映画「ナイロビの蜂」
the constant gardener イギリス ドイツ 2005 06年5月公開 DVD劇賞 |
公開時、レイチェル・ワイズのアカデミー賞受賞で気になり、観たいなと思っていたものの、だらだらと時間ばかりが過ぎ去り、ほとんど3年越しでついに鑑賞。
主人公ジャスティン(レイフ・ファイン)は妻のテッサ(レイチェル・ワイズ)と共にナイロビに駐在する英国の外交官。あるとき、妻のテッサが遺体で発見される。彼女はジャスティンには内緒で製薬会社の悪事を暴くため一人資料を集めていたのだ。
妻の死後にその事実を知ったジャスティンは、テッサの訪れた地をたずね、彼女が暴こうとした真実に近づいていく・・・。
社会派サスペンスに夫婦愛の要素をからめた作品で、映像もドキュメンタリーっぽい撮り方をしていたりして、見ごたえのある一本でした。
物語のテンポも素晴らしくて、重めの内容ながら、あっという間の2時間。
大地の雄大さ、人々の素朴さ純粋さ、そして、貧困と、アフリカの美しい部分を見せながらその抱える問題点を押し付けがましくならずに、しっかりと映し出す作品で、観終わった後には色々なことを考えさせられました。
ただ、「夫婦愛」の部分、個人的にはあってもなくても良かったんですが・・・。
ガーデニング好きの真面目なジャスティンが、妻の跡を辿りながら、その遺志を引き継ぐ作品なのかと思いきや、ただ単に、妻が隠した出来事が何なのかを知りたいだけみたいな感じになってしまって、ラストシーンもちょいと肩透かし。テッサはそんなこと望んでないと思うんですが。妻の死に直面したショックからちょっと衝動的な行為に出てしまったように感じてしまいました。
ここで描かれるできごとには、ただただ衝撃を受け、怒りさえ感じる部分もありますが、現実に、自分達が何気なく暮らしている毎日を支えている裏には、大なり小なり本当にこういうこともあるんだろうな、というようにも思えるため(てか、そういうのがあるという話しも聴いたことある)、観終わった後は非常に複雑な気持ちでした。
あと、「ただ1人だけを救えるか」という問題も色々と難しい。幼少時、日本よりはずっと貧しい国に住んでいたことがあるため、そういう難しさは子供の頃から何度か耳にしたこともありますが、手助けしたいという気持ちも、それは単なる偽善ではないかという意見もどちらも分かるだけに、もどかしい気持ちでいっぱいになります。最初は40キロ歩く子供達を車に乗せることに反対した主人公が、妻の跡を追ううちに、1人の少年を救おうと必死に訴える姿はとても印象的でした。
重そうな作品なので、なんとなく避けていた同監督の「シティ・オブ・ゴッド」も観てみようかな。
そうそう、この映画、ビル・ナイや、ピート・ポスルスウェイトといた英国映画を引き締める常連さんたちが、しっかりと脇を固めていたのも嬉しかったです。
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