« 映画「うた魂♪」 | トップページ | 「パレオマニア 大英博物館からの13の旅」 池澤夏樹 »

2008年10月 4日 (土)

映画「20世紀少年」

映画「20世紀少年」オリジナル・サウンドトラック

20世紀少年

2008年

日本

どうも、実は浦沢直樹の大ファンです。正直、映画化を知ったときは期待よりも不安の方が大きかったのですが、やっぱり気になってしまったので劇場で鑑賞しちゃいました。

主人公ケンヂは蒸発した姉が置いていった姉の娘のカンナを育てながら母親と2人でコンビニを経営していた。ある日、小学校時代の同窓会に参加したケンヂはそこで、とある新興宗教の噂を耳にする。

「ともだち」と呼ばれる男が教祖となっているその宗教で使われているシンボルマークが小学校時代にケンヂたちが作った秘密基地の中で仲間たちとともに考えたのと同じマークだったことから、ケンヂは当時の仲間の誰かが「ともだち」なのではないかと疑いはじめる。

やがて、世界各地でウィルステロが発生。そして、そのテロ事件が、ケンヂたちが秘密基地の中で皆で考えた「よげんの書」に書かれた内容と一致。ケンヂは小学校時代の仲間たちを集め、「ともだち」による世界支配を食い止めるために立ち上がるという物語。

これはなんとも評価の難しい作品。

漫画の映画化としては、原作ファンからの抗議がこないように、キャスティングも内容もとても無難にまとめていたように思います。ただ、原作の映像ダイジェストみたいになってしまって、1つ1つのエピソードの描き方がとても薄い。クライマックスの戦いの場面でさえ、たいした緊張感も無くサラリと過ぎ去っていくのには驚きました。

やたらめったら豪華なキャスティングは、原作のイメージのままなんですが、これって別に原作の顔に似た人を持ってくることに意味はないと思うんですよねぇ。ポイントとなる特徴だけあってれば(マルオが太ってるとか)良いのではないかって気も。(でも、これは、割と原作と顔が似てない人だったりすると、バッシングの嵐だったりすることもあるから難しいところですよねぇ)

もうちょっと「映画ならでは」を感じさせてくれると嬉しかったかなぁ。原作が完結している作品なので、大胆にストーリーを構成しなおすとか。冒頭から、かなり原作に忠実な展開でしたからねぇ。

あと、見ていて感じたのは、浦沢直樹の魅力の1つは「連載漫画」の見せ方をよく知っているということなんだなということ。連載漫画って、毎回毎回1つの山を持ってきて、さらに、次回に続くようにひっぱらなければいけません。で、浦沢作品はそれが半端なく上手い。やりすぎなくらいに引っ張りますからね。単行本でも、次の巻が出るのが待ちきれないと思うような絶妙の引っ張り方で終わらせることが多いですし。

そんなわけで、そんな原作を映画にするとどうなるか。

映画では2時間半続けてストーリーが展開するので、話を引っ張る必要がないので、浦沢直樹的な見せ方が映画というメディアにハマっていないような印象がどうしてものこってしまいました。映像化するなら連続ドラマで細かく物語を切ったほうが浦沢作品のドキドキ感や、ワクワク感が上手く再現できたのではないかと。

あとはやっぱり2時間半でもこの物語を描くには足りないんだよねぇ。登場人物多いし。このキャストで、半年かけて全20回くらいでドラマ化したほうが良かったんじゃないっすかねぇ。1回で単行本1巻くらいのペースで。

そうそう、この作品、「ともだち」の正体がどうしても気になってしまうんですけど、原作で真相を知っているものとしては、彼が登場する場面はやたらと気になってしまいましたね。てか、映画だと喋り方とか、背格好とか、一部わざとらしい演出とかで、バレバレじゃん!と思ってしまったのは僕だけでしょうか・・・。

ま、確か、浦沢氏は「ともだち」の正体が誰なのかということに読者の注意が集中してしまったのが、不本意で、そこはそれほど重要ではないって感じのことを以前テレビか何かで語っていたので、ともだちの正体にばかり気を取られることの無いような作りだったのは原作者の意図どおりなのかもしれません。

あと、とーっても残念だったのは子役の演技が全体的に上手じゃなかったこと。この作品ではこれはかなり致命的でしょ。あと、少年時代パートはもうちょっと「昭和」を感じさせて欲しかったかなぁ。

ところで、ラストの爆破、あんな過激なんですか!?あれじゃ、首都壊滅で、続編も何もあったものではないと思うんですが・・・。

そんなこんなですが、個人的には、単行本の小泉さんが出てくるあたりのエピソードが好きなので、次回作が楽しみだったりします。

|

« 映画「うた魂♪」 | トップページ | 「パレオマニア 大英博物館からの13の旅」 池澤夏樹 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 映画「20世紀少年」:

» 20世紀少年 [★YUKAの気ままな有閑日記★]
原作を全く知らないし、邦画にイマイチ盛り上がれない性質だけど(汗)、3部作の第1部を見逃して後から地団駄を踏みたくないので(←よくやる・涙)観てきました〜  監督 : 堤 幸彦  『明日の記憶』 『自虐の詩』 『包帯クラブ』 原作 : 浦沢直樹 『20世紀少年』 主題歌 : T.REX 『20th Century Boy』【comment】    スッゴク面白かったで〜す        早く続編が観たいよぉ〜  1969年、小学生のケンヂは仲間たちと空き地の原っぱに秘密基地を作った。そして遊びの一つ... [続きを読む]

受信: 2008年10月 5日 (日) 00時03分

» 『20世紀少年』@日劇 [映画な日々。読書な日々。]
ロックスターを目指していたが、今は実家のコンビニを継ぎ、失踪した姉の子供を育てているケンヂ。同窓会で会った旧友から、「ともだち」と呼ばれる教祖が率いるカルト教団が、ケンヂが子供時代に作った「よげんの書」とそっくりの怪しい事件を起こしていることを聞く。その... [続きを読む]

受信: 2008年10月 5日 (日) 02時32分

» ★「20世紀少年」 [★☆ひらりん的映画ブログ☆★]
今週の平日休みも、平日は駐車場無料の「ららぽーと横浜」のTOHOシネマズさんへ。 6000マイレージの一ヶ月無料パス狙いで、本日も2本鑑賞。 その2本目。 [続きを読む]

受信: 2008年10月 5日 (日) 02時47分

» 『20世紀少年 第1章』 ベストメンバーの集結が、奇跡の“完コピ”を創造した。 [ketchup 36oz. on the table ~新作映画レビュー]
『20世紀少年 第1章』 監督:堤幸彦 原作・脚本:浦沢直樹 企画・脚本:長崎尚志 出演:唐沢寿明、豊川悦司、常盤貴子、香川照之、石塚英彦、宇梶剛士、宮迫博之、生瀬勝久、小日向文世、佐々木蔵之介、佐野史郎、石橋蓮司、中村嘉葎雄、黒木瞳 ほか... [続きを読む]

受信: 2008年10月 5日 (日) 09時21分

» 20世紀少年 [Akira's VOICE]
同級生の縁を大切にしよう!   [続きを読む]

受信: 2008年10月 5日 (日) 11時43分

» 20世紀少年 [2ちゃんねる映画ブログ]
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/cinema/1220114819/ 1 :名無シネマ@上映中:2008/08/31(日) 01:46:59 ID:1rQcV/Yu まず一本目 公式 http://www.20thboys.com/ 監督:堤幸彦 原作:浦沢直樹 脚本:福田靖、浦沢直樹、長崎尚志 音楽:白井良明... [続きを読む]

受信: 2008年10月 7日 (火) 00時15分

» 『20世紀少年』 (2008) / 日本 [NiceOne!!]
監督:堤幸彦原作:浦沢直樹出演:唐沢寿明、豊川悦司、常盤貴子、香川照之、石塚英彦、宇梶剛士、宮迫博之、生瀬勝久、小日向文世、佐々木蔵之介、石橋蓮司、中村嘉葎雄、黒木瞳試写会場 : よみうりホール公式サイトはこちら。<Story>ロックスターを目指してい...... [続きを読む]

受信: 2008年10月 7日 (火) 21時05分

» 20世紀少年 [カリスマ映画論]
【映画的カリスマ指数】★★★☆☆  世界の終末・・・立ち上がれ!中年戦士!!   [続きを読む]

受信: 2008年10月12日 (日) 23時51分

» 映画「20世紀少年」 [ITニュース、ほか何でもあり。by KGR]
2008/9/19、109シネマズ木場。 19日は、とうきゅうの日で、ポイントカード会員は1000円でした。 (カードタイプにより条件が異なる) *** 唐沢寿明、豊川悦司、香川照之、常盤貴子、石塚英彦、 宇梶剛士、佐々木蔵之介、宮迫博之、小日向文世、 生瀬勝久、黒木瞳、石橋蓮司、佐野史郎、竜雷太、中村嘉葎雄、ほか。 ** (以下、ストーリーを知りたくない人は、    「あらすじ、ここまで」まで読み飛ばすこと) 同名コミックの映画化、三部作の第一章。 2015年、1997年... [続きを読む]

受信: 2008年11月 2日 (日) 01時48分

« 映画「うた魂♪」 | トップページ | 「パレオマニア 大英博物館からの13の旅」 池澤夏樹 »