「ぺ ショートショート集」 谷川俊太郎
ペ ショートショート集 谷川俊太郎 ランダムハウス講談社文庫 2008.10. |
書店で見かけた気になった1冊。谷川俊太郎というと、詩人のイメージが強いので、彼が書くショートショート集というものにとても興味を持ちました。
収録されているのは大半が60年代に書かれた作品ということですが現在読んでも、全く古さが感じられず、谷川氏のブラックな一面を感じることができてなかなか面白い1冊でした。
ショートショートといえば、星新一という大巨匠がいますが、この本、挿絵が和田誠というのも星新一作品の文庫本(角川かな?)と共通してますよね。あと、たまに違う人の書いたショートショートを読むと、星新一の作品の上手さを改めて感じますね。決して、谷川氏のが悪いわけではないのですが、星作品のほうが好きかなぁと。
以下面白かった作品メモ。
「ペ」
表題作。「ぺ」についてあれこれと思索する物語。楽しんで書いてるなぁというのが感じられて結構好きです。
「花の掟」
散文のはずのショートショートなのに、これは詩の形式を使っていて、まさに谷川氏ならでは。
「レダ」
夫の帰宅を待ちながらウトウトとする妻の話。これも途中、詩のようにかかれてますね。「私の椅子」ってところが良いっす。
「堕ちた男」
詩人の自虐ネタで始まり、最後は意外な展開に。
「押入れの中」
大人向けな作品だと思いますが、描かれてる状況が様々な意味でえぐい。
「最後の夕焼け」
星テイストも感じられる、これぞショートショートな作品ではないでしょうか。
「リンゴのある風景」
この作品集にはリンゴをモチーフにした作品がいくつか収録されてますが、これが1番好き。
「21世紀の教養」
こういうちょっと前に書かれた近未来を予見して書いてる文章って結構面白いですよね。
「眠れ我が子よ」
谷川氏のショートショート、これをはじめとして、なんか最後ドンヨリとした気持ちになるものが結構多いですよね。落しどころに悪意があるというか。
「りんご」
これもりんごものですが、なかなか面白かったです!
割と面白い1冊ではありましたが、谷川氏はやっぱり詩のほうが好きかなぁ。
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