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2008年10月 4日 (土)

映画「うた魂♪」

うた魂♪フル!!!(初回限定生産2枚組)

うた魂♪

2008年

日本

高校の合唱部を舞台にした映画です。実は、高校時代に合唱部員だった自分としては見逃せない1本でして、DVD化にともない早速観てみました。

主人公かすみ(夏帆)は合唱部に所属する北海道の女子高生。歌っている自分が大好きで、その歌声も、姿も周囲の人々を魅了してやまないものだと信じていた。ある日、恋心を抱いていた生徒会長の牧村の撮影した写真の自分の顔にショックを受けているところに、追い討ちをかけるように歌っているときの顔が鮭の産卵のときの顔のようだと言われてしまい、歌を歌うことができなくなってしまう。

合唱祭での演奏を最後に退部を考えたかすみだったが、合唱祭で見た不良学生たちの魂のこもった演奏に感動したかすみは、彼らのリーダーの権藤(ゴリ)と出会い再び歌う喜びを見出し、コンクールに出場する決心をするのだが・・・。

この映画、「合唱なめてんじゃねぇぞ」ていう台詞が出てくるんですが、元合唱部員からしてみれば、大変申し訳ないのですが、この映画が合唱をなめてるんじゃないかと・・・。

こういう青春部活ものって、ちゃんと作ればかなり良い作品になりうるのに、前半部分の妙なコメディ具合があまり面白くないし、後半の部活を頑張る部分は上述の感想を持つに至ってしまったために、あまり楽しめませんでした。

こうしてみると、「スウィング・ガールズ」やら「ウォーター・ボーイズ」やらの矢口監督作品は上手くできてるよなぁというのを改めて実感しちゃいました。ま、でもこの辺は、テーマの持ってきかたもちょっと違うから一概に比べるのもどうかなって感じですが。

合唱の面白さは「集団」で作り上げる芸術なのに、そもそもの主人公が、ものすごくナルシストなわけで、「合唱」と「ソロ」の違いもあまり理解してないのではないかという少女。でもって、そんな彼女が成長するに至るわけなんですが、この映画では終始、彼女1人で世界が完結してしまっていて、「みんなで作り上げる合唱」というのがほとんど描かれなかったのは、ストーリーとしてちょっともったいなかったかなと思います。

そんなわけで、ここからは「真剣十代」で(全然10代じゃないんだけど)、元合唱部員からのツッコミを。

そもそも全国大会に出る学校っていう設定なのにさ、あまり上手くないんですよねぇ。だからラストの歌のシーンもやたらと長く感じてしまいます。コンクールとは思えない選曲だし。せめて、アレンジ難易度をもっと上げて欲しかったっす。しかも、中途半端な練習っぷり。そもそも、あんなやる気の無い先生が指揮をして全国に行けるなんてあり得ない。「指揮者」の役割を何も理解していないのではないかという気さえ。

コンクールに向けての練習って、半端なく熱いものでして、一般的な文化系の部活のイメージとはまるで反対の超体育会系な勢いで夏休み中も朝から晩までほとんど毎日学校で練習をするような感じです。学校のある日だって、朝練、昼練、夜練と、とにかく部活漬け。

スポ根映画って、ちゃんとこういう練習シーンをしっかりと描くのに、この映画では練習をほとんど描いていなくて、しかも、コンクール直前になって、それまで歌ってなかった人を新しくメンバーに加えるなんて言語道断も良いところ。厳しい意見ではあるけれど、全国レベルの学校だったりしたらなおさら、大人しく「譜めくり」してなさい!!とか言われるのが普通ではないかと。

あと、割と評判の良い尾崎豊を歌う不良学生たちなんですが、そこまで熱い魂をかんじられなかったんですよねぇ。単にアレンジが良いだけだよなぁって気が。カラオケ歌いだったり、そもそも音が乱れてハモッてないのは、曲の性質上まだ目をつむれるにしても、歌としてのパンチが弱い。

自分は割りと、技術面が多少劣っていても、心のこもった歌うことのほうが大切だと思うほうなので、この映画でいわんとしていることは本当によく分かるんですが、それを納得させてくれるだけのパフォーマンスを見てみたかったです。

そんな中、薬師丸ひろ子が歌うシーンは結構光ってます。ここは良かったっす。

高校の合唱コンクールって、直球ストレートなスポ根映画で作ったらかなり感動できるものが作れると思うんですよねぇ。コンクールに向けての練習では、涙の1つや2つは当たり前だし、演奏前の緊張感、全員で1つのものを作る中で、本当にただ1人だけでも少しでもずれてしまったら全てが崩壊してしまうという半端ないプレッシャーのなかでの本番、終了後、それまでの練習の日々を振り返って思わず感極まってしまう部員達、そして、結果発表のときのたまらないドキドキ感。あぁ、なんか高校時代が懐かしいです。

やっぱり「合唱」ていう素材そのものがちょっとなめられてるような気がしてならない今日この頃。

なんか全体にマイナスな感想ですが、ゴリが高校生を演じるってのは見る前はかなり拒否感があったんですけど、意外にも、良い感じではまってました。

あと、「アイ・アム・フルチン」(夏帆が大声で連呼したのには驚いた)と「i am full teen」(full teen て表現がちょっと謎だけど)をかけるのはなかなか上手いなぁと。

* * *

参考過去レビュー

同じく夏帆が主演の青春映画から

映画「天然コケッコー」
この映画、結構好きなんですよねぇ。
夏帆もこの映画のときのほうが魅力が上手く引き出されていたように思います。

部活青春映画、海外の良作はこれですかね。

映画「チアーズ」
チアガール映画ですが、青春映画の王道で気持ち良い作品。

あとは合唱を題材にした映画をどうぞ♪

映画「コーラス」
フランスの合唱版「いまを生きる」。このくらい合唱が上手いと良いですよね。

映画「歓びを歌にのせて」
歌の力を感じさせてくれる名作。

映画「合唱ができるまで」
合唱の練習だけをひたすら追ったドキュメンタリー。
ちょっと眠たくなる作品ですが、経験者にはそれなりに見所が多いです。

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