08年いろいろ大賞(書籍編)
毎年恒例のいろいろ大賞の書籍部門です。
今年の読書は60冊弱。
昨年に続いてかろうじて週1冊ペースを守った感じですね。
発行年は特に関係なしに
部門別に気に入った作品を集めてみました。
普段はあまり語られない
コミックのランキングもありますよー。
さてさて、2008年のベスト書籍は・・・
BEST BOOK 2008
神戸在住(全10巻) 木村紺
年間のベストにコミックを選出したことに
驚かれる方もいるかもしれませんが、
今年刊行された最終巻が予想をはるかに上回る
完成度の高さを持って作品が終了し、
この先も人生で何度も読み返すに違いないと
思える作品でした。
今年発売されたのは第10巻のみですが、
シリーズ全てを通しての完成度の高さを維持した
作品ということで年間ベストに選ばせてもらいます。
2008年心に残った本(国内作家)
1.「きみの友だち」 重松清 (レビュー)
3年ぶりに重松作品を読んだ今年、やっぱり重松は良い。
自分はこの人の現代社会の見つめ方が好きなのかもしれません。
この作品はとにかく「友だち」というものの存在について
これでもかというくらいに考えさせる傑作連作短編でした。
2.「砂漠」 伊坂幸太郎 (レビュー)
伊坂作品の中でも久々のヒット。
個性豊かな仲間たちとのキャンパスライフに
自分も加わっているかのような楽しさ、
そして、見事な仕掛け。
3.「夫婦善哉」 織田作之助 (レビュー)
今年は長編も読みましたが、オダサク、結構好きです。
語り方が面白い。
4.「四畳半神話大系」 森見登美彦 (レビュー)
ま、「太陽の塔」と何も変わらないんですが、
ひねくれ馬鹿妄想大学生の破天荒キャンパスライフは
やっぱり面白いのです。
5.「パレオマニア 大英博物館からの13の旅」 池澤夏樹 (レビュー)
大英博物館で気になった所蔵品が
実際にあった場所まで行ってみようという紀行文。
こういう贅沢な旅(質的に)、僕もしてみたいです。
次点.「顔のない裸体たち」 平野啓一郎 (レビュー)
平野氏が問いかけるネットの闇。ブログをやってる者としては
なかなか興味のある題材でもあります。
短編集「滴り落ちる時計たちの波紋」とあわせて読みたい1冊。
次点.「フルタイムライフ」 柴崎友香 (レビュー)
10ヶ月に亘って、新人OLの1日を描いていく作品で、
柴崎作品特有の心地よさに溢れた1冊でした。
次点.「泣かない女はいない」 長嶋有 (レビュー)
日常の中のスリリングな瞬間を切取る名作。
今年はこれまで気になってたけど読んでなかった作家を読もう!
をテーマにする予定だったんですが、
気がついたら舞城王太郎くらいしか読んでなかった気が・・・。
最終的に以前からのお気に入り作家の作品ばかりになってしまいました。
来年はもうちょっと読書の幅を広げてみたいと思います。
短編賞 「まゆみのマーチ」 (「卒業」収録) 重松清 (レビュー)
ただひたすら泣かされたということで。
重松は電車で読んではいけない、を改めて思い知らされました。
企画賞 「二十億光年の孤独」 谷川俊太郎 (レビュー)
英訳、自筆のノートなどを同時収録した面白い1冊で、
小さな文庫本の中に広がる言葉の宇宙に大満足。
なんか今年は元々好きだった作家の作品がやっぱり好きだ!っていう感じになってしまいましたね。来年は新しい作家の開拓に力を入れてみようかなと思ってます。
2008年心に残った本(海外作家)
1.「贖罪」 イアン・マキューアン (レビュー)
いつまでも浸っていたい第1部の素晴らしさと、
ラストの驚きのどんでん返し。
映画も良かったけど、やはり小説で読んでこその1冊。
マキューアンをもっともっと好きになりました。
2.「トム・ゴードンに恋した少女」 スティーブン・キング (レビュー)
久々に読んだキング作品。
恐怖の源は不安に駆られた自分自身、
単に道に迷うだけの話をここまで読ませてしまう
キングの語りのテクニックの上手さに脱帽です。
3.「わたしを離さないで」 カズオ・イシグロ (レビュー)
個人的なイシグロ作品ベストとはいかないけれど、
客観的に見て、彼の代表作であることは間違いない1冊。
この人の「語り」はもはや神の領域。
4.「マイケルK」 ジョン・クッツェー (レビュー)
理不尽で不条理なできごとが、
現実世界で確かに起きていることを考えさせられる1冊。
自分の世界が広がりました。
5.「お菓子と麦酒」 サマセット・モーム (レビュー)
たまに読むとやっぱり裏切らないモーム。
次点.「ハローサマー、グッドバイ」 マイケル・コーニィー (レビュー)
設定の使い方がとにかく上手い!
次点.「The pirates!in an adventure with scientists」
ギデオン・デフォー (レビュー)
書店の洋書セールで適当に手にした1冊でしたが、
これが思いがけない拾い物。
ユーモアにあふれた大人向けの冒険小説。
同時収録されてる続編は、ある本を読んでからのほうが
面白そうなので、ちょっと待機中です。
邦訳がないのがもったいない。
短編賞1 「狩り」
(「宇宙飛行士ピルクス物語」収録) スタニスワフ・レム (レビュー)
ロボットものSFとしての面白さも抜群だし、描写も素晴らしい1作。
短編賞2 「癒す人」
(「燃えるスカートの少女」収録) エイミー・ベンダー (レビュー)
幻想的な世界に酔いしれる。
今年は他にも児童書の文庫から発売になったブッツァーティの「シチリアを征服したクマの王国」やレーヴィの短編集「天使の蝶」なんかも面白かったですね~(どちらもイタリアだ!)。でもなんだかんだで英米に偏りがちなので、来年は国際的な幅を広げてみたいと思います。
2008年心に残ったコミック
1.「神戸在住」 木村紺
神戸の大学生の3年間を描く作品
生涯大切にしたいと思える作品でした。
祝完結。
木村さんの新作「からん」はまた違ったタッチですけど、
こちらも読むほどに味わい深くて良いです。
2.「冒険野郎伝説 アヴァンチュリエ」 クリストフ・クリタ
様々な場所を舞台に描かれる幻想的な冒険譚の数々。
日仏で活動する作者の作品ですが、
ワクワクがたくさんつまった最高の1冊。
3.「海街diary」 吉田秋生
鎌倉を舞台にした4姉妹の物語。
じっくりと味わい深くて結構好きです。
4.「べしゃり暮らし」 森田まさのり
最近人気の「お笑い芸人」を描く作品ですが、
人間ドラマとして非常に読ませる作品。
5.「おやすみプンプン」 浅野いにお
とにかく凄い、それしか言えないです。
次点.「ひまわりっ!」 東村アキコ
ちょっと中だるみかなぁなんて思っていたら、
最新の第9巻でありえないくらい面白くなった!
久々に漫画で声だして笑っちゃったよ。
次点.「よつばと」 あずまきよひこ
この安定した面白さは一体何なんでしょうか。
来年の第9巻が楽しみです。
次点「君と僕」 堀田きいち
仲良し高校生5人組のまったり高校ライフ。
5人のキャラがつかめてくると俄然面白くなります。
次点「ブランコ」 ウィスット・ポンニミット
イラストレイターとしても有名な著者による
不思議な浮遊感のあるSF作品。
独特の味が良いです。
ほかにも、「とめはねっ」、「海獣の子供」なんかもよかったですね。あと、「ニコイチ」にもはまりました。今は文庫で刊行中の「龍」を楽しみにしてます(ていを主人公にして映画に特化した作品を別に作ったほうが面白かったのではという気がしないでもない)。「不思議な少年」や「団地ともお」なんかも安定して面白いですが、新刊は過去作に比べるともう一歩だったかなぁ。
2008年色々大賞他の部門はコチラ
2007年版はコチラ
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 「足音がやってくる」マーガレット・マーヒー(2013.05.30)
- 「SOSの猿」伊坂幸太郎(2013.05.05)
- 「死美人辻馬車」北原尚彦(2013.05.16)
- 「俺の職歴」ミハイル・ゾーシチェンコ(2013.04.01)
- 「エムズワース卿の受難録」ウッドハウス(2013.03.24)
「2008年色々大賞」カテゴリの記事
- 08年いろいろ大賞(音楽編)(2008.12.31)
- 08年いろいろ大賞(書籍編)(2008.12.31)
- 08年いろいろ大賞(映画編)(2008.12.31)
- 08年いろいろ大賞その他編(2008.12.31)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
こちらにもお邪魔します。
映画も読書も、量も内容もちっとも及ばないのに、
生意気にランキングなどして遊んでしまったのがお恥ずかしいですが…
ANDREさんのおかげで読書の範囲が一気に広がり、
未読の作家との新しい出会いが多かった2008年。
そんな中で、ANDREさんがお気に入りの作品と被った作品があったことに、
また喜んでいます。
『贖罪』はもう本当に素晴らしい作品でした。
『まゆみのマーチ』、わたしもあの短編集の中で一番好きでした。
原曲を知っていただけに、今も頭の中でメロディが回ります。
挙げられた中で、いくつもチェックしたい作品がありますが、
長嶋有さんと、谷川俊太郎さんの作品、面白そうです。
投稿: 悠雅 | 2009年1月 1日 (木) 17時01分
>悠雅さん
コメントどうもありがとうございます!
『贖罪』はやっぱりインパクトのある作品でしたからね!
映画を見た勢いもあって1位にしてしまいました。
マキューアン、頑張って原書にチャレンジしてみようと
最新作を買ってきたのですが(そんなに長くなかったので)、
果たして読み終わるのはいつになるのやら、
という感じです。
『まゆみのマーチ』は思い出すだけで
ちょっとグッときてしまいますよね。
重松清は今年も何冊か読んでみたいなぁと思います。
長嶋有は結構好きな作家で、
映画化もされた『ジャージの二人』と『サイドカーに犬』、
芥川賞の『猛スピードの母』が
一番有名じゃないかと思うんですけど、
実は上に上げている作品よりも
本としては『タンノイのエジンバラ』というのがお気に入りです。
谷川俊太郎の詩集は、
集英社文庫から出ているんですが、
本当に盛りだくさんの内容でかなりオススメの1冊です!
どれだけ読めるかは分かりませんが、
今年も色々読もうと思っているので、
どうぞうよろしくお願いします。
投稿: ANDRE | 2009年1月 1日 (木) 23時47分