« 映画「テネイシャスD 運命のピックをさがせ!」 | トップページ | 映画「K-20 怪人二十面相・伝」 »

2009年1月15日 (木)

「バスジャック」 三崎亜記

バスジャック (集英社文庫)

バスジャック

三崎亜記

集英社文庫 2008.11. 
(original 2005)

「となり町戦争」でアイデアが面白いなぁと思った三崎亜記の短編集。

全部で7編が収録されているんですが、どれも、TVの「世にも~」でドラマ化されてもおかしくないような作品ばかりですね。「となり町戦争」のときと同じで、日常の中に、少しだけ異物が混入したような世界を描くこの作家の発想の面白さは今後も注目したいところ。

ただ、これも「となり町~」のとき同じなんですが、設定勝ちみたいな感じになってしまってて、結局それ以上の楽しみがあまり感じられないというか、小説というよりも、それこそ「世にも~」なんかのノベライズみたいな雰囲気になってしまってるというか。

それでも結構楽しんで読めたので、気軽に読書したいときにはオススメだと思います。

そんなわけで以下作品ごとに一口感想。

「二階扉をつけてください」

二階扉をつけるよう町内から言われた主人公の物語。

こういう、現実世界ではあり得ないシュールな事柄を、主人公以外は皆が常識だと思ってる世界の話はよくありますが、そこに無駄にユーモラスな展開を盛り込んで、最後はブラックに落とすところが、ショートショートの王道という感じで楽しめる作品でした。オチ、読めちゃうんですけどね・・・。

ユーモアとシュールと風刺とブラックさのバランスが良かったので収録作品の中ではこれが一番好きかなぁ。

「しあわせな光」

4ページだけの短い作品。うーん、なんか色々と物足りなかったです・・・。

「二人の記憶」

彼女との記憶違いが頻発するようになる男の話。

実際問題、これはかなり問題だと思うんですが・・・。やや説教臭いし。

「バスジャック」

バスジャックがルールに基づいて法的に認められるようになった社会の話。

アイデアはとても面白いんですが、いかんせん読み始めて数ページでオチが読めてしまいまして、結局それ以上の面白さはなかったっていう・・・。

「雨降る夜に」

これもとても短いお話。

あっさりしすぎな感じもするけど、これは結構好きな作品。

「動物園」

動物園でユニークなビジネスをする女性の話。

この本の中では一番小説っぽくて読み応えのある作品。次の「送りの夏」にこのクオリティが欲しかったです(何様なんだか・・・)。

「送りの夏」

家出した母を追って、人形と暮らす風変わりな人々の住む館へやってくる少女の話。

珍しく感動系の話なんですが、これも設定は良いし、描こうとしていることも良いのに、色々とイマイチハマりきれない部分が多くて、設定が出た時点で過度の期待をしすぎてしまうのがよくないのかもしれないけれど、ちょっと物足りない作品でした。どこかで薄いというか。

 

良い脚本と演出がつけば、どの作品も面白く映像化することができると思うので、「世にも~」あたりでドラマ化してくれませんかねぇ。

この設定の発想力はやっぱり面白い作家だと思うので、今後、それを存分に生かしたエンタメ大作を書いてくれることを期待したいところです。

参考過去レビュー

「となり町戦争」 三崎亜記

|

« 映画「テネイシャスD 運命のピックをさがせ!」 | トップページ | 映画「K-20 怪人二十面相・伝」 »

コメント

私も読みましたよ♪
「となり町戦争」を読んだときに作者の上手さを感じていたのでかなり期待したのですが、どうも本作ではその勢いがやや失速気味のように思いました。
それでも「二階扉をつけてください」は、短編としてのテンポが絶妙でオチもよく、ひとつ選べと言われたら私もこれですね。

投稿: SOAR | 2009年1月16日 (金) 22時14分

>SOARさん

コメントどうもありがとうございます!

「となり町戦争」もこの作品も、
作者の発想力は素晴らしいですよね。

この短編集は月イチで連続掲載されてたみたいなので、
物足りなさはその辺りが原因かなと勝手に思ってます。

やっぱり「二階扉」を選びますか!
共感していただいてちょっと嬉しいです。

投稿: ANDRE | 2009年1月17日 (土) 01時47分

こんにちは。
軽く読めてそれなりに面白い一冊でした。
「となり町戦争」「失われた町」といった長編より
短編のほうが好きかも知れません。
でも「鼓笛隊の襲来」はイマイチ印象に残らなかったんですよね・・・。

投稿: 木曽のあばら屋 | 2009年1月17日 (土) 16時34分

>木曽のあばら屋さん

コメントどうもありがとうございます。

サッ読めて、気軽に楽しむには丁度良い1冊でしたね。

文庫で追いかけ派なため、
気になりながらも読めてない作品が多いのですが、
今後もこの作家の作品は追いかけていきたいなと思います。

投稿: ANDRE | 2009年1月17日 (土) 23時21分

TB送らせていただいたので御挨拶です。
確かに「世にも不思議…」でドラマ化されそうな話ばかりでしたね。
「送りの夏」みたいなテイストのものもありますもんね。
ジュニア小説と思いこんだためパスしてしまった「となり町戦争」も読んでみようと思ってます。

投稿: 山手のドルフィン | 2009年3月22日 (日) 14時04分

>山手のドルフィンさん

コメントどうもありがとうございます。

最後が感動系で終わるところも含めて、
「世にも~」のような作品集だったと思います。
「三崎亜記の特別編」なんて形でドラマ化したら
そこそこに面白くなるんじゃないでしょうか。

「となり町戦争」、
悪く言ってしまうと、漫画みたいな小説ですが、
エンタメものとしては結構面白かったです。

TBなのですが、
どうやら送られていないようですので、
よろしければもう1度送っていただければと思います。

それでは是非また遊びにいらっしゃってください。

投稿: ANDRE | 2009年3月23日 (月) 23時59分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/145222/43753658

この記事へのトラックバック一覧です: 「バスジャック」 三崎亜記:

« 映画「テネイシャスD 運命のピックをさがせ!」 | トップページ | 映画「K-20 怪人二十面相・伝」 »