来日公演:ソウルオペラ「魔笛」
the magic flute: impeme yomlingo 来日公演@国際フォーラム |
久々の舞台鑑賞。今年ロンドンで上演され、イギリス演劇界の最高の賞であるオリヴィエ賞を受賞した舞台が、ロンドン公演と同じキャストで来日。その内容はなんとビックリのモーツァルトの「魔笛」のアフリカンアレンジ!
怪物に襲われた青年タミーノは夜の女王に仕える3人の侍女たちによって助けられ、たまたま通りかかった鳥撃ちのパパゲーノとともに、ザラストロに囚われているという夜の女王の娘パミーナを救出しに行くことになるのだが・・・。
とにかく力強いパワーに溢れた舞台で、陽気に歌い、踊る明るい「魔笛」で、なかなか楽しめる舞台でした。
キャストが全員アフリカ系の人々で、さらには衣装や演出もアフリカン、そしてそして極めつけは全てモーツァルトのオリジナルのメロディを使いながら様々なスタイルのアフリカ系音楽にアレンジされた楽曲の数々。とにかくアフリカ!なのに、しっかりとモーツァルト。見事としか言いようがありません。
普通はオケを使って演奏するところも、使う楽器はマリンバのみ。そこに、パーカッションとしてジャンベとスティールドラムが入り、さらには、足踏みやボイスパーカッションなんかも加わって、シンプルなのに、賑やかでとても楽しい舞台に仕上がってました。
歌唱法がもっとソフルフルな感じなのかと思いきや、そこはしっかりと「オペラ」で、クラシカルな歌い方になってるのもまたギャップが良い感じ。ただ、最初に歌い始めたときは、思いがけずクラシカルな発声だったのでちょっとビックリしましたけど。よく考えたら、これはミュージカルではなくて、オペラですからね。ま、でもこのアレンジにはソウルな歌い方のほうが映えるのではないかという気もしないでもないんですけど。
ちょっと(?)残念だったのは、夜の女王。せっかくの見せ場のアリアで高音外しちゃったのは、「魔笛」としてはかなりアレな感じ。全体的に音が下がり目だったし。ちょっとゆったりしたアレンジになってるのとかは面白かっただけに、ベストの歌唱ではなかったのは本当に残念。
パパゲーノとパパゲーナもそれほど盛り上がらなかったんですよねぇ。なんか、良く知られたアリアよりも、コーラス主体の曲の方が完成度が高かったような気が。
逆にとてもよかったのはなんといっても指揮者。ま、この指揮者さん、アフリカンにアレンジした御本人なので、当たり前なのかもしれませんが、とにかく楽しそうなんですよね。指揮してるときも、マリンバたたいてるときも、トランペットのときも、歌ってるときも、とにかく輝いてました。あと、彼の多芸さにもビックリです。
彼の楽しさをもっと舞台全体で共有していたら、もっともっとパワーのある作品になったのかなぁと思うんですが、ちょっと厳しく言うと、実際は、彼のパフォーマンスが逆にちょっと目立つくらいの感じだったので、やや物足りなかったのも事実。
演出の面白さとしては童子達が60年代のモータウン風の3人組女性コーラスになってるのが非常に面白くて、ハンドバックで攻撃しちゃうところなんか思わず笑ってしまうんですが、ウサギさんを抱いて出てきたのは面白いを通り越してちょっとシュールでしたね・・・。
曲のアレンジで気に入ったのは、やはり、魔笛の音色をジャズトランペットにした部分。普通のオペラだと動物達が集ってくるシーンの曲。トランペットの音が異質なんだけど、味わい深くアフリカンな世界に入ってたように思います。
全体的に、後半のほうが、思わず体を動かしたくなるような、ノリの良さがあったように思います。
色々とカットされた部分もあったんですが、魔笛のストーリーってやっぱり途中で色々と破綻してるよなぁと思うのは相変わらずでした。
* * *
参考過去レビュー
ブラナー監督の映画版です。これも色々と凝った演出。
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