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2008年11月 6日 (木)

「私たちがやったこと」 レベッカ・ブラウン

私たちがやったこと (新潮文庫 フ 50-2)

私たちがやったこと
(Annie Oakley's Girl)

レベッカ・ブラウン
(Rebecca Brown)

新潮文庫 2008.9.
(original 1993)  

アメリカの作家、レベッカ・ブラウンの作品を読むのはこれで4冊目。いつもは連作短編調の長編だったのですが、今回は完全に独立した短編集です。

収録されているのは7作品。「愛」が大きなテーマになっています。

なんかこれまで読んだ作品ではそこまで実感しなかったんですが、この作者さん、女性同性愛者ということで、この短編集はかなりその色が強い作品がズラリと並んでいます。でも、ヴァージニア・ウルフなんかとはまた違う感じなんですよね。あっさりしてるというか。

個人的には結構話によって当たり外れが大きかったのですが、まぁ、そこそこには楽しめる1冊でした。

以下気になった作品を何点か選んで適当に感想。

・「結婚の悦び」

ちょっとシュールで幻想的な世界が広がってなかなか面白い話でした。これまで読んできたレベッカ・ブラウンは、病気を題材にし、割と現実的な問題と向き合った作品が多かったので、このような作品も書くのかというのがなかなか新鮮でした。

・「私たちがやったこと」

表題作。これはなんだかすごい物語でした。恋人同士が1人は目をつぶして、もう1人は耳をつぶして、お互いに支えあって生きていくという内容なのです。2人が望んだ完璧な関係はしかし、悲劇へとつながっていくというなかなか読み応えのある作品。

彼らが本当に望んだものは、別の形でも手に入ったのではないかと思うんですよねぇ。

・「よき友」

この作品が一番これまで読んできたブラウン作品に共通した雰囲気の内容でした。互いに同性愛同士の男女の友人を描いた作品で、病気で入院した男友達を見舞う主人公を描いた作品。本書中最も長い作品なだけあり読み応えのある作品でした。ブラウン作品はやはりこういう傾向の作品のほうが好きかな。

特に良いなと思ったのはこのあたりですね。

ただ、上述しているように、ブラウン作品にはもうちょっとリアリスティックな内容のものを求めているのか、幻想的な作品はやや抵抗が感じられた1冊でもありました。

<参考過去レビュー>

過去に読んだブラウン作品から。

「家庭の医学」 レベッカ・ブラウン

「体の贈り物」 レベッカ・ブラウン

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