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2009年1月 2日 (金)

映画「ジェイン・オースティンの読書会」

ジェイン・オースティンの読書会 コレクターズ・エディション [DVD]

the Jane Austen book club

2007年

アメリカ

08年4月公開 DVD鑑賞

これ原作本が出版されたときからずーーっと気になっていた作品です。

思えば数年前、「今年はオースティンを読破!」などと強気な発言をしていたんですが、結局それは実現されず、大量のオースティンが積読されていて、この映画も、オースティン読破後に原作を読んで、さらに映画をと思っていたのですが、待ちきれずにとりあえず映画だけ観てしまいました。

ジェーン・オースティンを愛する6回の離婚経験を持つバーナデットは、愛犬を亡くし落ち込んでいたジョスリンを励まそうと、長年連れ添った夫に別れを告げられたシルヴィアとその娘のアレグラを誘いオースティン好きの友人達で読書会をしよう企画する。

全6作品を1人1冊担当するためには、6人のメンバーが必要で、バーナデットは映画館で声をかけた高校教師のプルーディーを誘い、ジョスリンはエレベーターで出会ったSF好きの男グリッグに声をかける。ジョスリンの思惑はシルヴィアとグリッグを一緒にすることだったのだが・・・。そして、夫のいるプルーディーは高校の生徒に惹かれるようになり・・・。

読書会の参加者6人が6冊の著作を読む読書会の6ヶ月を描きながら、オースティンの作品に彼女たちの人生が重ねられていく・・・。

観終わった感想。とりあえず、「読書会」って面白そうだと思う。そしてやっぱり、オースティンを読破してから見ればよかった・・・。原作読むのはオースティン読破後にしておきます。

自分のオースティン経験は「高慢と偏見」(原作・BBCドラマ・映画)、「感性と知性」(原作・映画)、「エマ」(原作途中まで・映画)と決して深くはないのですが、それでも、この作品の登場人物たちがオースティン作品のキャラクターを重ねたものだというのが分かる内容で、恐らく、全作品を読んでいる人にとっては、キャラクター設定も、劇中での作品に関する議論も非常に楽しめる内容なんだろうなと思います。これ、オースティンをもっとちゃんと知ってたら、神業的な完成度の高さなのではないかという気がするんですよね。

しかし、この作品の良いところは、オースティンなんて聞いたこともないというような人がみても、恐らく面白いと感じられるであろう、しっかりとした人間ドラマが構築されている点。ま、これも、オースティン作品がベースになっているので当たり前なのかもしれませんが。

読書会を通して、各登場人物たちが成長していくという内容ですが、それにあわせて、彼女達の見た目がどんどん美しくなっていくのがとても良かったです。特に、夫と離婚の危機に陥るシルヴィアがメイクのせいもあるんだろうけど、目を見張るくらいに見違えましたね。

ジョスリンの物語はもう、そのまんま「エマ」になっていて、なかなか面白かったです。てか、エレベーターで一緒になっただけの男とあそこまで親密になれる欧米の感覚に改めて驚いてしまったり。ちなみに僕はSFも嫌いじゃないですよ。

おかたいプルーディーとその母、「高慢と偏見」の母と重ねられてましたが、「感性と知性」なのかな、という気もする2人。でも彼女に割り振られてるパートは「説得」。夫との関係に重点が置かれていたようです。彼女を誘惑する高校生は「トランスアメリカ」でゲイの息子を演じていた少年ケヴィン・セガーズでしたね。昔懐かしい「魔女の条件」を思い出しちゃいました。プルーディーを演じたエミリー・ブラント、綺麗でしたね~。「プラダを着た悪魔」のときよりもナチュラルな感じの今回の役のほうが好きです。

なんか物凄い勢いでハッピーエンドに収束するってのもオースティンらしさを踏襲しているんだとは思いますが、参加者6人が全員ハッピーエンドってのが、ラブコメならともかく、割とコメディ指数の低いドラマにしては珍しいなぁと。でも見終わった後に心地よい気持ちになれたので良かったです。

読書会、ブログで記事を書いて、コメントしあうってのも見方によっては読書会みたいなものですが、読む本を決めて、みんなで同時に記事をアップするような読書会ブログとかも面白いかもね。

そんなわけで、今年こそ、積読になってるオースティンを読破し、この映画の原作を読んで、改めて映画を見たりできたら良いかなと思います。新年1本目だし、新年の目標をたててみた。

* * *

参考過去レビュー

ここはやっぱりオースティン系で。

書籍感想

「高慢と偏見」 「感性と知性」

映画感想

「プライドと偏見」

でも「高慢と偏見」の映像化はやっぱりBBCのほうが観てもらいたいし、
オースティン映画で好きなのは「いつか晴れた日に」なんだよね。
「エマ」はグウィネス・パルトロウが可愛いくて良いです。

全然オースティンとは関係ないけど、
お稽古事で集った仲間たちの成長物語ってことで
似た雰囲気かなと思う作品。
ヨーロッパ映画でこちらはもっともっと重いけど。

映画「幸せになるためのイタリア語講座」

(追記)

TVドラマ版で鑑賞しました。

「ノーサンガー・アベイ」

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コメント

初めてコメントさせていただきます。
私も、『ジェイン・オースティンの読書会』の原作が出たときからかなり気になっていました。
4年位前に、原書でpride&prejudice, sense&sensibility, persuasion, Emma,を読んだのですが、英語力が足りないのと、物語が基本的には家の中の会話に終始していて、あまり展開していかないなどの理由により、あまり楽しめませんでした。
2009年になり、もう一度読み直してみようと思い、『~読書会』の月に合わせて、原書を読み、その後読書会に模擬参加する形で、『~読書会』の日本語バージョンを読んでみようと思っています。
ということなので、今、Emmaを読んでいるところです。
が、また、やはり途中で少し飽きてしまいました・・・。まだ半分しか読めていません(泣)。

オースティンとは関係ないですが、私は中高の教員をしていて、その教員仲間とたまに読書会しています。色々な観点が出てきて結構面白いですよ。

投稿: オラフ | 2009年3月 5日 (木) 10時11分

>オラフさん

はじめまして。
コメントいただきましてどうもありがとうございます。

オースティン、自分も原書にチャレンジしたことがあるのですが、
結構大変でリタイアしてしまいました。
ただ、Northanger Abbeyが文庫本で手に入らないので、
原書で読んでみようかななんて思っています。

全小説を読み終えてから「~読書会」を読もうと思っていたのですが、
1冊読むたびに該当部分を読むというのも面白いですね!
自分も読書会に参加してる気分が味わえそうで、
なるほど、その手があったか!という感じです。

よろしければ、是非またお訪ねください。
コメントどうもありがとうございました。

投稿: ANDRE | 2009年3月 5日 (木) 13時19分

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