映画「K-20 怪人二十面相・伝」
K-20 怪人二十面相・伝 2008年 日本 劇場鑑賞 |
乱歩が好きなので、なにやら二十面相が面白そうに映画化されてるなと思っていたら、どうやら乱歩をアレンジした原作の映画化ということで、ますます気になってしまった作品。昨年末公開でようやく観にいけました。
舞台は第2次大戦を回避し、19世紀からの華族制度が続く超格差社会となっているパラレルワールドの1949年の日本。
サーカスの花形スター遠藤平吉(金城武)は、怪しげな雑誌社の男に頼まれ、名探偵の明智小五郎(仲村トオル)と財閥の令嬢の羽柴葉子(松たか子)の結納式の写真を撮るよう頼まれる。式の当日、怪人二十面相が羽柴家が所有する絵画を盗むという犯行予告があり、羽柴家のビルの最上階のホールで行われる結納式は厳戒態勢となっていた。
そんなとき、何も知らない平吉が窓の外から式の様子を撮影しようとしたその瞬間、爆発が起こり、平吉は怪人二十面相として逮捕されてしまう。サーカスのからくりを作っていた源治(國村隼)の助けで脱獄に成功した平吉は、自分を罠にはめた二十面相への復讐を誓うのだが・・・。
いやはや、良家の子女、最強ですね~。って、それが第一の感想かいっ!
ここまでアレンジされちゃうと乱歩とは全くの別物として楽しめて良いですねー。邦画のこういう系列のエンタメ映画ってTVの戦隊モノのレベルの域を越えない妙に安っぽいものが多い印象なんですが、ハリウッド並のクオリティで大人の鑑賞にも堪えるレベルまで持ってきたのは素晴らしかったです。2時間以上、全く飽きさせることなく楽しませてくれました!
19世紀的世界に発達した科学技術がある世界観は自分的にはかなりツボで(スチームパンクとか好きなんです)、設定だけで無駄にワクワクしちゃいました。
ただ、なーんかどこかで観たことあるような映像やシーンが多くて、ハリウッドのアメコミ系作品を上手いこと取り入れたといえば聞こえが良いんだろうけど、もうちょっと乱歩テイストというか大正~昭和初期の浪漫あふれるなオリジナルティがあると嬉しかったかなぁ。
最後のオチ、この映画、二十面相ものなのにあのシーンがないなぁとは思っていたんですが、それがそのままオチにつながってました。乱歩原作では絶対にできないオチですよね~。ただ、この映画の設定ならこういうオチはありだと思うんですが、個人的には二十面相は謎めいた不死身男であって欲しいので、実はこのラストはちょっと不満だったりします。
あとちょっとよく分からなかったのは、主人公の平吉が最後にあの決心をする部分。そこに至ることを納得させるだけの説得力があまりなかったように思うので、やや唐突に感じてしまいました。
つっこみついでなんですが、指名手配されてる割には自由に外歩きすぎじゃないかとか、源治はどうやって脱出したのかとか色々謎なシーンは多かったですよねぇ・・・。ま、ある程度は仕方ないのかもしれませんが、結構出来が良い作品なだけにこういう部分もしっかりと作って欲しかったかなぁ。
キャスティングはおおむね良い感じなんですけど、なんか全体的に年齢層高めですよね。小林少年でさえ18歳の本郷奏多ですからねぇ。本当はもうちょっと若めのキャストのほうがイメージは合うんだけど、全体の雰囲気が落ち着いて、チャラチャラした感じがなかったのは良かったと思います
あと個人的には仲村トオルがとある施設にてちょっとお茶目な演技をしているのがかなり面白かったです。クールな役よりもこの路線の方が上手いんじゃないかとか思ってみたり。
そうそう、この映画、主題歌が何かとか全然知らないで観てたんですけど、いきなり聞き覚えのある曲が流れてかなりビックリ。OASISの「the shock of the lightning」じゃないですか!!不釣合いな気がしないでもないけど、好きな曲なのでOKです。
あと、あの寄木細工のパズルが欲しくなりました。
* * *
参考過去レビュー
乱歩のオリジナルを。
この文庫版の全集、最近は書店でもあまり見かけなくなりましたよねぇ。
後、この映画の原作になった北村想さんの小説も読んでみたいなと思いました。
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コメント
TB/コメントありがとうございます。
仲村トオルのあのシーン、私もツボでした。
そのほかにもチラチラっと笑わせてくれるシーンが、
緩急があって全体に長さを感じさせない作りでした。
投稿: KGR | 2009年1月17日 (土) 21時50分
>KGRさん
TB/コメントどうもありがとうございます!
この映画の仲村トオル、かなり良かったですよね。
本当に全体的なバランスもよく取れいていて、
エンタメ映画としては文句なしに楽しめる1本だったと思います。
投稿: ANDRE | 2009年1月17日 (土) 23時25分