいと手が出せないので、しばらくはこのメモリアルブックでちりとての思い出に浸ることにします。

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2008年7月20日 (日)

「ハローサマー、グッドバイ」 マイケル・コーニィ

ハローサマー、グッドバイ (河出文庫 コ 4-1)

ハローサマー、グッドバイ
( Hello Summer, goodbye (Rex) )

マイケル・コーニィ
(Michael Coney)

新潮文庫 2008.7.  

本日は梅雨明け宣言が出て、まさに「ハローサマー」ですが、かつてサンリオ文庫から出ていて、カルト的人気を誇ったという作品の新訳が出たのを読みました。イギリスのSF作品です。

舞台は人間型の生物が暮らすとある惑星。惑星にはエルトとアスタという2つの国があり、主人公の少年ドローヴはエルトの役人の息子であった。あるときドローヴの家族は父の仕事で港町のパラークシに滞在することになる。ドローヴは以前訪れた際に出会った少女ブラウンアイズと再会し、2人は恋心を募らせる。

エルトとアスタの戦争や、バラークシででのアスタからの密輸疑惑など様々な大人たちの問題が深刻化していく中、ドローヴはパラークシの人々と親しくなっていくが、役人の父親は、息子が庶民と交わることを快く思わず・・・。

架空の惑星を舞台に、少年少女の一夏を描く作品で、少年の成長を鮮やかに描きだす、恋愛・戦争・SF・ジュブナイルな物語。

わざわざ架空の惑星を舞台にする理由が最初はよく分からなかったんですが、途中から、その設定を非常に上手く使っているなぁというのが感じられて、ラストに至っては、もはやこの惑星の設定なしではあり得ないストーリーを構築していて、なかなか面白い作品でした。

作家が自分の描きたいことを最大限表現するために、いくらでも好きなように設定をいじることができるというのは、ご都合主義にもなりかねないけれど、これこそがフィクションの醍醐味であるのも事実で、細かな部分も含めて、とにかく設定使いが上手いなぁと思いました。

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2008年7月18日 (金)

映画「俺たちダンクシューター」@試写会

Semi-Pro
<画像は米盤サントラより>

semi-pro

2008年

アメリカ

8月9日公開

ブロガー試写会に当たって観てきました。ウィル・フェレル主演のコメディ、「俺たちニュースキャスター」、「俺たちフィギュアスケーター」に続く「俺たち」シリーズ第3弾です。ま、作品自体はシリーズものでもなんでもないんですが。

舞台は1970年代のアメリカ。かつて「Love Me Sexy」というヒット曲を生み出した一発屋の歌手ジャッキーは、地元ミシガン州のフリント市のバスケットボールチーム「フリント・トロピックス」のオーナー兼監督兼選手として活躍していた。ところがこのチーム、「Everybody loves everybody」を合言葉に、冬の米北部ミシガンでも気分はいつもトロピカルでエンタメ度はトップクラス、しかし、試合となるとまるで勝てないというダメチーム。

あるときチームの所属するABAリーグがNBAに吸収されることになり、リーグの上位4チームはNBA入りし、他のチームは解散することが決定する。ジャッキーは元NBA優勝チームの選手(万年ベンチ)をチームに呼び、NBA入りを目指すのだが・・・。という物語。

バスケものではありますが、ひたすらバカな作品で、終始笑いどころが満載でした。スポーツ映画の王道っぽいストーリーなのに、実際にバスケの試合のシーンは結構少なくて、チームの下らな~い余興やら、アホな練習風景やらでたっぷり笑わせてくれます。

ラストも無駄にスポーツもの王道を真面目にまっしぐらなんですけど、王道すぎて、彼らの姿とのギャップが笑わせてくれます。バカなんだけど「大真面目」ってとこが憎めないっすね。

正直、この手のコメディはDVDリリースのみで十分なのではとか思い、あまり期待してなかったんですけど、思ってたよりも面白かったので満足。

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2008年7月16日 (水)

映画「猫の恩返し」

猫の恩返し/ギブリーズ episode 2

猫の恩返し

2002年

日本

ジブリ作品はほとんど観ているのですが、その中でも珍しく今まで観てなかった作品。先日テレビ放映されたものを観ました。

主人公のハルはある日、道路でトラックに轢かれそうになった猫を助ける。その晩、猫の行列がハルの家の前に訪れ、猫王が王子の命を救ってくれたお礼をすると告げられ、翌日、大量のまたたびや、ネズミなど猫流のお礼が贈られてくる。さらに、猫王がハルを王子の結婚相手として迎え入れることを決め、ハルは猫の国に連れて行かれそうに。困ったハルは突如聞こえてきた声に従い、猫の事務所に助けを求めるのだが・・・。

これ、「耳をすませば」のスピンオフなんですよね。「耳すま」は結構好きなので、イラストのタッチが違うところが受け入れられず、当時観なかったんですが、ま、別物の作品として捉えれば、その辺はOKです。「耳すま」の曲が時折挿入されている音楽は結構好きです。

ただ、物語にあまりに既視感がありまして、助けたらお礼に無理矢理結婚させられそうになるって話は割と童話の定番ですよね。こういう自己中心的な人たちに好かれてしまうってのは本当に怖いです。子供向けなテイストの作品ではあるけれど、ストーリーは結構ダークで面白い。

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映画「インディ・ジョーンズ最後の聖戦」

インディ・ジョーンズ 最後の聖戦

indiana jones and the last crusade

1989年

アメリカ

新作を見る前に過去作の復習をしよう企画がようやく終了です。これで、やっと新作を観にいけます。

考古学者のインディはナチスが伝説の聖杯を探るための調査をし、手がかりを知っているインディの父親が誘拐されたことを知り、父の居場所を求めてイタリアへと向かう。果たして、伝説の聖杯は見つかるのか、そして、それに秘められた秘密とは!?という物語。

これ見るのも何度目かわからないくらいですけど、やっぱり面白いですね。

なんといっても、少年時代のインディをリバー・フェニックスが演じ、インディの父をショーン・コネリーが演じるという奇跡のキャスティングがたまりません。特に、007コネリーに常に足を引っ張るおじいちゃんを演じさせてしまったところが凄すぎ。

1作目の謎解きの面白さに、2作目のジェットコースターを上手くミックスさせて、娯楽のバランスが一番取れているのがこの3作目な気がします。

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2008年7月14日 (月)

映画「ONCE ダブリンの街角で」

ONCE ダブリンの街角で デラックス版

once

2007年

アイルランド

公開してるときにも気になり、アカデミー賞のときにも気になっていた作品。ついに観ることができました。

舞台はダブリン。主人公の男は父の経営する掃除機修理の店を手伝いながら、路上でギター片手に自作の歌を歌っていた。ある日、彼は1人の女に声をかけられる。チェコから来たという彼女に連れられて、楽器店のピアノの前に向かう男。男はギターとともに歌い始め、女はそれに合わせてピアノを弾き、コーラスを入れはじめて・・・。

愛する女性に去られ、失意の日々を送る男と、祖国を離れてアイルランドにやってきた理由ありの女。2人の思いを代弁するかのように数々の歌が紡がれていく、という物語。

観ている最中はそれほどでもなかったのに、観終わったあとに、いつまでもジワジワと心に残って離れない作品ですねぇ。場面も音楽も、ずっと頭に残ってます。

下手すると90分、ひたすらPVを見ているかのような作品なんですが、やっぱり歌が良いです。それだけで嬉しくなってしまいます。

主人公の男を演じるのは、本物のアーティスト、「the frames」のグレン・ハンサードなので、歌が上手いのは当たり前なんですが、女を演じるマルケタ・イルグロヴァのコーラスがたまらないです。しかも彼女、笑顔が素敵すぎ。

と思ってたら、この2人、「the swell season」という名義で2人だけで映画とは別にアルバムまで作っちゃったんですね。これは是非聞かなくては!!

ストーリーは、あってないような感じですが、ヨーロッパ映画的でこういうのも良いと思います。ラストも、ここまで見事に「歌」が描かれてしまうと、なんだか納得できる作品だったし。一生忘れられない出会い、とはこういうのを言うんだろうね。何も変わっちゃいないんだけど、確かに「運命を変えた」という感じなのが良い。愛情によって子供が誕生するのと同じように、2人が歌を誕生させるというのがなんともいえません。

「見る映画」というよりかは、「聞いて感じる映画」だと思います。でもしっかりストーリーもあるところが憎い。

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2008年7月12日 (土)

「きみの友だち」 重松清

きみの友だち (新潮文庫 し 43-12)

きみの友だち

重松清

新潮文庫 2008.7.  

今月末から映画が公開される作品が、あわせるようにして文庫化。以前からずっと読みたかった作品なので、早速読んでみました。

雨の日に下校中の事故で足を怪我してしまい、松葉杖が手放せなくなってしまった小学生5年生の少女、恵美。彼女は、その事故がきっかけで、クラスの「みんな」の輪から外れるようになり、同じように体が弱くクラスに馴染めずにいた同級生の由香と親しくなるのだが・・・。

作品は、各話ごとに主人公が変わっていく全9話の連作短編。恵美の小学生時代から中学時代のクラスメートたちが主人公になる話と、恵美の歳の離れた弟のブンの小学校から中学時代のクラスメートたちを主人公にした話が交互に描かれていく。

これはついに重松ベストがきてしまったか!?と思わせるくらいに良い作品でした。

「友だち」というテーマがあまりに身近だということもあるんだろうけど、ここに出てくる物語、恐らく誰にとっても、自分が当事者ではなかったにせよ、これまで生きてきた中で経験したことのあるできごとばかりではないでしょうか。

「友だち」とは一体何か、「みんな」との距離のとり方、本当の正解なんてない問題なだけに、読みながら、自分が生きてきた過去を振り返り、自分自身の「友だち観」を何度も問いただすような作品でした。

この作品、二人称の「きみ」が使われていて、語りかけるようにして物語が展開することもあって、全体的に子供たちを温かなまなざしで見守るような雰囲気があります。そして、その「きみ」が自分ではないかと、読者がギクリと思う効果もあるんだろうなと。

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2008年7月11日 (金)

映画「あしたの私のつくり方」

あしたの私のつくり方

あしたの私のつくり方

2007年

日本

公開時にちょtっと気になっていたものの、すっかり忘れていたのをふと思い出して、DVDを借りてきました。

主人公の寿梨は両親が離婚し、母親と2人で暮らす女子高生。ある日、皆から無視されていた小中学校時代の同級生の日南子が地方へ転校したという話を風の噂で聞き、友人から彼女のメールアドレスを教えてもらい、自らをコトリと名乗り、彼女にメールを送るようになる。寿梨は「ヒナとコトリの物語」という話を創作しながら、日南子にメールで友人のつくり方や、クラスでの振舞い方、恋人のつくり方などを指南し、新天地で日南子は人気者となっていくのだが・・・。

本当の自分とは何なのかを模索する女子高生を描く作品。

主演の成海璃子は「子役」のカテゴリではくくれない素晴らしい女優さんなのでかなり期待して見てたんですが、正直なところ、長い長い携帯のCMを見ているような感じ・・・。カット割りもCMっぽいとこが多いですけど、携帯で友情を育むストーリーで、これでもかってくらいに携帯を駆使して、その映像がばっちり画面に出てきますからね。

しかしながら、成海璃子の存在感はもうとんでもないです。この映画、大人も子供も含めて他のキャストが全員彼女の存在感に完全に飲まれてしまっているといっても過言ではありません。今回、小学生から高校生までを見事に演じているんですが、それができる丁度の年齢だったというのもあるんだろうけど、本当に上手い。今後の活躍が楽しみで仕方ありません。

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2008年7月10日 (木)

「お菓子と麦酒」 サマセット・モーム

お菓子と麦酒

お菓子と麦酒
(cakes and ale)

ウィリアム・サマセット・モーム
(William Somerset Maugham)

角川文庫 2008.4.  

サマセット・モームの作品は読んだら間違いなく面白いというのが分かっているのですが、機会がないとなかなか手にすることがありません。でもって、4月に文庫が復刊されたので、ここぞとばかりに読んでみました。

主人公ウィリーは作家仲間であるロイに呼び出され、そこで、亡くなった人気作家ドリッフィールドの伝記を書くことになり、それに協力してほしいと持ちかけられる。それを機に、ウィリーは、少年時代に故郷の街でドリッフィールドと彼の最初の妻ロウジーらと過ごした日々を回想しはじめるのだが・・・。

やっぱりモームの作品は面白い!

この作品は主人公の独白形式になっているんですが、この手法が上手く使われていて、なかなか面白い1冊でした。作中でこの形式に関して自ら言及する場面もありましたね。

ウィリーの知るドリッフィールドはまだ世間が絶賛する文豪でもなく、ロウジーもまた、世間で語られるような下品な女性ではなかったために、主人公のこの2人に対する認識が世間一般の認識とずれていて、その辺りが独白という形式で非常に面白く描かれているなぁと。

とりわけ、ロウジーに対する主人公の思いが徐々に解き明かされていく様子は終盤にかけて、一気にラストまで読んでしまいたくなるくらいにスリリング(?)で面白かったです。

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TV「華麗なるペテン師たち2」

華麗なるペテン師たち

<画像は第1シーズンのDVD>

公式サイト

イギリスのBBC製作のTVドラマシリーズですが、2年前に第1シーズンが放送されて、ちょこちょこ再放送があったのは知ってましたが、ここにきてまさかの第2シーズン放送開始です!

NHKさん、ありがとうございます。

邦題が一昔前のドラマみたいな感じで、ちょいと地味なんですが(「ペテン師」って・・・)、内容は21世紀の「スティング」といった感じでとても面白いのですよ。

ロンドンを舞台に詐欺師達の活躍を描くドラマなんですけど、このドラマの面白さはなんといっても、テンポの良いスタイリッシュな演出。詐欺指南をするシーンなんか最高です。

第2シーズンも1話目からガンガンに飛ばしてましたね。これからも楽しみです。

全6回とイギリスならではの少ない話数ですが、1話完結ですし、かなりのオススメドラマです。

ちなみにNHKのHPによると、BS2の水曜23時は、イギリスのドラマを放送する枠になったみたいですね。今後のラインナップも楽しみです☆

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2008年7月 8日 (火)

映画「スケルトン・キー」

スケルトン・キー (ユニバーサル・セレクション2008年第6弾) 【初回生産限定】

the skelton key

2005年

アメリカ

正直、このジャケットだと、レンタル店にて借りようという気すら起きませんが(ホラーの棚だし)、サスペンスの面白いのが見たいなと思い、調べていたところたどり着いた作品です。

あ、ジャケだけ見て、この下の感想を観ない人も多そうですが、一言だけ言うと、全然ホラーじゃなくて、サスペンスとして非常に面白い作品でしたよ。こういう隠された佳作に出会えると嬉しいものです。

主人公キャロライン(ケイト・ハドソン)は、脳卒中で倒れた老人ベン(ジョン・ハート)を住み込みで看護することになり、ジョンの妻ヴァイオレット(ジーナ・ローランズ)から屋敷中の鍵を全て開けることのできる合鍵(スケルトン・キー)を譲り受ける。ある日、キャロラインは屋根裏部屋の奥に、その鍵で開けることのできない扉があることに気づくのだが・・・。

何か助けを求めている様子のベン、屋敷の屋根裏に隠された部屋、そして、アメリカ南部に伝わる呪術フードゥーに秘められた衝撃の事実とは!?という物語。

この手のサスペンスは、観ながら、ああだこうだと色々推理をしながら観てしまうわけで、終盤に至るまでの展開はある程度予期できるものだったんですが、ラストのどんでん返しのインパクトが強かったです。

脚本が「隣人は静かに笑う」のアーレン・クルーガーなので、その系列の作品だと思っていただければ良いかと。

一見、ちょっと中だるみな雰囲気さえあった中盤の展開が、ミスリードさせるように巧妙に仕組まれているのが上手い!途中、映像が無駄に見づらいとこがあったりとか、終盤に至るまでの部分の見せ方がもうちょっと上手いとかなりの傑作になってたかもね。たまに音楽(南部が舞台なのでジャズを使うのは良いんだけど)が合ってない場面もちょいと気になったし。

ケイト・ハドソンといえば、明るい笑顔でラブコメに出ているイメージが強いですが、今回はホラー調のサスペンスで、必要以上に好奇心旺盛なために、ドツボにハマっていく主人公を熱演してました。

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2008年7月 6日 (日)

James Yuill

UK-JAPANのサイトにて、現在、英国の新人アーティスト発掘イベントが行われていまして、日本ではまだ紹介されていない様々な新人さんたちの音源を聞いて、お気に入りを発掘できるという企画が催されています。

UK音楽好きとしては見逃せない企画なので、さっそく、紹介されているアーティストさんたちの曲を聞いてみました。

で、いくつかのアーティストさんたちが紹介されているんですが、その中で僕が良いなと思ったのはJames Yuillというロンドンのシンガーソングライター。( 公式my spaceはこちら

何曲が聞くことができるんですが、思わず何度かリピートして聞いてしまいました。

アコギで歌うフォークな曲にピコピコとエレクトロなテクノ音が混ざり合っていて、その混ざり具合が程好くて、なかなか良い感じなのです。

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2008年7月 4日 (金)

木下大サーカス

今日は、友人が招待券を持っているということで、木下大サーカスを見に行ってきました。

サーカスを見るのは20年ぶりくらいなんですが、前回の記憶はほとんど無いに等しいので、頭の中では、ブラッドベリやら、江戸川乱歩やらを思い浮かべつつ、勝手にサーカスのステレオタイプなイメージを膨らませて出かけてきました。

21世紀の今、サーカスなんてそんなに人が集るものでもないだろうと勝手に思っていたんですが、平日の昼間にもかかわらず、会場前には長蛇の列が。我々は当初10分くらい前に会場につけば良いかと考えていたのを万が一のことを考えて、30分前に会場に着くペースで行ったんですけど、それでも遅すぎるくらいで、結果的に、ほぼ満席の場内でも、割と後方で、柱が視界に入りちょっと見づらい席になってしまいました。(一般席だったのです)

いやはや、まさか、平日昼間の回で満席になるほどの盛況っぷりとは思っていませんでしたよ。びっくり。

で、サーカス自体の感想ですが、思ってたよりもずっと楽しかったです。「サーカスはこうでなくっちゃ」という頭の中のイメージどおりの演目が次々と繰りひろげられて、結構楽しんできちゃいました。

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「木曜日だった男」 チェスタトン

木曜日だった男 一つの悪夢 (光文社古典新訳文庫 Aチ 1-1)

木曜日だった男 一つの悪夢
(the man who was thursday : a nightmare)

ギルバート・チェスタトン
(Gilbert Keith Chesterton)

光文社古典新訳文庫 2008.5.  

久々の古典新訳文庫。ミステリの『ブラウン神父』シリーズで有名なイギリスの作家、チェスタトンの代表作です。

主人公は無政府主義者たちの組織に潜入し、捜査をすることになったサイムという男。その組織では7人のメンバーがそれぞれ曜日の名前を与えられていて、サイムは「木曜日」に任命される。はてさて、サイムは組織が計画する爆弾事件を阻止することができるのだろうか・・・。という物語。

と、あらすじを書くと、探偵ものハードボイルドな雰囲気なんですが、サブタイトルになっている「一つの悪夢」というのがかなりキーになっていて、探偵物語の殻をかぶりつつ、実際は哲学的夢想が繰りひろげられるちょっと変わった作品でした。

物語自体はこちらの予想通りに展開していくものの、結構楽しめる内容なんですけど、冒頭や後半で熱く語られる言葉が結構読むのが大変でして、最終章に至っては、理解するのもなかなか難しい内容のまま、狐につままれたようなラストを迎えたなという感じでした。

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2008年7月 3日 (木)

映画「ゾンビーノ」

ゾンビーノ デラックス版

fido

2007年

カナダ

劇場公開時より気になっていた1本です。ゾンビコメディ映画ということで、この設定だけで完全ノックアウトだったんですが、果てさて感想は・・・。

宇宙から放射能が降り注ぎ、死人たちがゾンビとなって復活するようになってしまった地球が舞台(世界観は1950年代)。ゾンビたちとの激しい戦争の末、ゾンビたちを大人しくさせる首輪が開発され、人々は凶暴なゾンビたちを居住区の外へと追いやり、首輪をつけたゾンビたちを召使として働かせていた。

主人公ティミーの家では父親がゾンビ嫌いだったため、長らくゾンビがいなかったのだが、ある日、母親がゾンビを連れてきて、待望のゾンビとの生活をスタートさせる。いじめられっ子で友達のいなかったティミーは、ちょっとドジなところもあるけれど、家事をこなし、キャッチボールなどの遊び相手にもなってくれるゾンビをファイドと名づけ、喜んでいたのだが、ある日、ひょんなことから、ファイドが隣のおばあちゃんを食べてしまって・・・。という少年とゾンビの感動ホラーコメディ物語。

ゾンビが人を食べるシーン連発なんですが、徹底して1950年代のホームドラマを模した作りになっていて、そこにゾンビたちが闊歩する姿がとてもシュールで、風刺のきいたコメディになっていてなかなか面白い作品でした。

ゾンビ以外にも、のんびりとしたホームドラマなのに、子供たちが平気で銃をガンガン撃って、ゾンビに襲われたときに戦う方法を学校で学んでる姿がほんわかと挿入されたり、基本とてもシュール。

ただ、もっと破天荒なブラックコメディだと思っていたのに、あまりに、物語がしっかりしすぎていて、作り手が風刺したいことが直球で伝わる内容だったので、ゲラゲラ笑うって感じじゃなくて、普通の「面白いだけじゃなくて考えさせられる映画」になっていたのがちょっと物足りなかったですね。

これ、ゾンビになってるからお隣さんやらお友達やらが食べられちゃったりしてシュールな展開になってるけれど、扱ってる内容自体は、ゾンビをロボットとかに変えてしまったら、普通にありそうな物語。もっと言ってしまえば、奴隷制度なんかまで話を広げられるテーマですよね。

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2008年7月 2日 (水)

08年6月に聞いたCDから

今月は珍しく流行りものの、大ヒットUK作品も登場します。

今月のラインナップは・・・

・「viva la vida or death and all his friends」 coldplay

・「silent cry」 feeder

・「colors and sounds」 article one

・「未だ見ぬ明日に」 Asian Kung-Fu Generation

以下1枚ずつ簡単にコメント。

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