映画「ジェリーフィッシュ」
Meduzot 2007年 イスラエル フランス 08年3月公開 DVD鑑賞 |
昨年公開されていてちょっと気になっていた1本。イスラエルの映画を見るのは多分これが初めて。
結婚式場でウェイトレスをしているバティアは、恋人と別れ、アパートは水漏れがひどく、両親との仲もギクシャクしていた。ある日、海岸で浮き輪をつけ、全く喋らない少女と出会い、福祉施設と連絡がとれるまで、彼女を預かることになる。
新婚夫婦のケレンとマイケル。結婚パーティの会場でケレンが足を怪我してしまい、楽しみにしていた新婚旅行へ行けなくなってしまい、仕方なく2人は市内の海辺のホテルで過ごすことに。宿泊先のホテルでマイケルはスイートルームに一人で宿泊している女性と出会う。
フィリピンから出稼ぎに来ている介護人のジョイは、舞台女優をしているガリアに頼まれ、病院から退院するガリアの母マルカの介護をすることになる。ヘブライ語を話せないジョイにマルカは苛立ちを覚えるのだが・・・。
海辺の町、テルアビブを舞台に3つの人生模様が静かに描かれる。
イスラエル近辺は政情不安が続いていますが、この映画では特にそういった社会的な面は描かれず、テルアビブに暮らす人々のどこか満たされないでいる人生模様を静かに味わい深く切り取っていきます。
特に緩急があるわけでもなくて、淡々とした作品ながら、90分にも満たない短さに3つの物語を同時進行させるので、何も起こらないようでいて、結構テンポ良く物語が進んでいく印象の不思議な作品。
タイトルのつけかたがなかなか上手くて、全編を通して水を印象的に使いながら、ユラユラと淋しげに漂う感じの物語はまさにクラゲそのもの。
ラストの余韻がそこまで良いわけではなくて、ラストのラストにはちょっと希望めいたものが示唆されるけれど、3つの物語をこのように収束させるとは思わなかったなぁという感じ。
3つの物語の中では、バティアのものが中心的に描かれていましたが、他の2つのほうが個人的には好きでしたね。じっくり描くならこの2つの方がうれしかったかなぁ。クラゲ度は下がってしまいますが。
浮き輪の少女が結局、ファンタジーな存在だったのが、ちょっと肩透かし。あと、ウィンクはしないほうが僕は好き。
イスラエルの人々の抱える歴史を感じた、「第2世代」に関する会話はなかなか興味深かったです。普段あまり触れることのない国の作品はこういう部分を観るのも面白いです。
ところで、あの超前衛的な「ハムレット」は一体・・・。
全くの余談ですが、かつて経験があるため、結婚式場のバイトって大変なんだよーってのを思い出した映画でもありました。
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