映画「Dear フランキー」
dear Frankie 2004年 イギリス 05年6月公開 TV録画鑑賞 |
以前から見たかった作品が昨年BS2で放送されたのを録画していたのをようやく鑑賞。
別れた夫から逃げるように母と耳に障害のある一人息子のフランキーと共に住居を転々としていたリジー(エミリー・モーティマー)はグラスゴー近くの港町へと引っ越してくる。フランキーは自分の父が船乗りだと信じ、父親宛に手紙を書いては、その返事が来るのを楽しみにしていたのだが、実際はリジーが父親になりすまし返事を書いていた。
ある日、学校の友人から父の船が港にくるという情報を聞いたフランキーは、父親に会えることを喜び、真実を打ち明ける機会を失ったリジーは、近所で店を営むマリーに相談し、彼女の知人の男性(ジェラルド・バトラー)を紹介してもらい、1日だけ父親の役をやってもらうことになったのだが・・・。
イギリス映画ということで、ハリウッド的な感動の押し売りもなく、じんわりと心に染み入る良い作品でした。
あと個人的には英国好きとして、一瞬英語かどうかもはっきりと理解できないようなスコットランド訛りやら、作品の雰囲気とよく合っているどんよりとした空模様やらを楽しめたのも良かったですね。
この作品、まっすぐに生きているフランキー少年の健気さに胸を打たれるのかなぁと思いながら見ていたのですが、それよりもずっとずっとリジーの抱える様々な葛藤にこれでもかというくらいに打ちのめされてしまいました。彼女が直面する様々な問題の数々は、どれも正解なんてないということが分かるだけに、その1つ1つの決断の行く末が良い方向へと向かって欲しいと願わずにはいられませんでしたねぇ。
一番ぐっときた場面はずーっと自分の感情を強く出すことのなかったフランキーが思いっきりダダをこねた場面。この場面、フランキー少年の気持ちも、リジーの気持ちも、祖母の気持ちも、そして、突然迷い込んだストレンジャーの気持ちも理解できるだけに、胸がぎゅっとしめつけられました。
この作品、それぞれの登場人物の思いがジワジワと伝わってくるのが良いんですよねぇ。
ジェラルド・バトラーは、「おぉ、ファントム」と思わずにはいられないくらいあの役のイメージが強いですが、彼の雰囲気が、ちょっと不器用な感じのキャラとよく合っていて良かったと思います。フランキーに抱きつかれて、ちょっと呆然としてる感じとか。
母親を演じたエミリー・モーティマーも上手かったですねぇ。祖母も良かったし、全体にキャスト陣が確かに演技力で作品を支えている印象でした。
ラスト、フランキーの手紙が読まれるまでは、イギリス映画だし、このままちょっと重い空気で終わるのかなぁなんて思っていたのですが、良い余韻を残して作品が終わってくれたので見終わった後も温かな気持ちになれました。
ちょっとネタバレなので反転を。ただ、最終的にああいう結末になるんだったら、フランキーは本当は病院に会いに行きたかったんじゃないかなぁとかちょっと思ってみたり。どんな男であれ父親ですからねぇ。あの段階において、ストレンジャーはあくまで友人であって、父親ではないわけですし。大人になったフランキー少年が後悔してないといいのですが。(ネタバレ終わり)
* * *
関連過去レビュー
ジェラルド・バトラーといえば個人的には「タイムライン」の役も好きなのですが(笑←「笑」の理由は見れば分かります)、やはり
映画「オペラ座の怪人」
今読むと、妙にハイテンションで恥ずかしいレビューですね・・・。
エミリー・モーティマー出演作で結構好きなのは・・・
映画「マッチ・ポイント」
この映画、結構面白かったよなぁとたまにふと思い出すことがあります。
てか、この映画の母子が出演してる「猟人日記」が観たくなりました。これもずっと気になってるのに未見の1本なんですよね。
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コメント
こんばんは。
ANDREさんがご覧になれて、わたしまで嬉しいです。
ジェラルド・バトラー病最高潮の頃に観たのですけど、
その後、いくつかの作品も観たものの、やはり今でもこの作品が
彼の出演作の中で一番好きです。
キャストも内容も派手さはないけれども、素直にいい作品だ、と言える作品ですよね。
静かなピアノのメロディを聞くだけで、今でもじんわり涙が浮かんでしまいます。
『タイムライン』、ツッコミどころは数々あるけど、あれはあれでよし、として。
そうか!そうですね!なるほど、わかりました!!
それから
『猟人日記』、以前観たことがあります。
ANDREさんなら、どう感じられるのかしら。
あの内容なのに、ちっとも嫌らしく感じられなかったユアン・マクレガー、
ある意味凄い、と思いました。
以前、『ノッティングヒルの恋人』を観た時、
ほんのチラッと、エミリーが出てきて、ビックリでしたが、
『ケミカル51』の彼女の役柄にはもっとビックリでした。
投稿: 悠雅 | 2009年1月 9日 (金) 22時43分
あ、懐かしいな。この映画、劇場で観ました。
フランキーの最後のお手紙が印象的で、今でも好きな映画です。
投稿: 中村眞希 | 2009年1月10日 (土) 00時11分
>悠雅さん
決して明るく楽しい話ではないけれど、
観てよかったなと思えて、
この作品はかなり当たりでした。
『タイムライン』、アンドレが大活躍というだけで
観終わった後はかなり満足してしまったんですよね。
今となっては、かなり記憶も薄らいでいるんですが・・・。
エミリー・モーティマー、これまであまり気にしてませんでしたが、
結構色々と出てるんですよね。
ちょっと調べてみて、あのときのあの人か!と。
しかも結構印象に残っている役が多いので、
これからはちゃんと注目しようと思いました。
「猟人日記」、そこまで評判が良いわけではなさそうなので
ちょっと心配でもあるんですが、
近いうちに観てみようかと思います。
>中村眞希さん
どうもお久しぶりです。
こんなところであれなんですが、
今年もよろしくお願いします。
中村さんは劇場で観られたんですね。
観ながら、このまま重い空気を残して終わるのかなと
思っていたので、最後に手紙が読まれて
ジンワリと温かくなれたのが良かったです。
ファントムブームの中で
それに便乗して公開になった作品って印象が強くて
実はそこまで期待してなかったんですけど、
これはなかなかの拾いものでした。
投稿: ANDRE | 2009年1月11日 (日) 00時10分