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2009年3月26日 (木)

映画「リリィ、はちみつ色の秘密」

The Secret Life of Bees

the secret life of bees

アメリカ

2008

09年3月公開 

劇場劇賞

<画像は洋書原作より>

公開を楽しみにしていたのに、あまりプロモーションもされていない様子でちょっと淋しい作品。主演のダコタ・ファニングをはじめとして、女優陣に注目です!

舞台は公民権法が制定されたばかりの1964年のアメリカ。主人公のリリィ(ダコタ・ファニング)は、4歳の頃、父と口論になっている母親を誤って銃で撃ち殺してしまい、それ以来、そのトラウマに悩まされながら、桃農園を営む冷淡な父T・レイ(ポール・ベタニー)と過ごしていた。

リリィが14歳になった日のこと、公民権法が制定され、選挙権が得られることに喜ぶ家政婦のロザリン(ジェニファ・ハドソン)と2人で町を歩いていたリリィの目の前で、ロザリンは白人達から暴力を受けた上に、警察に連行されてしまう。

翌日、父ともめたリリィは、置手紙を残し、病院に入院中のロザリンを連れ出し旅に出る。亡き母の遺品の聖母像に記されていた町にやってきた2人は、そこで、その聖母像のラベルが印刷されたハチミツが売られているのを見つけ、そのハチミツを作っている黒人女性が暮らすという養蜂場を訪ねる。

やがてリリィとロザリンの2人は養蜂場を営むオーガスト(クイーン・ラティファ)とその妹である、音楽教師のジューン(アリシア・キーズ)とメイ(ソフィー・オコネドー)たちの家に仕事を手伝いながら住まわせてもらうようになるのだが・・・。

ダコタ・ファニングが大人になってる!!子役の成長は早いですねぇ。ティーンになった名子役が今しかできない役を演じ、子役から女優へとはばたく貴重な姿を収めただけでも価値のある作品だと思います。ただ、泣きの演技が完全に子役のそれだったので、この後、どうやってその辺りから脱却していくのかが注目されます。

そして、クイーン・ラティファ、ジェニファ・ハドソン、アリシア・キーズの3人が並ぶ姿は、いつ彼女達が歌いだすのではないかと思ってしまうほどに贅沢な歌姫夢の競演状態(実際、ちょっとだけ歌ってくれます)。そして、ソフィー・オコネドーを加えたこの黒人4女性たちの演技は本当に素晴らしかったです!

ストーリーに関してはほとんど前知識なしで鑑賞したんですが、割と重めのテーマが目白押しでしたね。女優陣のしっかりした演技に支えられて、派手さは無いけれど、色々なことを考えさせられ、泣いて、笑って、感動させてくれて、純粋に観て良かったなと思える良作だったと思います。

上映館が少ないのがちょっともったいないですねぇ。

原題は、ミツバチの隠された生態、みたいな感じなんですが、タイトルがまんまストーリーになっていて、ミツバチの生態が、女性たちの人生に被さってくるのはなんとも味わい深かったです。

(ネタバレな感じなので反転させてください)

ただストーリー的には父親の扱いがちょっと不満。母を殺してしまった我が娘を14歳まで育てた彼への何の感謝もなく、完全に捨てられてしまうようなラストはどうなのかな、と。リリィがここに残りたいと言ったときに、オーガストが父の元に帰るように言うのかなと思ったんですが、3人の母親展開でした・・。この父親も、ちょっと寂しい人間で、そこまで憎めなかっただけに、色々と思ってしまいました。最近のアメリカ映画って、血のつながった親子のつながりよりも、深い愛情によってつながれた絆のほうを重視する作品が非常に多いと思います。

(ネタバレ終わり)

選挙権がもらえると喜んだ女性が男性達から暴行を受け、さらにこの作品で描かれるような理不尽な出事件が繰り返されていた時代、それからわずか45年で初の黒人大統領が誕生するとは誰が予想できたでしょうか。

黒人達に囲まれ、しっかりと愛されながら、自立していく白人の少女という題材が映画で描かれるようになったのも、そんな時代が反映されているのかなと思いました。そういえば「ベンジャミン・バトン」も黒人一家に育てられる少年の映画でしたね。

ところで、またまた邦題が変なことになってる映画です。「はちみつ色の秘密」って・・・。なんだかよく分からないですよねぇ。しかも「リリィ」って入ったために、謎度がアップしてます。

そうそう、TOHOになってからの初シャンテでした。(一応メモ)

* * *

参考過去レビュー

キャストが被ってる上に、時代背景や、強い黒人女性が出てくるという点でも共通する2作品を。あ、どっちもミュージカルだ!

映画「ヘアスプレー」

ここでもクイーン・ラティファは白人の少女を温かく包む強い母を熱演。てか、「ヘアスプレー2」が製作されるという話が出てますが、それはちょっとご遠慮いただきたい・・・。

 

映画「ドリーム・ガールズ」

近頃不幸な事件で話題になってしまったジェニファ・ハドソンですが、この映画を見たとき、大物新人が現れた!とかなりの衝撃を受けました。オスカー受賞は本当に嬉しかったです。

 

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コメント

こんにちは。
この作品、地味ながら味わい深いものでしたね。
孤独な少女がようやく自分の居場所を見つける過程を
とても丁寧に描いていたと思います。

ところで私もリニューアルされてから初めての日比谷シャンテでした。
それほど変わったようにも思えなかったのですが…
ネットで予約購入ができるようになったみたいですね!

投稿: zooey | 2009年4月 8日 (水) 22時55分

>zooeyさん

コメント、TBありがとうございました!

この作品は、
安心して見られる演技力を持った出演者たちが
それぞれにとても良い演技を見せてくれたのも
良かったと思います。

良い作品なのに、
上映館数も少なく、あまりPRもされてないのが
非常にもったないと思います。

シャンテ、TOHO関連のサービスが使えるというだけで
映画館自体は変わった印象はありませんでしたね。
TOHOになっても上質の単館系作品を上映してくれるようなので
ほっと一安心です。

投稿: ANDRE | 2009年4月11日 (土) 11時35分

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