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2008年12月

2008年12月31日 (水)

08年いろいろ大賞(映画編)

今年は、いろいろと忙しくて、遊びに行ったりすることがなかなか難しかったため、気軽に2時間ほどで楽しめて良い気分転換になる劇場鑑賞の機会を意図的に増やしました。

2008年に鑑賞した映画は、全部で94作品。
年間100本まであとわずかに届かず・・・。

そのうち試写会&劇場鑑賞が23作品。
大体、1ヶ月に2本くらいのペースですね。
これにDVDで鑑賞したものを加えると
今年劇場公開された作品は36作品を鑑賞。

昨年以前公開でDVD鑑賞した作品が47作品、
そして、半年ほどフライングして試写会に行った
来年公開作品が1本という計算。

全94作品の中から選んだ2008年のマイベストムービーは...

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08年いろいろ大賞(書籍編)

毎年恒例のいろいろ大賞の書籍部門です。

今年の読書は60冊弱。
昨年に続いてかろうじて週1冊ペースを守った感じですね。

発行年は特に関係なしに
部門別に気に入った作品を集めてみました。

普段はあまり語られない
コミックのランキングもありますよー。

さてさて、2008年のベスト書籍は・・・

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08年いろいろ大賞(音楽編)

2008年をふりかえる、いろいろ大賞の音楽編。

CDのアルバムを中心に今年の音楽を振りかえっていきます。

今年の音楽的なニュースで一番は
数分だったけどJason Mrazと生で話をすることができたこと。
本当に嬉しかったです。

さて今年のベストは・・・

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08年いろいろ大賞その他編

毎年恒例のいろいろ大賞の季節がやってきました。

その他部門を一番最初に発表というのも不思議な話なんですが、
映画や本は残りの数日でもまだ新しい作品に触れる可能性があるので
年末ギリギリまで粘ってからの更新の予定です。

普段はあまり書くことのないテレビドラマやらのランキングがありますので、
どうぞお楽しみください。

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2008年12月30日 (火)

映画「譜めくりの女」

譜めくりの女 デラックス版 [DVD]

la tourneuse de pages

2006年

フランス

ここ数年すっかりファンになっているカトリーヌ・フロの主演作ということで、気になっていた作品。独特の見せ方をするフレンチミステリーでした。

物語はいつもピアノの練習に励んでいた肉屋の娘メラニーの音楽学校の受験から始まる。彼女がピアノを弾いている最中に、試験官の一人でピアニストのアリアーヌ(カトリーヌ・フロ)は入室してきた女性にサインを求められ、アリアーヌがそれに応じたことに気を取られたメラニーは演奏を中断してしまい、受験に失敗してしまう。

年月が過ぎ、成長したメラニーは弁護士事務所で実習生として働いていたが、弁護士のジャンが住みこみの子守りを探していることを知り、彼の家で働くことになる。ジャンの妻だったアリアーヌは楽譜がよめるメラニーのことを気に入り、彼女に譜めくりを依頼するのだが・・・。

いやはや、とにかく地味に怖い作品でした。この作品、とにかく登場人物が多くを語らなくて、心に秘めた思いをちょっとした表情や仕草で見せる場面が多いんですけど、その無言の中に感じられる、様々な思惑にゾクゾクさせられました。ラストもほとんど台詞を使わずに全てを描くんですけど、下手な台詞や映像でみせるよりもずっと多くを語っている作品だったと思います。

過去のことなど当然忘れてしまっているアリアーヌとの距離が縮まっていくほどに、メラニーの狙いは一体何なのかとあれこれ推理させて、最後の最後、ジワジワと仕掛けていた罠が全貌を見せたときの怖さといったら!

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「アマリア」 シルヴィ・ケッコネン

アマリア (1000点世界文学大系 北欧篇1) (1000点世界文学大系 北欧篇)

アマリア
(Amalia)

シルヴィ・ケッコネン
(Sylvi Kekkonen)

1000点世界文学大系(北欧編1)
北欧文化通信社
 2008.6. 
(original 1958)

友人がフィンランドで働くかもしれないという話をきいて、ちょっとフィンランドの小説でも読もうかなと書店で探していたところ、たまたま見つけた1冊。作者は、元フィンランドの大統領夫人という経歴を持つ方だそうです。

舞台は20世紀中期のフィンランド。主人公のアマリアは家にきていた小作人と結婚し、両親の死後は住んでいた家を相続し、子供にも恵まれ、兄弟たちやその家族らとも交流しながら毎日家畜の世話などの仕事に励んでいた。そんなあるとき、戦争にいった夫の訃報が届くのだが・・・。強くたくましく生きる一人の女性の姿を描く物語。

とーっても面白そうなシリーズ名がついている割には、出版社もマイナーなら、このシリーズが刊行されていることさえほとんど知られていないのでは。今年の6月に刊行されたこの本が1冊目でその後も数冊刊行されているものの、ネットで検索してもほとんど話題が出てきません(ちなみに本の形式は新書です)。広告的なものも見かけた記憶がないですし、大型書店の片隅でひっそりと見つけたんですが、このような意欲的なシリーズは尻切れトンボにならずにできるところまで頑張って刊行していただきたいところです。1000点とかなり強気にでてますし。ただ、横書きなのはちょっとどうかなと思いますが。

と、シリーズそのものは褒めておきつつ、肝心の作品のほうは正直ちょっと肌に合いませんでした。横書きで小説を読むことに慣れていないので、はじめはそのせいでのれてないのかなとも思ったんですが、物語そのものにあまりハマれなかった感じ。フィンランドの近代史なんかもよく分からないので、作品背景もちょっと分かりづらかったんですよね。

ただ、20世紀中期のフィンランドの人々の生活の様子がとても詳しく描写されている作品なので、そういう点では、自分があまり知らなかった地域の人々の暮らしを知ることができて、興味深い1冊でした。風呂に入るべき場面で出てくるのがサウナだったり、なかなかのカルチャーショックです。

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2008年12月29日 (月)

映画「プライスレス 素敵な恋の見つけ方」

プライスレス~素敵な恋の見つけ方~ [DVD]

hors de prix

2006年

フランス

オドレイ・トトゥ主演のフレンチなラブコメ。年末の夜にまったりと楽しむのは丁度良い作品でした。

ある日の夜遅く、ホテルで働くジャンは、ホールでうたた寝していたところを宿泊客のイレーヌに声をかけられる。イレーヌはジャンをホテルに宿泊する大富豪と勘違いし、ジャンもまた、美しいイレーヌに一目ぼれし、スイートルームに彼女に連れて行き、そこで一夜を共にする。

それから1年、ふたたびジャンのホテルをイレーヌが訪れるが、ジャンの正体がばれてしまい、イレーヌは彼の元を去り、イレーヌもまた、ジャンといるところを婚約者の老富豪に見られ、逃げられてしまう。玉の輿を狙い、富豪に近づいてはホテル暮らしを繰り返していたイレーヌは、新たな出会いを求めて南仏へと向かう。イレーヌを忘れられないジャンもまた南仏へと向かうが、貧しいジャンは全く相手にはされず途方にくれていたところ、彼は裕福なマダムに気に入られてしまい・・・。、

いやはや、途中から思っていた方向とは違う展開になって、なかなか面白いラブコメでした。大富豪に近づいてはその恋人として買い物三昧で優雅なホテル暮らしを満喫する女性に近づくしがないホテルマンの話かと思いきや、途中から、ジャンもまたそのポストについて、ヒモ男とヒモ女の話になるっていう。なんだかとてもフレンチ。

こういう教育的にはちょっと微妙な気がしないでもない題材ながら、ハリウッド作品とは違って下品なネタがあるわけでもなく、出てくるホテルも衣装もとにかく煌びやかで、洒落た大人の男女のロマンティックコメディという感じでかなり楽しめる1本だったと思います。最近のハリウッドのラブコメよりもずっと楽しめたんじゃないかなぁ。

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2008年12月28日 (日)

映画「ノーカントリー」

ノーカントリー スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

no country for old men

2007年

アメリカ

今年も残りわずかということで、今さらながらアカデミー賞の作品賞受賞作を。

舞台は1980年代のアメリカ南部。ルウェリン(ジョシュ・ブローリン)は荒野の中で偶然大量の死体がころがる現場に遭遇してしまう。そこで札束の入ったカバンを見つけたルウェリンは、それを持ち帰り自宅に隠していたが、残忍な殺し屋シュガー(ハビエル・バルデム)がカバンにとりつけられた発信機をたよりに、ルウェリンの後を追いはじめる。身の危険を感じたルウェリンは妻を実家に帰し、一人逃亡をはじめるのだが・・・。

コーエン兄弟の作品は恐らく『ファーゴ』以来なので、かなり久しぶり、と思ってたら、『ディボース・ショー』やら、『パリ・ジュテーム』やらを観ていたことを思い出しました。こういうスリリングなのは久しぶりってことで。

とにかく殺し屋シュガーを演じるハビエル・バルデムが恐ろしいです。淡々と作業を済ませて、ルウェリンに近づいていく姿はもう鳥肌もの。ホテルでドアの前に立たれたときにはゾクゾクでした。彼が殺しに使うのが銃ではないというのもまた面白くて、ボンベ片手に歩く姿はいつまでたっても頭に残りますね。いやはや、『海を飛ぶ夢』と同一人物とはとても思えません。

とにかく2時間抜群の緊張感を味わわせてくれる作品でしたが、最後の終わらせ方が、「おや?」と思っているうちに幕が閉じてしまい、一瞬、何がなにやら混乱してしまいました。その前の緊張感がかなりのものだっただけに、思いがけない方向に放り出されてしまった感じで、しばし呆然。

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2008年12月27日 (土)

映画「あの日の指輪を待つきみへ」

あの日の指輪を待つきみへ [DVD]

closing the ring

2007年

イギリス・カナダ・アメリカ

夏に公開してて、ちょっと気になっていた作品です。最近、DVD化するのが早いですねぇ。

1991年、アメリカ。夫デヴィッドを亡くした老婦エセルは夫の友人だったテディに恋をしていた50年前の思い出に浸っていた。同じ頃、不安定な情勢が続くアイルランドのベルファストでは、近所の老人と一緒に50年前に飛行機が墜落した丘を掘り起こしていた青年がそこで1つの指輪を発見するのだが・・・。

もっと、大河ロマンみたいな感じの作品なのかと思っていたのですが、アイルランド問題などをからめてきて、割と硬派なサイドストーリーもあって、思っていたよりもずっと重厚感(?)のある作品でした。良くも悪くも80歳を越えるリチャード・アッテンボロー監督の作品にかける意欲がバシバシと伝わってきました。

91年のエセルをシャーリー・マクレーン、50年間、エセルを見守ってきた友人ジャックをクリストファー・プラマー、アイルランドで墜落機を発掘する男クィンランをピート・ボスルスウェイト(英国映画ファンとしては嬉しいキャスティング)とベテラン俳優達の存在感がとにかく素晴らしかったです。

あとは、若き日のエセルを演じたミーシャ・バートンがとても綺麗でした☆彼女、「The OC」のときよりも可愛さが引き出されていたように思います。別に脱ぐ必要はなかったと思うけど。

ただ、ちょっと盛り込みすぎだったような気も。これ、純粋にストーリーだけを取り出してみると、まるで内容がないというかなんというか。結局このメインのストーリーの薄さみたいのがどんなに一生懸命演出してもカバーしきれてないんですよね。時間や空間を複雑に入組ませてくる割には、謎解きの面白さみたいなものもあまりなかったように思います。

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2008年12月25日 (木)

映画「近距離恋愛」

近距離恋愛 [DVD]

made of honor

2008年

アメリカ・イギリス

ちょっと軽めのラブコメでもと思って観てみた作品。思いがけずスコットランドの美しい風景を堪能できる作品でした。

数々の女性を泣かせてきた色男トム(パトリック・デンプシー)と美術館で絵の修復をする真面目な芸術家ハンナ(ミシェル・モナハン)は大学時代のひょんな出会いをきっかけに、10年来の親友同士。2人の間での恋愛関係なんて考えられないと思っていたのだが、あるとき、ハンナが仕事で6週間スコットランドに行くことになり、トムは初めて自分が彼女のことを愛していることに気づく。

ハンナが戻ってきたら告白しようと決めたトムだったのだが、帰国早々、ハンナはスコットランドで出会った男性との婚約を報告。しかも、トムは通常は女友達が任される、結婚式での花嫁の付添い人をすることになってしまい・・・。という物語。

監督は名作「ロザンナのために」のポール・ウェイランド。

この作品、原題は、花嫁付添い人(maid of honor)との掛け言葉になっているんですが、この付添い人という制度がじっくりと描かれるので、アメリカでの結婚式の文化が良く分かって、それを見ているのがなかなか面白い作品でした。

内容的には、オーソドックスによくまとまったラブコメで、可もなく不可もなくといった感じですが、後半、舞台がスコットランドに移ってからは、とにかく風景が美しくて、UK好きな自分としてはかなり嬉しい展開でした。

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「絶対、最強の恋のうた」 中村航

絶対、最強の恋のうた (小学館文庫)

絶対、最強の恋のうた

中村航

小学館文庫 2008.11. 
(original 2006)

中村作品は河出文庫で出ている3部作がとても好きなんですが、こんなちょっと読もうかどうか迷ってしまうようなタイトルだったので、ちょっと不安を感じつつ読んでみました。

浪人をして大学に入った大野は、文化祭で出逢った少女に恋をし、やがて2人は付き合い始める。そのことに浮かれていたことに気づいた2人は、付き合い方を見直そうということになり、週に3度の電話と週末のデート以外は会わないようにしようと決める。

最初の2章は大野の視点から、続く2章を同じ物語を彼女の視点から描き、最後の1章は大野の友人坂本の物語が描かれる。

世界三大美徳のうちの一つ、仲良し。

「100回泣くこと」では、近頃流行りの「純愛」もののプロットを使いながら、とても爽やかな作品に仕上げていた中村氏ですが、今回は、そんな「純愛」作品で描かれる恋人同士とは対極にあるような付き合い方をする大学生2人を主人公にした作品。

しかも、これ、恋愛小説のようでいて、2人のシーンはとても少なくて、大野君が主人公の最初の2章は、どちらかというと、大野とその友人の坂本と木戸の3人の青春物語といった雰囲気(ちょっと森見登美彦っぽい)。一方の彼女が主人公のパートは、大野君と付き合うことを通して、彼女自身が成長していく姿をメインに描いて、やはり彼女の日常生活にかなりの重点を置いた描き方。

実際、2人がどうのこうのうという場面よりも、この彼らの日常を描く部分の「大学生」的な雰囲気がとても上手く描かれていて、バカなんだけど一生懸命な若さが感じられる青春小説に仕上がっていたと思います。

タイトルからして純朴な恋愛を描く作品だと思わせつつ、2人が共有していない時間に重きを置いた物語で、その中での2人の成長を描くことで、背景に隠れた恋愛物語をしっかりと感じさせてくれる描き方が非常に面白かったです。

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2008年12月23日 (火)

来日公演:ソウルオペラ「魔笛」

the magic flute: impeme yomlingo

来日公演@国際フォーラム

久々の舞台鑑賞。今年ロンドンで上演され、イギリス演劇界の最高の賞であるオリヴィエ賞を受賞した舞台が、ロンドン公演と同じキャストで来日。その内容はなんとビックリのモーツァルトの「魔笛」のアフリカンアレンジ!

怪物に襲われた青年タミーノは夜の女王に仕える3人の侍女たちによって助けられ、たまたま通りかかった鳥撃ちのパパゲーノとともに、ザラストロに囚われているという夜の女王の娘パミーナを救出しに行くことになるのだが・・・。

とにかく力強いパワーに溢れた舞台で、陽気に歌い、踊る明るい「魔笛」で、なかなか楽しめる舞台でした。

キャストが全員アフリカ系の人々で、さらには衣装や演出もアフリカン、そしてそして極めつけは全てモーツァルトのオリジナルのメロディを使いながら様々なスタイルのアフリカ系音楽にアレンジされた楽曲の数々。とにかくアフリカ!なのに、しっかりとモーツァルト。見事としか言いようがありません。

普通はオケを使って演奏するところも、使う楽器はマリンバのみ。そこに、パーカッションとしてジャンベとスティールドラムが入り、さらには、足踏みやボイスパーカッションなんかも加わって、シンプルなのに、賑やかでとても楽しい舞台に仕上がってました。

歌唱法がもっとソフルフルな感じなのかと思いきや、そこはしっかりと「オペラ」で、クラシカルな歌い方になってるのもまたギャップが良い感じ。ただ、最初に歌い始めたときは、思いがけずクラシカルな発声だったのでちょっとビックリしましたけど。よく考えたら、これはミュージカルではなくて、オペラですからね。ま、でもこのアレンジにはソウルな歌い方のほうが映えるのではないかという気もしないでもないんですけど。

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2008年12月21日 (日)

映画「ダークナイト」

ダークナイト 特別版 [DVD]

the dark knight

2008年

アメリカ

傑作だという話ばかりを聞く1本で、自分も劇場公開時に劇場で観よう!と強く思っていたものの、色々と都合があわなくて、結局DVDでの鑑賞になってしまいました。

バットマン(クリスチャン・ベイル)は、刑事のジェームズ(ゲイリー・オールドマン)と新任の検事ハーヴェイ(アーロン・エッカート)らとマフィアの資金源を摘発し、バットマンはハーヴェイの腕力と人柄に一目置くようになる。そんな折、ジョーカーと名乗る男(ヒース・レジャー)がマフィアらと手を組み、正体を明かさなければ市民達を殺すとバットマンを脅迫し、次々と犠牲者が現れるのだが・・・。

真の正義に生きるハーヴェイと真の悪に生きるジョーカー。ジョーカーからの問いかけに善悪の価値観を揺さぶられるゴッサムシティの行く末とは。そして「ダークナイト(悪の騎士)」の意味とは・・・という作品。

噂に違わず、良くできた作品だと思います。

えっと、そうなんですが、ここまで大絶賛の嵐の中、大変コメントしづらいのですが、最後の一歩で手放しで絶賛できない感じでした。それはティム・バートンのバットマンが大好きな自分は、「バットマン・ビギンズ」にはじまる科学忍者バットマンがどうも苦手なんですよね。大変よくできた作品だとは思うんですが、「バットマン」として苦手というか。ゴッサムシティはおもちゃ箱みたいな街のほうが好きというか。バットマンにこの深さは求めてないというか。

しかしながら、ヒース・レジャーは素晴らしいです。ジョーカーといえば、ジャック・ニコルソンを上まることなぞ不可能ではないかと思っていたのですが、そんな不安は見事に杞憂に終わりました。この作品、とにかくジョーカーが良いですよねぇ。

物語としては、コインの裏と表のように、善と悪が紙一重な状況を描くのですが、それを描くためにバットマンではなく、新たなヒーローを持ってくるんですよね。しかし、単純にそのヒーローが悪に転じるのを描くのではなくて、バットマンや、一般市民、そして、見ている我々の善悪の価値観を問いただしてくるような展開は非常に面白かったです。

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2008年12月20日 (土)

「天使の蝶」 プリーモ・レーヴィ

天使の蝶 (光文社古典新訳文庫)

天使の蝶
(storie naturali)

プリーモ・レーヴィ
(Primo Levi)

光文社古典新訳文庫 2008.9. 
(original 1966)

イタリアの作家による短編集。光文社の古典新訳文庫は、これまでも、非常に面白いイタリアの短編小説の良作を出しているので、これは読む前から期待が高まる1冊。

収録されているのはシリーズものや戯曲を含めた全15編。

不思議な発明品が出てきたり、人間の秘められた狂気の部分をえぐり出すような落しどころがあったり、なかなか面白い1冊でした。人間というものに対する眼差しが、結構厳しい印象があって、皮肉めいた作品も多いのですが、作者のアウシュビッツから生還した化学者という経歴が関係しているのかもしれません。

以下面白かった作品メモ。

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2008年12月17日 (水)

映画「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」

インディ・ジョーンズ/ クリスタル・スカルの王国 スペシャルコレクターズ・エディション 【2枚組】 [DVD]

Indiana Jones
and the kingdom of the crystal skull

2008年

アメリカ

劇場公開時に、わざわざシリーズの旧作を3つとも全部見返して予習をしたにもかかわらず、劇場で観る機会を逸してしまい、DVD化してようやく観ることができました。インディ・ジョーンズは子供の頃から大好きなシリーズです☆

舞台は1957年。イリーナ・スパルコ(ケイト・ブランシェット)率いるソ連軍にとらわれた考古学者インディ・ジョーンズ(ハリソン・フォード)は米軍の施設内で強い磁気を帯びた謎のミイラを探させられるが、命からがらなんとか逃げ出す。

その後FBIの捜査の手がのび、共産主義者ではないかと疑われたインディは大学を休職することに。そんな折、彼の元にマットという若者(シャイア・ラブーフ)が現れ、ペルーでとらわれた母のマリオンを救うために協力して欲しいと頼まれる。こうして南米を舞台に、水晶の髑髏(クリスタル・スカル)を巡るインディの冒険の幕が上がる!という物語。

うーむ、なんか期待しすぎたかな。劇場公開を逃したことを全く後悔しない感じでしたねぇ。むしろ全く期待してなかった「ハムナプトラ3」のほうが面白かった気がする。ま、事前の期待度のせいかもしれないけど。

このシリーズ、確かに昔から、ちょっとオカルト系のネタを使っていたけどさ、それはあくまでクライマックスの場面で顔を出す程度だったと思うんですけど、今回、冒頭から、ずーっとSFっぽいネタがメインになっていて、ちょっとビックリ。ずっと冒険してきて、たどり着いた先にあるってのじゃなくて、最初からゴールに何が待っているのかが分かるってのも、ちょっと物足りなかったかなぁ。

あと、冒険部分のアクションシーンがちょっともっさりしてる印象。過去シリーズはテンポ良く、適度にユーモアを入れていて、今見ても、全く飽きることなく楽しめたんですけど、なんか、1つ1つのアクションシーンが無駄に長いし、たいして盛り上がらないし、ユーモアがそんなに面白くないしで、ちょいと微妙なんだよねぇ。アクションはやっぱりインディの年齢が原因なんでしょうか・・・。

これは近年のアクション映画全般に言えることなんだけど、CGを多用するようになってから、いまいち現実感に欠けるというか、作り物っぽいというか、迫力がないというか、あまり楽しめないんですよねぇ。80年代頃の、手作り特撮全盛時代の様々な工夫をこらした特撮の数々の方がずっと味があって僕は好きです。

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2008年12月10日 (水)

「シチリアを征服したクマ王国の物語」 ディーノ・ブッツァーティ

シチリアを征服したクマ王国の物語 (福音館文庫 S 54) (福音館文庫)

シチリアを征服したクマ王国の物語
(la famosa invasione degli orsi in sicilia)

ディーノ・ブッツァーティ
(Dino Buzzati)

福音館文庫 2008.5. 
(original 1945)

岩波少年文庫や福音館文庫といった児童書系の文庫はたまにチェックすると、面白そうな作品が目白押しで、今回、気になった作品を思い切っていくつか購入してみました。これも、その中の1つで、イタリアの作家、ブッツァーティの作品です。

王子である子グマを人間にさらわれてしまったクマの王様レオンツィオは食糧不足になったのをきっかけに、山を下りて、人間達の暮らす平地へと向かっていった。人間達との戦いに勝ったクマたちはシチリアで暮らし始め、王は王子のトニオを探しはじめる。宮廷の占い師からクマたちの味方に寝返ったように見えたデ・アンブロジイース教授の策略の中、はたして王子は無事見つかるのか、そして、クマたちの運命は・・・。という物語。

ブッツァーティは以前読んだ「神を見た犬」という短編集がとても面白かったのですが、このような童話作品も非常に面白いです。そして、なんとビックリ、挿絵もブッツァーティ自身の手によるもの。いやはやなんとも多彩に作家さんです。

物語が割と波乱万丈の展開で、何が悪で何が善かというのがはっきりと区別されないような描き方がなかなか面白かったですね。そして、デ・アンブロジイーズをはじめとして、人間の複雑な感情の変化がとても上手く描かれていて、読み応えのある作品になってました。

ラストまで先の読めないストーリーだったのも面白かったですね~。

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2008年12月 8日 (月)

映画「WALL-E ウォーリー」

ウォーリー

WALL-E

2008年

アメリカ

どうも、ディズニー好きなANDREです。そしてピクサー作品は基本外れなしなので、新作が出るたびにワクワクするのですが、今回は本国での評価が非常に高いということで本当に楽しみにしていました。やや長文ですがお付き合いください。

舞台は29世紀。人類から去ってから700年が経過した地球では、ゴミ処理ロボットのウォーリーが、淡々と自分の任務をこなしていた。彼の楽しみは、大量に廃棄されたゴミの山から気になったものを宝箱に入れて自分の家に持ち帰ること。いつも古いVHSのテープでミュージカル映画を観ていたウォーリーは、いつか映画の中の恋人同士のように、誰かと手をつなぐことを夢みていた。

そんなある日、彼の目の前に巨大な宇宙船が現れ、そこから1台の真っ白なロボット、イヴが降りてくる。恐る恐るイヴに近づくウォーリーは、その後、思いもよらぬ大冒険に出ることに。果たして、ウォーリーは夢をかなえて、手をつなぐことができるのか・・・。という物語。

いやー、これ、ピクサーの最高傑作じゃないですか!?

ちょっと設定勝ちみたいなところもあると思うけど、もう観ていて、ずっとワクワクして、ドキドキして、優しい気持ちになって、そんでもって、沢山笑って、感動して、社会問題まで考えさせられて。この作品を観ることができる時代に生きてて良かった!と思わず感じてしまうほどの完成度。

CG映像の美しさはもう言わずもがななんですが、今作では、とにかく宇宙でのダンスシーンが素晴らしかったです。いつまでも観ていたい感じでした。

この作品、ロボットが主役ということで、ロボット同士は、言葉らしい言葉を発することがなくて、目によるわずかな表情と、仕草だけで全てを見せるんですが、そこに、あらゆる喜怒哀楽を再現してしまうところにピクサーの底力を感じました。

そしてそして、作中に登場するミュージカル映画「ハロー・ドーリー!」をはじめとして、「2001年宇宙の旅」やチャップリンの「街の灯」などを堂々と元ネタとして使う過去の名作映画への溢れんばかりの愛が感じられる作品でもありました。

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2008年12月 7日 (日)

映画「つぐない」

つぐない [DVD]

atonement

2007年

イギリス・フランス

マキューアンの原作を読んだときから(正確には読む前からですが)、ずっと観たかった映画版。時間がうまく合わなかったりで劇場公開を逃し、ようやく観ることができました。

時は1935年のイギリス。空想が好きで小説を書くのが大好きな13歳の少女ブライオニーは久々に帰ってくる兄を迎えるために従姉弟たちと自作の戯曲を上演しようと張り切っていた。そして、その日、彼女は様々な偶然から、使用人の息子であるロビー(ジェームズ・マカヴォイ)と姉のセシーリア(キーラ・ナイトレイ)との間の不自然な場面に何度か遭遇し、その夜、とある事件が起きた際に、ブライオニーの証言により、悲劇が引き起こされる。という物語。

この映画、結構面白かったんですが、いかんせん、原作が素晴らしすぎるので、それを読んだ後だと、どうしても物足りないんですよねぇ。

原作を読んだときに、下手に映画化すると単なるメロドラマになるのではないかという危惧があったのですが、そこまで悪い映画化ではなかったのでほっと一安心だったものの、やはりこの作品の真髄は「小説」であることに必然性を持っているので、映画だと全体的にインパクトに欠けてしまったかなぁと。

ただ、前半の子供時代編は、原作も素晴らしかったのですが、英国大好きな自分としては、あのお屋敷の映像を見られただけで大興奮。原作の緻密な描写にはやはり劣ってしまうものの、割と大満足でした。(完全に評価が甘くなってるます・・・)

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「フルタイムライフ」 柴崎友香

フルタイムライフ (河出文庫) (河出文庫)

フルタイムライフ

柴崎友香

河出文庫 2008.11. 
(original 2005)

「きょうのできごと」で原作にも映画にもどっぷりとハマって以来、柴崎さんの作品は文庫になったものは全部読んでいるのですが、今回は200ページを越える長編ということで、どんな作品なのかとても楽しみにして読んでみました。

(余談ですが、最新号の「文藝」が柴崎友香特集なのでちょっと嬉しかったりします。)

主人公の喜多川春子は美大を出て、社会人になったばかりの23歳。会社では社内報を作成しつつ、先輩らとともに様々な雑用をこなし、プライベートでは大学時代の友人たちと集り、趣味でデザインを続けたりと忙しい日々を過ごしている。主人公が過ごす5月から2月までの10ヶ月間の日々を描く作品。

もはや柴崎作品では定番の、「何も起きない小説」なんですが、いつもながらに、「何も起きない」日常を素晴らしいまでに過不足なく描いて、無駄のない描写と、会話や行間からあふれ出る様々な思いを読むのが大変心地よい作品でした。

読後も、ずっと続いていくであろう主人公の日常をそれこそ彼女が書くをブログをたまにふらっと読むような感じで、追いかけていきたいなと思わせてくれたのも嬉しかったです。

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2008年12月 4日 (木)

「マーティン・ドレスラーの夢」 スティーヴン・ミルハウザー

マーティン・ドレスラーの夢 (白水Uブックス)

マーティン・ドレスラーの夢
(Martin Dressler 
the tale of an american dreamer)

スティーヴン・ミルハウザー
(Steven Millhauser)

白水Uブックス 2008.8. 
(original 1996)

これは単行本が出たときからずっと読みたくて、原書で読もうかなと何度も思っていた1冊。いつの間にやらUブックス版が刊行されているのを発見して嬉しくなって速攻で購入してしまいました。

最近では、「幻影師アイゼンハイム」の映画版が公開されたことも記憶に新しいミルハウザーですが、これはピュリッツァー賞受賞作ということで、かなり気になっていた作品。

舞台は19世紀末のニューヨーク。主人公、マーティン・ドレスラーは葉巻店の息子として生まれ、やがて、ホテルで働くようになり、実業家として成功し、「夢のような高みにのぼりつめ」ていく。物語はマーティンの少年時代から綴られ、彼が出会う姉妹とその母親との関係などを描きながら、彼の成功を描いていく。

ミルハウザーといえば、緻密な描写が印象的なのですが、今まで読んでいたのが短編ばかりだったので、どのような長編を書くのかがとても楽しみでした。で、まぁ、長編でも基本同じでした。

ただ、ミルハウザー作品って、ちょっと引いた視点で淡々と良く言えば緻密に、悪く言えばチマチマと描かれるイメージが強くて、長編でも同じ手法だったので、ちょっと好き嫌いが別れるところかもしれません。(実は自分がミルハウザーはそこまで得意ではなかったりします。)

ただ、19世紀末~20世紀初頭のNYを舞台にした物語そのものはとても面白くて、現実の世界が舞台になってはいるものの、どこか架空の大都市を描いているような雰囲気なんかはとても好きでした。ミルハウザー作品はいつも、この「空気感」とか「雰囲気」の描き方に天才的な上手さを感じます。

あと、主人公のマーティンその人よりも、彼が作る商業施設の数々がとても魅力的で、それを想像しながら読むのがとても楽しい1冊でもありました。一箇所にとどまらず、ひたすらに夢を追い求めていく主人公の夢が結晶されたものですからね。

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