映画「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」
away from her 2006年 カナダ 08年5月公開 DVD鑑賞 |
公開時に何かの記事を読んで気になっていた作品。監督は女優のサラ・ポーリー。
結婚して44年のフィオーナとグラントは冬には雪で閉ざされてしまう人里離れた湖畔の家で暮らしていた。あるとき、フィオーナにアルツハイマーの症状が現れるようになり、彼女は自らの意思で介護施設に入居してしまう。
介護施設の決まりで、里心がつかぬよう入居後30日は会う事ができなかったのだが、グラントが1ヶ月後に施設を訪れると、フィオーナは彼のことを認識できないばかりか、同じく施設に入居している車椅子の男オーブリーと仲睦まじくする姿であった。
若い頃、勤務先の大学で生徒達と情事を重ねていたグラントはフィオーナが自分に罰を与えているのではと感じながらも、毎日のようにフィオーナのもとを訪ねるのだが・・・。
なんといってもフィオーナを演じるジュリー・クリスティがとにかくキラキラと輝いていました。恋する乙女な姿も、ちょっと落ち込み目な姿も、場面ごとに変わっていくフィオーナの内面がじんわりと表に出てくるような演技は必見。
一方のグラント、色男とはあまり思えない容貌なんですが、気のせいでしょうか・・・。
ストーリーはとしては、アルツハイマーとはいえ、すっと彼の一歩先を歩むフィオーナと、それを必死につかんでいようとするグラントの独りよがりな感じが皮肉たっぷり、切なさたっぷりといった感じでした。
これ、割と色々な解釈ができる物語だと思うんですが、(ネタバレっぽくなるので反転します。)グラントの行動は、やはり、そこまで気があるわけではないけれど、オーブリーを施設に戻すために自らが犠牲になって彼女を誘惑しようみたいな心理が働いていたんですかねぇ。それとも単に昔の遊び癖が顔を出しただけ??(反転終わり)
終わり方も色々な解釈ができるんですが、このラストが唐突に終わってしまった感が強くて、一瞬「?」となってしまったんですよね。果たしてグラントはこれで肩の荷が下りることはあったのかどうかがとても気になるんですが、個人的にはそれよりも、オーブリーのことのほうが気になってしまって、えぇ!?なラストでした。
悪い人生ではなかったと思ってるのは男だけ、みたいな台詞がとても印象に残る作品で、まだ結婚は先になりそうな自分ですが、頭の片隅にでも覚えていようかなと思いました。この看護婦さんをはじめとして、脇役もキラリと輝く良い映画だったと思います。
監督のサラ・ポーリーは自分とほとんど年齢が変わらないので、老人問題に対する視線の位置が近いせいか、観やすい作品だったのですが、それこそ、実際の結婚45年のご夫婦の方なんかが観たときにどのように感じるのかなというのがちょっと気になる作品でもありました。
<参考過去レビュー>
詩人の妻がアルツハイマーに・・・。出演者4人がとにかく素晴らしい1本。
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