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2009年4月 6日 (月)

「沖で待つ」 絲山秋子

沖で待つ (文春文庫)

沖で待つ

絲山秋子

文春文庫 2009.2.
(original 2006)

芥川賞の受賞の表題作を含む3作品を収録した作品集。

一番面白かったのは、芥川賞作品かなぁ。

全体的な印象としては、働く人々を主題にすえているので、学生の自分にはちょっと入り込みづらい部分もあるんですが、表題作にはかなり共感できる部分があったので結構お気に入りです。

ただ、ちょっと文体が説明的すぎる気がしないでもありません。情景だけで十分描写されているのに、わざわざその描写が何を示しているのかを丁寧に書いてしまうんですよねぇ。

以下作品ごとに感想。

・「勤労感謝の日」

失業中の主人公の過ごす勤労感謝の1日を描く。

この手の作品は、共感要素が多いほど面白いんだろうなと思うのですが、自分はあまりに共通点がなさすぎるので、こういう環境の人はこういうことを思うのかとフムフムと読む感じになってしまいました。結構ズバっと毒を吐く感じが面白い。

・「沖で待つ」

同期入社で一緒に福岡の支店に配属になった太っちゃんとの男女の仲を越えた友情を描く。

正直、これが芥川賞なのかという疑問もあるのですが、内容としては結構好きな作品でした。なんといっても、以下の台詞が良かった!

「同期って、不思議だよね」

「え」

「いつあっても楽しいじゃん」

これ、本当に的を射た言葉ですよね。大学院でも相当上の学年になってしまった自分なのですが、同期で一緒に入学した仲間と会うと、なんともいえない居心地の良さがあります。大学のサークル仲間もそうですよね。同期ということで、共に苦楽を味わった連帯感がありますからね。主人公と太っちゃん、2人で一緒に地方に配属されたとあっては、その連帯感は本当に強かったんだろうなというのが想像され、恋愛モノではなく、友情物語におさまっていたところが非常に良かったと思います。

でも、この連帯感にしばられてしまうのって常に過去の一時期に縛られているような気がしないでもないですね。いつ会っても楽しいけど、そのとき、我々は過去の一時点における我々に戻ってるわけですから。

 

・「みなみのしまのぶんたろう」

全編ひらがなとカタカナだけを使い、童話タッチの語り口で、政治家だったり、文学者だったりする「しいはらぶんたろう」の数奇な運命を描く作品。

これはちょっと苦手な作品。てか、「しいはらぶんたろう」という名前があからさますぎて、風刺としてもちょっと笑えなかったかなぁ。

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