映画「バーン・アフター・リーディング」
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burn after reading
アメリカ
2008
09年4月24日公開
劇場鑑賞 |
旅先の奈良で、ぶらりと映画館の前を通りかかると、ちょうどレイトショーがはじまるところ。どうせ夜一人ですることもないので、ここぞとばかりに観てきちゃいました。
アカデミー賞受賞の「ノー・カントリー」が記憶に新しいコーエン兄弟の新作で、なにやら楽しげな感じのコメディのような感じの予告編を見て気になっていた作品です。
CIAを辞めたオズボーン(ジョン・マルコヴィッチ)はCIAの暴露本となるような回顧録の執筆を決意し、その構想を練る日々を過ごしていた。
オズボーンの妻ケイティ(ティルダ・スウィントン)は財務省連邦保安官のハリー(ジョージ・クルーニー)との情事を重ねていた。
そのハリーは目下ネットの出会い系サイトにハマリ中の変態プレイボーイ。
そして、ハリーと同じく出会い系サイトでの出会いを求めているスポーツジム勤務のリンダ(フランシス・マクドーマンド)は全身整形に憧れを抱いていた。
あるときスポーツジムでCIAの極秘情報の入ったCD-Rの落し物が発見され、ジムで働く陽気なチャド(ブラッド・ピット)は大興奮。持ち主を脅せば大金が手に入るのではないかとリンダと2人で作戦を練りはじめる。
微妙にすれ違う人間模様が最後にはとんでもない大事件へと発展していく・・・。
予告の感じからもっとアメリカンなコメディだと思ってたんですが、そこはコーエン兄弟、一筋縄ではいきません。コテコテのコメディを期待していくと、多分、かなりの肩透かしを食らうことになるのではないかと。笑いの質がちょっと曲者なのです。
てか、これさ、TVとかであんなに大量にCM流して全国公開するような作品じゃないですよねぇ。ミニシアターとかで、ひっそりと上映したほうが良いと思います。あのCMや予告編で期待して、ブラピ主演のコメディとか思って観にいくと、ガッカリする人が多いのではないでしょうか。
この作品の笑い、ちょっとブラックで皮肉たっぷりで、癖のあるキャラがたくさん出てきて、意外なキャストに意外な台詞を言わせたり、細かいネタで笑わせようとするところも多くて、雰囲気としては邦画のコメディのテイストだよな~と思いました。「時効警察」なんかの三木聡とか、クドカンとか。
ただ、台詞の意外性とかが字幕だとどうしても伝わりにくい。頑張って翻訳してるんですが、それが逆に、寒い感じになってしまっているんですよね。これは多分、英語での台詞回しと、その喋り方なんかがキーになっているので、字幕の限界なのではないかと。
でも映画としては嫌いじゃありません。笑いどころをちゃんと押さえた上で改めて見ると多分、もっともっと楽しめるんじゃないかと。
あと、オチが、とってもアメリカンジョーク。この映画に語り手がいたとしたら、最後は「な~んてね!」と言って、肩をすくめて両手をあげそうな感じのラスト。この辺も笑いの感覚の違いなのか、ちょいと分かりづらいよ・・・。
分かりづらいといえば、「なぜロシア?」ってのもちょっと分かりづらい。
基本的に、「どうしようもなく下らないことをやってるのを、とーっても真剣に撮影してみました。」って感じも笑いどころなんだろうけど・・・。
ストーリー的に、どういう風に転がるのかが全く分からないまま、複数のストーリーが平行して進んで、それぞれの絡みが明らかになってくるまで、頭の中はハテナマークがいっぱいでした。しかし、それが一つに繋がるときに爽快感があったかといえば、そうでもなくて、なんだか良く分からない印象が最後まで続いてしまったという・・・。
でも、途中の衝撃的な展開から物語は一気に面白くなったと思います!コーエン兄弟は容赦ないですね~。
この映画のブラピ、個人的には「ベンジャミン・バトン」よりもずーっと良かったと思います。こういう軽いノリのキャラの方が似合ってるんじゃないですかねぇ。
ギャップの点では、ジョージ・クルーニーのほうがインパクト大でしたよねぇ。これ、PG12指定でも大丈夫なのか!?
* * *
参考過去レビュー
この映画を見ていて思い出した作品。
映画「ダーウィン・アワード」
不可解な事件の裏に潜まれたバカな真実を探る話。
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» バーン・アフター・リーディング [LOVE Cinemas 調布]
『ノーカントリー』のコーエン兄弟監督作品。キャストがまた豪華でブラッド・ピット、ジョージ・クルーニー、ジョン・マルコヴィッチ、フランシス・マクドーマンド、ティルダ・スウィントン、リチャード・ジェンキンス…。全く呆れるほどで、よくもまあここまで集めたものと感心するほどです。(笑)アップテンポな予告編の楽しさも手伝って、アホのブラピを見に行ってきました。... [続きを読む]
受信: 2009年4月30日 (木) 01時41分
» バーン・アフター・リーディング/ブラッド・ピット [カノンな日々]
コーエン兄弟のクライム・コメディというだけでも十分興味津々なのに、出演者も豪華な顔ぶれなんですよね。この俳優たちでコーエン兄弟のあの独特なブラックな世界が観られるかと思うとワクワクしちゃいます。宣伝でブラピが演じるチャドの筋肉オタクのおバカキャラがたくさ....... [続きを読む]
受信: 2009年4月30日 (木) 22時48分
» 『バーン・アフター・リーディング』 [ラムの大通り]
(原題:Burn After reading)
「う〜ん。観てから時間をおきすぎてしまったこともあって、
ちょっと喋りづらくなったな」
----ん?どういうこと?
これってコーエン兄弟の新作だよね。
確か彼らのコメディって好きなはずじゃなかったっけ。
「それはそうだよ。
特に『赤ちゃん泥棒』は最高。
この映画だって、それに負けやしない。
しかし、同じクライム・コメディでありながら
この映画は、とにかく話が混み入りすぎている。
登場するのは
i-podなしでは生きられない単細胞のジム・トレーナー、
... [続きを読む]
受信: 2009年5月 1日 (金) 00時02分
» バーン・アフター・リーディング [そーれりぽーと]
予告編を観る限り、豪華キャストがコーエン兄弟節でゴチャゴチャになって笑わせてくれそうで楽しみにしていた『バーン・アフター・リーディング』を観てきました。
★★★★★
どうしよう、今年★4個以上は何本目やろ。
こんなに連発してたら、みんなうちのブログを信用してくれなくなりそう。
先週★5つを2本も出したのに、今回また4.5個です。
でも面白かったんだからしゃーないよね。
(…明日の一本目も4個以上出してしまいそうな予感)
コーエン兄弟の映画は好き嫌いははっきり分かれて、苦手な人には受付けられないか... [続きを読む]
受信: 2009年5月 1日 (金) 00時36分
» 『バーン・アフター・リーディング』 [Sweet*Days**]
監督:イーサン・コーエン、ジョエル・コーエン
CAST:ジョージ・クルーニー、ジョン・マルコヴィッチ、ブラッド・ピット 他
CI... [続きを読む]
受信: 2009年5月 1日 (金) 05時47分
» 「バーン・アフター・リーディング」見所はブラッド・ピットの鼻... [soramove]
「バーン・アフター・リーディング」★★★
ジョージ・クルーニー 、フランシス・マクドーマンド 、ブラッド・ピット 、
ジョン・マルコヴィッチ 出演
イーサン・コーエン 、ジョエル・コーエン 監督、2008年、96分、アメリカ
「CIAの機密情報が書き込まれたCD-ROMが
スポーツジムのロッカーに置き忘れられ、
それに関わる人達の運命を狂わせていく、
偶然のジェットコースタームービーだけど、
それ程面白くない」
ブラッド・ピットが嬉々として
単純な筋肉バカ... [続きを読む]
受信: 2009年5月 1日 (金) 08時15分
» 「バーン・アフター・リーディング」みた。 [たいむのひとりごと]
「おバカ」はブラット演じるチャドだけかと思ったら、揃いも揃ってみーんなヘン。それこそ物語全体的に「バカなっ!」という感じで、タジタジしてしまった最終的なオチには「そっか... [続きを読む]
受信: 2009年5月 1日 (金) 17時47分
» バーン・アフター・リーディング [めでぃあみっくす]
読んだら燃やせ。この映画を見終わるとこのタイトルがこのお話の「戒め」であることが十分に理解できるのではないでしょうか。
『ノーカントリー』でよくやく一般からも認識されたとはいえ、基本的にブラックなコメディばかりのコーエン兄弟。不慣れな方には厳しかったかも....... [続きを読む]
受信: 2009年5月 1日 (金) 20時48分
» バーン・アフター・リーディング [シネマ大好き]
昨夜、試写会で「バーン・アフター・リーディング」を観た。何重にもからみ合う人間関係。一体どこへ向かうのか分からない展開とブラックなユーモアが面白かった。 CIAの情報分析官オズボーン(ヴィッチジョン・マルコ)は、職務の変更を言い渡されたことに怒ってCIA..... [続きを読む]
受信: 2009年5月 1日 (金) 21時19分
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アカデミー賞に輝いた「ノーカントリー」のジョエル&イーサン・コーエン兄弟監督の最新作で、今回はガラリと趣向を変えた犯罪コメディ作品。
物語:アメリカの首都、ワシントンDC。この世界の政治の中心地ともいえる街のフィットネス・センターで働く、脳ミソが筋肉で...... [続きを読む]
受信: 2009年5月 2日 (土) 03時16分
» バーン・アフター・リーディング [★YUKAの気ままな有閑日記★]
豪華キャストのクライム・コメディ見逃せないわ〜【story】CIAの機密情報が書き込まれた1枚のCD-ROMを、勤務先のフィットネスセンターで拾ったチャド(ブラッド・ピット)とリンダ(フランシス・マクドーマンド)。そのころ、元CIA諜報員のオズボーン(ジョン・マルコヴィッチ)は、機密情報の紛失にうろたえていた。一方、オズボーンの妻ケイティ(ティルダ・スウィントン)は、財務省連邦保安官ハリー(ジョージ・クルーニー)と不倫中で― 監督 : ジョエル、イーサン・コーエン兄弟 『ノーカントリー』【c... [続きを読む]
受信: 2009年5月 2日 (土) 13時02分
» [映画『バーン・アフター・リーディング』を観た] [『甘噛み^^ 天才バカ板!』]
☆・・・いや、面白かったですよ^^
私は、コーエン兄弟のデビュー作の頃から知っていて、その作風を、「カルトに至れない予定調和」と思っていた(る)。
同時期に、D・リンチが大活躍していて、私はそちらに魅かれていたので、そのリンチの「ケレン」をつまみ食いして、小奇麗に作り上げたようなコーエン兄弟の作品の数々は、ちょいと胡散臭いなあと思っていた。
『ミラーズ・クロッシング』なんて、かなりカッコ良い作品だと思うが、諸手を挙げて賞賛するには抵抗があった^^;
しかし、その後、コーエン兄弟は、あ... [続きを読む]
受信: 2009年5月 5日 (火) 09時58分
» バーン・アフター・リーディング [必見!ミスターシネマの最新映画ネタバレ・批評レビュー!]
[バーン・アフター・リーディング] ブログ村キーワード 評価:4.0/10点満点 2009年41本目(36作品)です。 本当は3.5にしたかったですが、各出演者の壊れっぷりに敬意を表して雨区評価をしました。 飲酒問題が理由で降格左遷されたことに腹を立て、勢いでCIAを退職した..... [続きを読む]
受信: 2009年5月 5日 (火) 23時55分
» ★「バーン・アフター・リーディング」 [★☆ひらりん的映画ブログ☆★]
今週の平日休みは、久しぶりに「チネチッタ川崎」で鑑賞。
駐車場が3時間無料なのは助かるよーーー。
ジョージ・クルーニーとプラピのコンビは「オーシャンズ〜」だよねーー。
[続きを読む]
受信: 2009年5月 8日 (金) 03時24分
» 『バーン・アフター・リーディング』を観たぞ〜! [おきらく楽天 映画生活]
『バーン・アフター・リーディング』を観ました『ノーカントリー』でアカデミー賞作品賞ほか主要3部門などを受賞したジョエル、イーサン・コーエン兄弟が放つクライム・コメディーです>>バーン・アフター・リーディング』関連原題: BURNAFTERREADINGジャンル: コメデ...... [続きを読む]
受信: 2009年5月18日 (月) 23時12分
» 『バーン・アフター・リーディング』 [cinema!cinema! ミーハー映画・DVDレビュー]
クセモノ俳優ばかりが集まった感のあるコーエン兄弟の新作『バーン・アフター・リーディング』を観ましたー。
個人的には『ノーカントリー』よりもこういう作風の方が好きかも。
********************
『ファーゴ』『ノーカントリー』のコーエン兄弟がブラッド・ピット、... [続きを読む]
受信: 2009年5月19日 (火) 22時10分
» バーン・アフター・リーディング [★★むらの映画鑑賞メモ★★]
作品情報
タイトル:バーン・アフター・リーディング
制作:2008年・アメリカ
監督:イーサン・コーエン、ジョエル・コーエン
出演:ブラッド・ピット、ジョージ・クルーニー、ジョン・マルコヴィッチ、フランシス・マクドーマンド、ティルダ・スウィントン
あらすじ:CIAの機密情報が書き込まれた1枚のCD-ROMを、勤務先のフィットネスセンターで拾ったチャド(ブラッド・ピット)とリンダ(フランシス・マクドーマンド)。そのころ、元CIA諜報員のオズボーン(ジョン・マルコヴィッチ)は、機密情報の紛失にうろたえて... [続きを読む]
受信: 2010年7月30日 (金) 01時40分
コメント
こんにちは~♪
『どうしようもなく下らないことをやってるのを、とーっても真剣に撮影してみました。』
そういうノリも楽しめれば良かったのですが、私はあくまでクダラナイなぁ~と思っちゃいました(汗)
仰るように笑いの質も曲者で、個人的には失笑に近かったですし。
これはコーエン監督をお好きな方にはツボがあるのでしょうが、万人には伝わり難いですよね~
でもキャストは楽しめました!ブラピのチャドはハマっていましたよね
投稿: 由香 | 2009年5月 2日 (土) 13時08分
>由香さん
コメントどうもありがとうございます。
自分も、内容としては
くっだらないな~と思いながら見てましたね~。
失笑は確かに多かったのですが、
割と字幕の日本語がいけてないために、
笑うに笑えない場面が結構あったように思います。
ブラピ、
ベンジャミン・バトンよりもこちらのほうが
ずっと良かったように思います。
割とこの路線で売り出しても
良い感じでいけるのではないかと思います。
今さらおバカなラブコメに出てみるとか。
投稿: ANDRE | 2009年5月 3日 (日) 00時31分
この映画のブラピが「ベンジャミン・バトン」よりもずーっと良かった…、とはまた大胆なご意見ですね・・・。こんな軽いコメディーもこなせるんだという役者としての幅広さに感心しましたが・・・。私は、この映画、退屈してみました。したがって、ブログには書いてません。
投稿: 流石埜魚水 | 2009年5月 8日 (金) 19時19分
>流石埜魚水さん
こちらにもコメントいただきまして
どうもありがとうございます。
「ベンジャミン・バトン」が作品としても
そこまでハマることができなかったので、
今回の年齢を全く感じさせずに
軽い男を生き生きと演じているブラピを見て、
こちらのほうが自分の中ではしっくりときてしまいました。
投稿: ANDRE | 2009年5月10日 (日) 01時27分