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2008年8月 6日 (水)

映画「イントゥ・ザ・ワイルド」@試写会

Into the Wild

into the wild

2007年

アメリカ

@試写会
(9月6日公開予定)

珍しく2日連続試写会。ショーン・ペン監督で全米でベストセラーになったノンフィクション「荒野へ」を映画化した作品。観る前は2時間半という長さにちょっと不安を感じていたんですが、観始めたらあっという間でした。

1990年の夏、優秀な成績で大学を卒業し、ハーバードのロースクールへの進学も決まっていた青年クリトファー・マッカンドレスは、貯金を全て寄付し、カードや現金も全て処分して、誰にも何も告げず一人旅に出る。

それから2年後、クリスの姿はアラスカの大地にあった。森の中で見つけた古びたバスの中で寝泊りし、野生の中での自由な生活を謳歌するクリスだったが・・・。

映画は、クリスがアラスカを目指す2年間の間に出会った人々との交流を描きながら、そこに、クリスの若い日のできごとや、残された家族について語るクリスの妹のナレーションを被せながら、彼の旅を描いていく。

事前に調べたところ、シリアスそうな内容だったので、2時間半は辛いかなぁと思ったのですが、この映画、「2時間半」は決して長くなくて、それだけの時間を費やして描くだけことをしっかりと描いていて、最後まで中だるみになることなく観ることができました。原作も読んでみたくなったし。

1992年のアラスカでのできごとと、そこに至るまでの2年間の旅の様子、そして、妹の語りが交互に物語を織っていくように語れるという手法も上手かったと思います。主人公と、彼が出会う人々との交流もどれもが心に残るものばかりで味わい深いし。

あとはなんといっても、アメリカの広大な自然の映像がとにかく素晴らしい!森の中の散策、カヤックでの川下り、広大な砂漠地帯、アラスカの大自然と見所満載。

大自然、人との交流、文学と、「男の浪漫ここにあり」な題材を、非常に上手く映像化していて、なかなか良い作品だったと思います。

ただし、ものすごく残念だった点が1つ。

主演のエミール・ハーシュがやや力不足だったと思います。体重を落としたり、色々と努力をしているのも分かるんですが、何かが足りない。そんな印象でした。何が悪いってわけではないんですが、旅にかける彼の信念が伝わってこないというか、オーラが足りないというか。この役、役者だったら、うまくやれば生涯の代表作に成り得る最高の役どころだと思うので、本当にもったいない。無茶な希望だけれど、リバー・フェニックスとかに演じて欲しかったなぁとか思ってみたり。若き日のディカプリオとか。

主人公が出会う人々の中でとりわけ印象に残ったのはヒッピーの夫婦。彼女達の過去が明らかになったところで、なんとも言えない切なさを感じました。

出会う人々皆に、忘れえぬ印象を与える、ナイスガイな青年。ラストの彼が感じたことは一体なんだったんだろうかとか、本当に幸せだったんだろうかとか、違う結末になっていたらどんな人生を歩んだのかとか、観終わった後も、色々なことを考えさせられる作品でしたね。

ただ、彼みたいな生き方は結局、彼が成績優秀である程度恵まれた環境にあったからこそ生まれた思いだと思うので、見方によっては、冒険心と反抗心にかられてしまったエリートの悲劇ともとれる作品なんですよねぇ。自然を甘く見た世間知らずの坊ちゃんという感じはぬぐえません(←カヤックのシーンも危なかったし。地図さえ持ってないんですよ!!)。

あと、ネタバレな宣伝によって、最後が分かっていたものの、まさか、ああいう経緯でたどりつくとは思っていなかったので、もっと「彼の信念」が感じられる最後なのかと思っていたんですが、もっともっとあっけない展開で、「え、それが理由?」という感じでちょっと拍子抜け。しかし、それが逆に、実話っぽくて、ものすごいやるせなさを感じさせたのも事実。運命とはなんとも皮肉なものです。

この作品、個人的に、亡き友人を思い出させてしまう要素が強すぎて、見ながら、何度もその友人のことを思い出してました。実は、こういう理由もあって、観るのをちょっとためらってた部分もあったんですが、結果的に、観ることができて良かった作品だと思います。ただ、残された家族や、映画では出てこなかった彼の大学までの友人たちの思いはいつまでも癒えることがないんだろうな、と。

映画のラストの本人の写真、実話だと実感させられる悲しい1枚だけれど、あの満足気な表情にちょっと救われたかな。

* * *

映画本編とは関係ありませんが、白っぽい背景に白字の字幕がかかる部分がかなり多くて、もうちょっと工夫できなかったかなと。英語もそんなに難しくないとはいえ、これはちょっと不親切。

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コメント

TB/コメントありがとうございました。

「自然をなめるとえらい目にあうぜ。」が教訓でしょうか。

日記が残っていたと思うので、かなり事実に近いとは思いますが、
やっぱ常備薬は必要だな、と思ったKGRでした。

あちこちで見たことのある人が出てました。

投稿: KGR | 2008年8月 8日 (金) 00時46分

>KGRさん

コメントありがとうございます。

若さゆえの旅だと思いますが、
若さゆえの無謀さと過信が結果的に悲劇を招いたのが
なんとも言えずに切なかったです。

おっしゃるように
脇のキャストがなかなかしっかりとしてましたね。

投稿: ANDRE | 2008年8月 9日 (土) 00時28分

はじめまして。TBありがとうございました。
後で見てみたら日本の宣伝は割りとネタバレしてしまっているみたいですね…私は全然知らずに見たので割と衝撃でしたよ。まさかこういうことになるとは、と思いました。大人になるということはやっぱり妥協も必要だし、周りのことを考える必要もある、彼は最後に何を考えたのでしょうね。なんだか考えさせられました。
TB送りますね。またお邪魔します。今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: minori | 2008年8月10日 (日) 18時17分

>minoriさん

コメントどうもありがとうございます!

観る前にネタバレ部分を読んでしまい
最後を知りながら観たので、
どのようにしてそのラストに向かうのかという見方になってしまい
ちょっと残念でした。

ま、アメリカではかなり有名なニュースだったようなので、
製作者もそれを意図して作っているのかもしれませんが。

「若気の至り」として片付けてしまうには
あまりに悲しい最後でしたが、
それでも、若さからくる無知ゆえの結末だと思うので、
いろいろと考えさせられる作品でした。

こちらこそ、またお邪魔させていただきたく思います。
よろしくお願いします!

投稿: ANDRE | 2008年8月11日 (月) 00時26分

ANDREさんこんにちは♪
TBありがとうございます☆

FC2からだとやっぱりTBできないみたいです。何度もやったんですが…。

>冒険心と反抗心にかられてしまったエリートの悲劇ともとれる作品なんですよねぇ。
本当にそう思いますね。映画自体は良くできてはいると思いますが、主人公の行為自体には全く共感できませんでした。

投稿: dai | 2008年8月17日 (日) 15時54分

>daiさん

TBの相性の良し悪しっていつも謎ですよね・・・。
コメントしていただきありがとうございます。

本当、良い作品なのに、どこか引っかかるんですよね。
そのあたりが賞レース向きの作品だと思うのに
アカデミー賞では見向きもされなかった理由なのかなぁなんて思いました。

投稿: ANDRE | 2008年8月18日 (月) 01時03分

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