映画 「ジョージアの日記 ゆーうつでキラキラな毎日」 @試写会
angus, thongs and perfect snogging 2007年 イギリス 11月15日公開予定 |
イギリス好きとしてはなかなか嬉しい試写会が当たりました。タイトルで損している隠れた名作「ベッカムに恋して」の監督の最新作です。
主人公は海辺の観光地ブライトンに暮らす容姿に自信のない14歳の少女ジョージア。イケイケの同級生たちを横目にちょっと冴えない仲良し4人組で思春期の学校生活を楽しんでいた。ある日、ジョージアはロンドンから転校してきたという双子の先輩の1人ロビーに一目ぼれして、大人の女性になるべく必死で近づこうとするも、ロビーは学園一の"ビッチ"のリンジーと付き合っていることが発覚。あの手この手でロビーに近づこうとするのだが・・・。
いやはや、とっても面白かったです。なんかイギリス行きたくなっちゃいますね。
オープニングで、Scouting for Girlsの「She's so lovely」(ナイス選曲!これ、映画とのタイアップ曲だったんですねぇ。)が流れた瞬間からUK音楽好きとしてはテンションが上がり、家族との関係もしっかり描いて青春映画としてもちゃんとしているし、笑いどころも多くて、それでいて健全で、観終わった後もとても爽やかな気分になれる作品でしたねー。
部活がどうこうとか、重たい問題とかが絡まないで、純粋に思春期の日常生活を描いていて、目新しい要素の特に無い直球ストレートな内容なのにここまで面白い作品って実はなかなか無いと思います。
これ、原作がシリーズが9冊も続いている人気作品らしいので、原作勝ちなのかもしれないけれど、グリンダ・チャーダ監督は「ベッカム~」に続いて非常に良い仕事をしてますね。
この映画、多分10代の人が見ても面白いけど、大人が観ると、ただただ毎日大騒ぎしてた中学高校のバカバカしい日々を思い出すことができて、ちょっと嬉しい気持ちになれる作品ではないでしょうか。
ただ、ストーリーでちょっと弱いなと思ったのは一番冒頭の部分。何の説明もなしにあの場面がくるので、ちょっとおいていかれてしまった感じでした。各登場人物たちのキャラが分かった状態で後から思い返してみると、なかなか面白いエピソードなだけにちょっともったいない&冒頭でのつかみが悪いってのもやっぱりもったいないなぁと。
でもその後、家族での朝食シーンからは細かい笑いどころも多く、テンポの良く進む明るい物語なので、グイグイ引きこまれてしまった感じです。
あのキス男、一体何様なんだって感じだけど、落ち込んだところがなかなか良い感じで、ちょっと応援したくなっちゃったり。
てかさ、ジョージア、ひっそりとモテモテだよね。でもって、最後、お友達はそれで満足なんですか!?っていう・・・。ジョージア、もしかしたらちょっとウザイ奴なのではと思わせる部分がチラホラありましたが、ま、そんなところも含めて、失敗も多いし、とても人間的なキャラの主人公なんだと思います。誰にでも共感要素があるような感じですな。
男の視点からしてみると、一番かわいそうなのは、当て馬君ですね。彼、授業中にも利用されてたもんね。がんばれ~。
全体的に恋した途端にヘラヘラしてしまう親友ジャスがかなりツボで、たっぷり笑わせてもらいました。この映画、結構笑いのツボが日本でも受けいれやすいタイプですよね。設定からしても、そんな階級の高くない人々の暮らす街は割りと日本の家っぽいし、制服着て通う学校だし、共感要素が多い。会場が笑いに包まれるような場面も結構多かったです。
そしてこの映画、なんといっても猫のアンガス君です。コスプレ姿がかわいすぎです。でもってロビーの猫のできあいっぷりもかなり激しいです・・・。その辺りまだまだ彼も子供っぽさが感じられて良いね。エアギターとか。学校帰りに豆&チップスとか。
ちょっと面白かったのは、主人公達がやたらと何かもリストを作りたがるところ。こういうのって結構思春期女子はするものなんでしょうか。それともお国柄?あと、もう1つの疑問ていうか、驚きは誕生パーティの会場ね。普通に家で本当に仲の良い仲間だけ集めてやればいいのでは・・・。
アンガスといえば、この邦題。えーっと、なんでまた、こういうもったいないタイトルのつけ方をしてしまったのでしょうか・・・。イギリス映画で、容姿に自信のない女の子が主人公だからですか?だとしたらあまりに安易だし、作品に対して失礼ではないかと思います。ま、原題を直訳すると、「アンガス、Tバック、そして完璧なキス」って感じなので、難しいところではあるんですけど・・・。でも、この原題はこの映画の内容をとても上手く表してますよねー。せめて「日記」はやめて欲しかったなぁと。「ジョージアのリスト」とかさ。
ところでこの監督は、「Bride and Prejudice」という作品をヒットさせてるんですよね。オースティンの「高慢と偏見」をインド風ミュージカルにした作品。えーっと、早く観たくて仕方ないんですが、04年の作品なのにまだまだお目見えする気配はなし・・・。
<参考過去レビュー>
青春ムービー祭りで。
リストを作るのが好きなジョージアにちなんで、ちょっと多めに紹介。
映画「ベッカムに恋して」
「ジョージア~」の監督による隠れた傑作。タイトルがあまりに・・・。
映画「JUNO/ ジュノ」
爽やかなポップさがちょっと似てるけど、扱うテーマはもっともっと重い。
映画「天然コケッコー」
海辺の田舎町に住む中学生の少女が東京から転校してきた少年に恋する話。
と、ちょっと設定が似てるんですが、「ジョージア」とはまるで違う雰囲気です。
これも良い作品でした。
映画「旅するジーンズと16歳の夏」
仲良し少女4人組のアメリカ版。かなりアメリカンな作品ですがこれも傑作だと思います。
映画「ゴーストワールド」
もっともっと地味な女子高生2人組の青春映画。これも大好きな作品。
映画「チアーズ」
部活に燃えるキラキラ高校生inアメリカ。
映画「アメリカン・ピーチパイ」
気の毒な邦題がもったいない作品ですが、
シェイクスピアをベースにした青春ラブコメ。結構好き。
映画「SWEET SIXTEEN」
同じイギリスでも全く違う16歳の物語。ケン・ローチ監督の眼差しが光ります。
映画「ニューイヤーズデイ 約束の日」
こちらもイギリスを舞台にした少年2人組の話。
映画「遠い空のむこうに」
アメリカの男の子4人組が宇宙を目指す
映画「ディア・ウェンディ」
自分の中の評価が上がる一方の作品。
10代の描き方って本当に幅が広いなぁと思います。
こうしてみると、「ジョージアの日記」はイギリス映画としては珍しく、明るく爽やかな青春映画なんですねぇ。あと、このリストを観ていて思ったのは、男子を主人公にした作品で、爽やかな明るさがあるものって結構少ないなぁと。繊細に悩む系か、もっとお色気全開系がほとんどですよねぇ。「超能力学園Z」とか・・・。
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コメント
TBありがとうございました。
なるほど、「Tバック」ね。
確かに映画でキーのひとつになってましたものね。
私は「ひもパン」にしてしまいました。
妄想で頭がいっぱいの青春なんですが、ちっともジメジメせず、
むしろ、清々しいのはお国柄なんでしょうか。
投稿: KGR | 2008年11月 2日 (日) 01時28分
>KGRさん
コメントいただきましてどうもありがとうございます。
映画の中では「Tバック」と字幕で使っていたので、
それにならってみました。
邦題でこういうタイトルはなかなかつけられないとは思いますが、
もう一ひねりしてほしかったなぁと思います。
ジョージアは思春期特有の悩みを抱えてはいるものの、
終始明るくポップな展開だったのは気持ちよかったですね。
イギリスはどちらかというとジメジメした印象があるので、
自分としては結構新鮮な作品でした。
投稿: ANDRE | 2008年11月 2日 (日) 01時42分
こんばんは。
これは見たい作品なので評はまだ読みません。
私もゴーストワールド大好き。
ポンド安にかこつけてamazon.ukでDVDを大人買い。
今日はlock stock and two smokin' barrelsを見たよ。
台詞が韻を踏みまくってて、
しかもスラングばかりで、
その後みたBBCドキュメンタリーのplanet earthの英語のほうがよほど簡単だった。
映画と全く関係ないコメントでごめんなさいね。
投稿: halcan | 2008年11月 3日 (月) 01時19分
>halcanさん
コメントどうもです。
結構面白い映画だったので
是非観てみてください。
ゴーストワールド、良いよねー。
円高だから海外アマゾンは買いだと思って、
何を買おうかなぁと思ってたんだけど、
底値は終わって円安方向に動き始めてしまい
タイミングを完全に失ってしまった自分です・・・。
でも一時と比べたらまだまだ円高だもんね。
どうしようかなぁ。
BBCドキュメンタリーは英語のお手本みたいなもんだから
そりゃぁ聞きやすいっしょ。
英国発音が好きなので、BBCものは聞いていて心地よいです。
投稿: ANDRE | 2008年11月 3日 (月) 22時25分