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2008年10月25日 (土)

「ノリーのおわらない物語」 ニコルソン・ベイカー

ノリーのおわらない物語 (白水Uブックス 172 海外小説の誘惑)

ノリーのおわらない物語
(the everlasting story of Nory)

ニコルソン・ベイカー
(Nicholson Baker)

白水Uブックス 2008.9.
(original 1998)  

ニコルソン・ベイカーの作品は、同じくUブックスから出ている「中二階」という作品がとても好きなのですが、Uブックスの他の作品はちょっとお色気っぽい要素が強そうなので、勝手に読まず嫌いの状態だったのですが、そんな作品とはまた打って変わって少女を主人公にした物語ということで、早速読んでみました。

主人公はアメリカから英国の小学校に転校してきた9歳の少女ノリー。学校であったこと、弟や両親とのこと、友達とのこと、そして、大好きな空想の物語など、彼女の頭の中で繰りひろげられる思考の世界を綴っていく作品。

「中二階」とはまたアプローチが違いますが、一人の人の頭の中の思考を細かく描き出すという部分は似た感じですね。

作品ができ上がる過程で、実際に著者が娘を送り迎えしている車の中で聞いた話がベースになっているということですが、本当に、子供が話をしてきかせてくれているような語り口で、途中で話がどっかいってしまったり、一生懸命な感じが伝わったりするのが微笑ましくて、なかなか面白いです。

海外の学校でも結構イジメの問題とかあるんだなぁってのも垣間見えたりして、国は違えど、どこでも小学生の日々というのはそれほど変わらないんだなぁというのも実感させられる1冊でした。いつどこの世でも、子供の頭の中は毎日大忙しなのです。

友人を連れて家族で出かけるエピソードが結構好きです。ちゃんと一緒に物語を作ったあたりがなかなか良い。

自分も子供の頃は、財宝を探す大冒険とか、勇者になってRPG的大冒険とか、スパイやら探偵になったりと、日々さまざまな物語が頭の中で繰りひろげられていたなぁってのを思い出しました。

「おわらない物語」ってのが、ノリーの思考がずーっと大人になっても続いてくって感じがして結構好きです。

ただ、この徹底した擬似子供喋り文体のせいか、作品を一気に読み進めてしまうと、ちょっと疲れてしまうんですよねぇ。毎日少しずつ読み進めたほうが楽しめる1冊かも。

この作品の翻訳をしている岸本佐知子さんは、エッセイがとても面白くて好きなんですが、この方は翻訳する作品の選び方も良いなぁと思います。ニコルソン・ベイカー、なんとなくテーマだけで食わず嫌いしているほかの作品も読んでみようかなぁ。

<参考過去レビュー>

「中二階」 ニコルソン・ベイカー

エスカレーターに乗って中二階に行くまでの間に頭をかすめた下らない思考を、徹底的に細かい注釈とともに書き尽くす作品。小説としてはどうかと思うけれど、試みとしてはかなり好きです。

「地下鉄のザジ」 レーモン・クノー

フランスの女の子も大忙しっていう話。

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コメント

andreさん、こんにちは。
お色気っぽいといえば、「もしもし」とか「フェルマータ」かな。
わたし、「フェルマータ」は読み切ったんですが、「ノリー~」は挫折しちゃいました(^-^;。
岸本さんのエッセイも楽しいですよねー♪

投稿: つな | 2008年10月26日 (日) 13時45分

>つなさん

コメントいただきましてありがとうございます。

食わず嫌いしてるのは「もしもし」と「フェルマータ」です。
でも、Uブックスというブランドで出ているので、
きっと思ってる以上にはちゃんとした作品だとは思うので、
機会があったら読んでみたいと思います。

「ノリー~」、自分も、挫折しそうになった場面がちょこちょこありました。
この作品、毎日少しずつ長期に亘って読んだ方が
楽しめるような気がします。

岸本さんのエッセイは、
普段ハードカバーはほとんど買わないのに、
思わず買ってしまったくらいに好きです。

投稿: ANDRE | 2008年10月27日 (月) 12時12分

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