映画「僕らのミライへ逆回転」
be kind rewind アメリカ 2008 08年10月公開 DVD劇賞 |
ジャック・ブラック主演のゴンドリー監督のコメディということで、どのような作品になるのかドキドキで、公開時から気になっていた1本。
主人公ジェリーはレンタルビデオ店に入り浸ってはそこで働く友人のマイクとつるんで遊んでいた。あるとき、ビルの撤去を言い渡されたビデオ店の店主のフレッチャーがマイクに留守を頼み旅に出る。
そんな折、ジェリーがある事件で全身に磁気を帯びてしまい、レンタル店のビデオが全て再生不可能になってしまう。慌てた2人は自分達で勝手に作品をリメイクしてそれを貸し出そうと思いつくのだが・・・。
色々な映画を勝手にリメイクして、そのパロディっぽさをひたすら笑う映画なのかと思っていたんですが、後半には予期せずしてハートウォーミングな展開が待っていて、思わずウルっときてしまいました。なんか普通に良い映画でしたねぇ。
前半部分を見ながら、結局は人を騙してる2人の姿に、著作権を気にしたり、ちょっと嫌悪感を感じたりもしたんですが(つまらない大人でスイマセン)、中盤以降は、その気になる部分が上手い具合にカバーされたのが良かったです。
でもって、そこから、一気におバカコメディ映画から、「映画」への愛に溢れた作品に変わっていく様は観ながら、胸が熱くなる場面の連続でした。
映画のことなんてほとんど知らない店員がいる一方で、数百本の作品をオリジナルを見返すことなく次々とリメイクできてしまうような店員がいるレンタル店って良いですよね。彼らが心の底から映画を愛してるんだということがヒシヒシと伝わってきます。
そして、リメイクしているときの彼らが本当に楽しそうなんですよ!大人の事情を気にしながら観てしまった自分でも、あの生き生きとした表情には完全にノックアウトされてしまいました。
そこに終盤のあの展開!
高校1年の文化祭、我がクラスは映画制作をしたのですが、それがあまりに楽しかったために、なんと、クラス替えがあったにもかかわらず、翌年、同じメンバーで再び映画制作をしてしまったという思い出があります(しかも2年目に声かけて人を集めたの自分)。
安っぽくても、内容がガタガタでも心の底から皆で楽しんで、苦心して、泣いたり笑ったりを繰り返して出来上がった作品が初上映されたときの感動はとても言葉にはできないもので、この映画を観ながら、当時のことを懐かしく思い出し、ちょっとホロリときてしまったんですねぇ。
完成した作品を一心に見つめる人々の顔の輝きが本当に良かったです!!
どんなに安っぽくても作り手が一生懸命作った作品というのは、商魂たくましい娯楽大作にも劣らずに人の心をつかむことができるんだという監督からの強いメッセージも感じられる作品でしたね。しかも、ラストに製作する作品はいわゆる娯楽作品とは違う1本だし。
VHSがキーになってる作品ですが、近年のアクション映画に多用されるCGがあまり好きではなくて、80年代頃の試行錯誤の結晶な手作り特撮の数々を愛するものとしては、アナログもまだまだ捨てたものではないというメッセージにもちょっと共感。そういいながら、ピクサーのCGアニメも好きという矛盾もあるんですが・・・。
「ゴーストバスターズ」や「ラッシュアワー2」はアホアホなリメイク撮影シーンががっつりと出てきて、もう大爆笑ものなんですが、著作権に厳しいD社の「ライオンキング」にまで果敢に挑戦したのには驚きました。この映画自体がかなりギリギリのところで作られてるんじゃないでしょうか・・・。
あと、かなり好きな「ドライビング Miss デイジー」のシーンも嬉しかったですね~。
ま、思い出分が追加されてかなりの好評価になってるんですが、あんなビデオをレンタル店で出されたら普通は怒り心頭するのでは?思うので、あまりにできすぎな展開にもうちょっと説得力があると良かったかなとは思います。
ところで、原題は「返却時には巻き戻しを」という意味ですが、邦題は頑張ってつけられてるものの、なんだかよく分からない感じのタイトルです。これだと「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に邦題をつけたみたいな感じですよねぇ。
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