映画「ノーカントリー」
no country for old men 2007年 アメリカ |
今年も残りわずかということで、今さらながらアカデミー賞の作品賞受賞作を。
舞台は1980年代のアメリカ南部。ルウェリン(ジョシュ・ブローリン)は荒野の中で偶然大量の死体がころがる現場に遭遇してしまう。そこで札束の入ったカバンを見つけたルウェリンは、それを持ち帰り自宅に隠していたが、残忍な殺し屋シュガー(ハビエル・バルデム)がカバンにとりつけられた発信機をたよりに、ルウェリンの後を追いはじめる。身の危険を感じたルウェリンは妻を実家に帰し、一人逃亡をはじめるのだが・・・。
コーエン兄弟の作品は恐らく『ファーゴ』以来なので、かなり久しぶり、と思ってたら、『ディボース・ショー』やら、『パリ・ジュテーム』やらを観ていたことを思い出しました。こういうスリリングなのは久しぶりってことで。
とにかく殺し屋シュガーを演じるハビエル・バルデムが恐ろしいです。淡々と作業を済ませて、ルウェリンに近づいていく姿はもう鳥肌もの。ホテルでドアの前に立たれたときにはゾクゾクでした。彼が殺しに使うのが銃ではないというのもまた面白くて、ボンベ片手に歩く姿はいつまでたっても頭に残りますね。いやはや、『海を飛ぶ夢』と同一人物とはとても思えません。
とにかく2時間抜群の緊張感を味わわせてくれる作品でしたが、最後の終わらせ方が、「おや?」と思っているうちに幕が閉じてしまい、一瞬、何がなにやら混乱してしまいました。その前の緊張感がかなりのものだっただけに、思いがけない方向に放り出されてしまった感じで、しばし呆然。
これ、ずっとルウェリンを主人公と思って見てたのが悪かったんでしょうね。しかし、保安官ベルは、トミー・リー・ジョーンズがうつるたびに、缶コーヒーが頭をちらついてしまって・・・。というのは冗談ですが、このベルという男、いつもいつも後から現場にやってきて、結局、最後まで何もできないんですよね(『逃亡者』のときとは大違いですね)。映画のタイトル、特に原題を見た時点で、もっとベルの視点で物語を見るべきだと気づくべきでした。
個人的には途中で出てくる第2の殺し屋に結構期待してたんですが、割と短い登場時間でしたね・・・。彼の出てくるシーンはシュガーと対比してるのか色が鮮やかだったのが印象的でした。
あと、印象に残ったのは売店でのやりとり。怯える店主にコインの裏表をあてさせるとこ。コインの裏表で生死が決まるような不条理で先の見えない世界で、シュガーを前に、自分が生きていられたことの素晴らしさを果たして彼はどれほど理解しているのかなぁと。てか、『ダークナイト』もそうだったけど、最近コインネタ多いですね。
映像の見せ方も素晴らしくて、まさに釘付けになってしまう作品だったんですが、作品賞を受賞するほどかと聞かれれば、個人的にはちょっと微妙かなぁ。
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