映画「掠奪された七人の花嫁」
seven brides for seven brothers 1954年 アメリカ |
たまに掲載している昔のミュージカル作品を楽しもう企画です。
『雨に唄えば』のスタンリー・ドーネン監督によるミュージカルで、アカデミー賞の作品賞候補にもなった作品(ちなみに受賞したのは『波止場』)。
舞台は西部開拓時代のオレゴン。町から離れた山小屋に暮らすアダムは、花嫁を探しに町へと出かけ、食堂で働いていたミリーという女性に一目ぼれし、その場で結婚し彼女を家と連れて帰る。
アダムの家に到着したミリーはそこで、アダムが七人兄弟の長男であることを知り、ミリーは女手のない山小屋で七人の食事の用意に洗濯といった家事を任されることになり、初めは怒ったものの、やがて、兄弟たちのしつけをするようになる。そして、まだ恋をしたことのない6人に女性との付き合い方を指南し、兄弟たちは町の祭へと出かけていくのだが・・・。という物語。
邦題に「掠奪された」とあるように、ストーリーは結構ハチャメチャで、倫理的にどうかと思われる部分もあるんですが、破天荒なストーリーに合わせたように、エネルギッシュなダンスと耳に残るバラード曲も多い名曲の多さでそれをカバーするという、まさしく「ミュージカル」だからこそ許されるような作品でした。
ただ、1つの映画として見たとき、やはりストーリーも素晴らしい傑作は多数あるわけで、その点でちょっと弱い作品かなぁと。
とりわけ祭の場面でのダンスは、体操選手顔負けのアクロバティックなダンスが次々と繰りひろげられて、かなりの見ごたえがあります。カラフルな服装も楽しいし、この場面は必見!
登場人物が7人兄弟に7人の娘ということで、やたらと多くなってしまったため、印象に残るキャラクターが少ないのもちょっと残念なところ。とりわけ女性陣はアダムが最初に連れてくるミリーくらいしか印象に残るキャラがいません。
7人兄弟では末っ子ギデオンを演じるラス・タンブリンが良いです。『ウエスト・サイド』ではジェット団のリーダー、リフで好演してましたが、ここではちょっと天然なナイスキャラの末っ子っぷりが良いです。
<印象に残った曲>
荒々しい兄弟たちが、体をはったダンスをこなしつつ、なんと歌声が綺麗!ハモリがやたらと上手いです。とりわけ雪をバックに歌う"Lament"のハーモニーは必見。
ローマ人にならって女性たちを掠奪して結婚しようぜ!というのを歌う"Sobbin' Women"は歌詞の内容はどうかと思うのですが、カントリー調でノリのよい曲でなかなか楽しく仕上がっていて、かなりの名曲だと思います。
あとは、女性たちが季節の変化をうたいあげる"June Bride"もメロディが美しいですねぇ。
他にも、デート指南の曲"Goin' Co'tin'"や、オープニングナンバーにもなってるアダムが花嫁を探す"Bless your beutiful hide"など印象的な曲は多いです。
ミュージカル映画としては割と知名度はあるほうだと思いますが、歴史に埋もれてしまうのかなぁ。ストーリーが弱いですけど、名曲が多いのと、ダンスシーンが素晴らしいので、みごたえのある作品だとは思います。
最後に妙にツボにはまった場所。
最初にミリーを連れ帰ってきたときに、ずーっとケンカしてる兄弟たち。台所まできちゃったときには思わず笑ってしまいました。
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