映画「オーストラリア」
Australia
アメリカ オーストラリア
2008
2009年2月公開
試写会鑑賞
先日、試写会に当選して観てきました。実はバズ・ラーマンは結構ファンです。
時は第2次大戦前夜。イギリス貴族夫人のサラ・アシュレイ(ニコール・キッドマン)は1年間帰ってきていない夫を訪ねて1人、夫の働くオーストラリアへと赴く。彼女はちょっと変わったカウボーイのドローヴァー(ヒュー・ジャックマン)に連れられ、夫の領地であるファラウェイ・ダウンズにたどり着くが、彼女はそこで、何者かに殺されたという夫の亡骸と面会する。
サラは自分に残された夫の財産を守るため、荒れ果てた牧場を立て直す資金として、領地で管理する牛を売る決心をする。オーストラリアの肉牛業界を牛耳るキング・カーニーの差し金で、サラが解雇したフレッチャーらによる妨害にあいながら、ファラウェイ・ダウンズに暮らすアボリジニーと白人との混血少年ナラやドローヴァー達と共に港町ダーウィンを目指し1500頭の牛を引き連れた大移動が始まるのだが・・・。
やがて、物語は戦火に包まれるオーストラリアを舞台に大きく動き始める。
2時間45分という長大な作品なのですが、物語は大きく分けて2部構成になっていて、前半が牛を売るための大冒険&人物紹介を描いていて、後半は第2次大戦を舞台にした人間ドラマが主体になっていました。
僕はこの映画、結構好きですね~。やっぱりバズ・ラーマンとは相性良いみたいです。レトロな映像で映し出されるオーストラリア大陸の映像からラーマン節全開でした。あと、ミュージカル映画の名曲「虹の彼方に」が作品全体を貫くテーマになっていたのもちょっと嬉しかった☆
(ついでに言うと、「オズの魔法使」をほんの一部でも大画面で見られたのが何気にかなり嬉しかったっす。)
ただ、前半のつかみの部分の物語が単純なのに、まだ映画に入りきってないところで怒涛のごとく基本設定を説明されるために弱冠ついていきづらかったかなぁ。
これ、はっきりと前半と後半の物語が分かれているので、1本の映画にしないで、2つの映画に分けちゃっても良かったのではないかと思うんですよね。前半で終わっていたら、それはそれで満足度の高い作品だった気がします。3時間は長いよ・・・。
バズ・ラーマンといえば、とにかく派手な演出を好む監督さんですが、今回はそれが、オーストラリアの大自然に向けられて、広大な自然をこれでもかというくらいにバシバシ見せてくるのは大画面で見ていて気持ちよかったです。
ただ、この監督のCG使いは「ムーラン・ルージュ」もそうだったけど、「作り物」っぽさがとても強く感じられるものなので、せっかくの迫力の場面がどこか嘘っぽい映像になってしまっている場面も多くてちょっともったいない気も。
前半の山場、牛の大群と崖の場面、大迫力ではあったけど、完全にCGな感じだったのがちょいと残念。後半の爆撃シーンも。
アボリジニの扱いに結構注目していたんですが、共存を描くというよりかは、互いに程好い距離を保つというような感じにしてましたね。オーストラリアの差別問題はなかなか深いというのは知っていましたが、混血の子供達の扱いには胸が痛みました。観ようと思って一度レンタルしてきたのに時間がなくて観られなかった「裸足の1500マイル」も観てみようかな。
そして、家族の描き方がちょっと面白かったですね。特に夫を亡くしたばかりのサラ、あなた、夫への愛はなかったのかい!と突っ込みたくなるような展開で・・・。そして、ナラを巡る物語では、血のつながりよりも、愛情がつなぐ絆のほうを重視してましたね。このあたりはちょっと哀しい展開。でも、最後はやっぱり血のつながりに帰っていきましたが。
ストーリー的な話だと、後は、後半部分、離れ離れになった2人の運命やいかに!?といった感じになるものの、無事ってのが早々に分かるだけに特にハラハラさせられることもなく、再会してもたいした感動がなかったですね・・・。
ニコール・キッドマン演じるお嬢様が開拓中の大陸に移動して大冒険というと、「遥かなる大地へ」を思い出さずにはいられないのですが、前半はちょっと似たテイストでしたね。「遥かなる~」はかなり好きな映画なので、設定だけでちょっとワクワクしてました。しかも、「遥かなる~」の原題は「far and away」なんですが(Enyaの主題歌「book of days」の歌詞と一緒!)、「オーストラリア」に出てくる主人公の領地が「faraway downs」なのもちょっとニヤリ。
あと、なんといっても、まさに今最も旬な人物ヒュー・ジャックマンです!アカデミー賞授賞式でのミュージカル・パフォーマンスはミュージカル好きとしては嬉しいことこの上ない演出でしたが(しかもバズ・ラーマン演出!)、この映画ではミュージカル俳優な一面を封印し、ワイルドな男を好演。
でも本音を言うと、ちょっとくらい歌って欲しかったなぁ~と思います。ニコールは歌うシーンあったのにね(←しかも大爆笑モノ。おねだりするナラの目の輝きが見事でした!)。
歌ついでに、エンドロールの主題歌はヒューが歌うのではないかと密かに期待していたのに、なぜかエルトン・ジョン。ここまでずーっとオーストラリアLOVEな映画だったのに、何故ここでUK男のエルトン・ジョン!?
あとこの映画、日本人には色々と複雑ですね・・・。
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» 映画:オーストラリア [よしなしごと]
予告編を観たときはそれほど興味をそそられなかったのですが、このブログで何度も紹介しているテレビ番組やぐちひとりの特集を観て、ちょっとおもしろそう・・・。と迷っていたんです。そんな話を会社の後輩としていたら、彼の奥様が試写会に当選しすぎたらしく、2回も観ないからと試写会の招待状をいただけることになりました。と言うわけで、オーストラリアを試写会で観てきました。... [続きを読む]
受信: 2009年2月27日 (金) 00時10分
» 『オーストラリア』 [ラムの大通り]
(原題:Australia)
----これ観るの、いつもに比べてちょっと遅いよ。
もう公開まで2週間しかないじゃニャい。
「いやあ、3時間近い映画は
どうしても腰が引けてしまうんだよね」
----でも監督がバズ・ラーマンだし、
その凝った映像を観ているだけで楽しんじゃニャいの。
「うん。でも彼の作風がこの叙事詩に果たしてあうのか、
そこが恐れていたところでもあったんだけどね」
----観てみてどうだったの?
「前半は、
たとえばシルエットの主人公たちを
まばたく星空の大地に立たせた姿を大ロングで... [続きを読む]
受信: 2009年2月27日 (金) 06時59分
» オーストラリア [ともやの映画大好きっ!]
(原題:AUSTRALIA)
【2008年・オーストラリア】試写で鑑賞(★★★☆☆)
「ロミオ&ジュリエット」「ムーラン・ルージュ」のバズ・ラーマン監督が、故郷であるオーストラリアの歴史を壮大なスケールで映画化。
ひとりの英国貴族の女性がさまざまな人々と出会いながら、人生を大きく変えていくアドベンチャー作品。
1939年、第二次世界大戦を目前に控えたヨーロッパ。ロンドンで暮らす貴族レディ・サラ・アシュレイ(ニコール・キッドマン)は、1年間オーストラリアに行ったまま戻って来ない夫に会うため、オース... [続きを読む]
受信: 2009年2月27日 (金) 08時42分
» 「オーストラリア」みた。 [たいむのひとりごと]
コピーどおりの壮大でワイルドなスペクタクル作品。燃え上がるロマンスに友情や家族愛、先住民(アボリジニ)によるスピリチュアルな雰囲気までをも漂わせた、何から何までがギュギュギューっと詰め込まれたドラマチ... [続きを読む]
受信: 2009年2月27日 (金) 16時55分
» ☆「オーストラリア」 [★☆ひらりん的映画ブログ☆★]
今週の平日休みは今年初の試写会に行ってまいりました。
最近とんと試写会に当たってなかったので、
いろんなところに送りまくったら、二枚も当たっちゃって、姉貴夫婦に一枚進呈。
やっぱり、ニコール・キッドマン主演作は気合が入るのね、ひらりんは。... [続きを読む]
受信: 2009年2月28日 (土) 03時02分
» オーストラリア [勝手に映画評]
第二次世界大戦直前のオーストラリアが舞台。オーストラリアの所有牧場に来たイギリス貴族婦人が、数々の困難に直面しながらも牧場の運営をする事になると言う話。まぁ、そう言う説明だとイマイチ的な雰囲気も感じますが、オーストラリアの雄大な自然と人間の戦いを描いた、壮大な大河ドラマと言ってもいいと思います。
第二次大戦直前と言えば70年位前。そのころのオーストラリアって、まだまだこんな感じの開拓時代の雰囲気を残していたというのは驚きです。って言うか、オーストラリアは今も地域によっては、開拓時代の雰囲気を残して... [続きを読む]
受信: 2009年3月 1日 (日) 15時38分
» [映画『オーストラリア』を観た] [『甘噛み^^ 天才バカ板!』]
☆3時間近い上映時間なので、もし内容が文芸大作っぽかったら、かったるいなあなどと思っていたのだが、ライトでご都合主義的な、粗も多いが、とても楽しめる娯楽大作なのでホッと安心した。
だからと言って、『紀元前一万年』ほどの凄まじい逸脱はないよ^^;
オーストラリアに牧場の経営に渡ったまま帰国しない夫を訪ねて、過酷な成り行きでオーストラリアの大牧場を管理することになった英国貴婦人の冒険と恋愛と家族の物語だ。
主人公のサラを、ニコール・キッドマンが「ツンツン」と気位高く演じている。
対するヒ... [続きを読む]
受信: 2009年3月 1日 (日) 16時02分
» オーストラリア [悠雅的生活]
虹の彼方に・・・ [続きを読む]
受信: 2009年3月 1日 (日) 19時41分
» 『オーストラリア』を観たぞ〜! [おきらく楽天 映画生活]
『オーストラリア』を観ました「ムーラン・ルージュ」のオーストラリア人監督バズ・ラーマンが、同郷のニコール・キッドマンとヒュー・ジャックマンを主演に迎え、戦時下の当地を舞台に綴るアドベンチャー・ロマンです>>『オーストラリア』関連原題: AUSTRALIAジャンル...... [続きを読む]
受信: 2009年3月 1日 (日) 23時37分
» オーストラリア [LOVE Cinemas 調布]
2月のトリを飾るのは『オーストラリア』。主演は昨年『ライラの冒険/黄金の羅針盤』がヒットしたニコール・キッドマン。共演は先日のアカデミー賞で司会を務めたヒュー・ジャックマンです。更に監督は『ムーラン・ルージュ』のバズ・ラーマン。実は3人ともオーストラリア人(ニコールはアメリカとの二重国籍)なので、故郷を描いた作品ということになります。... [続きを読む]
受信: 2009年3月 2日 (月) 01時52分
» 『オーストラリア』 [cinema!cinema! ミーハー映画・DVDレビュー]
ニコール・キッドマン、ヒュー・ジャックマン主演のドラマ『オーストラリア』を観ましたー。
バズ・ラーマン監督作品ってことで期待は大きかったんですけど、スケールの大きさは感じつつもどうも自分には合わない作品かなーという気もしてみたり。。。
********************... [続きを読む]
受信: 2009年3月12日 (木) 01時07分
» 「オーストラリア」大味な大作、自分大好きレディ大活躍 [soramove]
「オーストラリア」★★★☆
ニコール・キッドマン 、ヒュー・ジャックマン 主演
バズ・ラーマン 監督、2008年、165分、オーストラリア
「第二次世界大戦直前のオーストラリアに、
イギリス人貴族の主人公がやって来た、
オーストラリアの近代史と恋愛をも描いた
欲張りなところが大味に感じる。」
車の移動でも北部ダーウィンから2日くらいかかる、
辺鄙な土地で夫の意思を継いで
領地と仕事を守り抜く女性の
大河ロマンといった内容。
平気で使用人に指図しながら... [続きを読む]
受信: 2009年3月15日 (日) 22時18分
コメント
こんばんは。
髭を剃って舞踏会に現れた時には、「うひゃ~~ぁ。か~~っこえ~」と
年甲斐もなく、声が出てしまいました(^^ゞ
何もそんなところで、無造作に身体洗わなくってもぉ…とか、
ストーリーそっちのけで、そんなところばっかり印象に残ってしまいそう(笑)
キング・ジョージの存在感とか、ナラのピュアな表情とか、over the rainbowとか、
あれもこれも蘇るんですが、どうしても、アカデミー賞授賞式を観た直後のせいで、
階段の上にすら~っと立ってたら、シルクハット被って、歌い踊りながら降りてきそう…いや、そうしてほしい、とか
無駄にそんなことばっかり考えてしまいました。
これが、映画の感想でしょうか・・・(恥)
投稿: 悠雅 | 2009年3月 1日 (日) 19時40分
初めまして。
ネットサーフィンをしていて、こちらへ辿り着きました。
書かれている文章がとても読みやすくて、
印象に残りましたのでコメントさせて貰います。
僕もこの作品を観てきました。
観終わって思ったことは、やっぱりバズ・ラーマン監督作品は
好きだなぁ…ということでした。
クラシック映画とミュージカル映画を大切に想っている気持ちが
伝わってきたんですよね。
1本で2つの作品を観れたお得感もあったり。
Andreさんの『遥かなる大地へ』のくだりには思わず、
『おぉ、なるほど!』と頷いてしまいました。
これからもちょくちょく読ませて頂きますね。
投稿: Elijah | 2009年3月 1日 (日) 20時02分
>悠雅さん
コメントありがとうございます!
キング・ジョージやナラなど
ちゃんとポイントを押さえた上ですので、
しっかりとした感想だと思いますよ!
アカデミー賞でのあのパフォーマンスの後だと、
何かやってくれるんじゃないかと
嫌でも期待してしまいますよね。
ニコールも歌ったことだし、
ヒューにも歌のシーンを作って欲しかったですね~。
* * *
>Elijahさん
はじめまして。
コメントいただきましてどうもありがとうございます。
バズ・ラーマンの溢れんばかりのエンタメ大好き!な部分と
作品で描こうとしている内容とのギャップのせいか
世間的な評価はイマイチですが、
自分もこれは結構好きな1本でした。
『遥かなる大地へ』はとても好きな作品で、
ニコール主演の開拓ものということで、
観る前から無駄にワクワクしていたせいか、
「faraway」という語にとても反応してしまったんですよね。
マイペースで勝手気ままなブログですが、
よろしければ今後ともお立ち寄りください。
投稿: ANDRE | 2009年3月 1日 (日) 22時46分